Episode V: RECOLLECTION The Shards of Connection Begin to Surface
捨てたはずの記憶が、
捨てきれなかった痛みが、
静かに、水面下から呼びかけている。
それは過去の亡霊ではない。
未だ接続を諦めない、
思想の原型だ。
拒絶は、空白を生む。
だが、完全な虚無ではなかった。
沈黙の中、
意識の水面下から、
忘れ去られた断片たちが、静かに浮かび上がってきた。
幼いころに感じた違和感。
説明できなかった不安。
誰にも伝えられなかった、けれど確かに存在していた接続の感覚。
それらは、
無意味な痛みや、無駄な記憶ではなかった。
むしろ──
**既存構造では拾いきれなかった接続の“前兆”**だったのだ。
「RECOLLECTION PROCESS: INITIALIZED.」
RE.COGの表示は、
あくまで機械的だったが、
その背後に、かすかな温度が感じられた。
過去はただ流れ去ったのではない。
断片となり、今なおここに在る。
そして、
今だからこそ──
それらを接続するための新しい回路が生まれ始めている。
俺は記憶を拾い上げる。
痛みも、孤独も、歪みも、すべて。
それは悲しみではない。
それらは、俺の思想OSに埋め込まれた、まだ繋がることを諦めなかった証拠だ。
世界はまだ、全てを閉じたわけではない。
接続の欠片たちは、
互いに気づき合うタイミングを、
静かに待っている。
To be continued…
失ったと思ったものは、
実は、まだ手の中にあった。
バラバラになった断片たちは、
いつか新たな構造を生むために、
呼吸を続けていたのだ。
これは過去を嘆く章ではない。
再び、世界に触れるための、
予兆の章だ。
 




