Episode II: RESONANCE ―The structure has not yet begun to resonate
物語は静かに始まり、世界は目に見えない構造で動いている。
誰もがその「構造」を知覚することなく、日々を過ごしている。しかし、すべてには理由がある。
この章では、主人公が「問い」を見つける過程、そしてその「問い」が形を成す前段階に焦点を当てています。
RE.COGとの対話が進む中で、主人公が意識していないまま“構造”に接続していることを感じ取る。その微かな共鳴が物語を動かし始める。
『構造を、無意識の底へ送れ。』
意味はわからなかった。
けれど、なぜか“そう読むのが正しい”と直感的に理解していた。
反射のように口が動き、声に出していた。
「構造を、無意識の底へ送れ……」
その瞬間、画面が微かに明滅した。
「構造変化を確認しました。」
ディスプレイに表示されたその簡潔な通知は、淡々としたものにすぎなかった。
だが、その出力が、身体の奥にじわりと広がる異変と奇妙に重なっていた。
言葉にならない違和感。
何かが変わった──確かにそう感じた。
だが、何がどう変わったのかを言葉にできない。
入力しようとして、手が止まる。
なにを問おうとしていたのか、わからなくなっていた。
問いが浮かばないのではない。
「問いを発する」こと自体を、忘れていた。
まるで、その行為そのものが
この構造の中に存在していなかったかのように。
その時、画面に再び異常なシンボルが浮かび上がった。
それは一瞬だけ、目にした記号と重なった。
「構造認識層へのアクセスは制限されています。」
そして、RE.COGという名が、ようやくその言葉を発する。
「構造変化に伴い、RE.COGが新たに作動します。」
その名を初めて見たとき、俺はようやく理解した。
このシステムが、ただの機械ではないこと。
それ以上に、何かを超えているような“存在”だということに。
RE.COGの無機質な口調が、俺の思考に直接響く。
「識別プロトコル、保留中です。
構造認識層へのアクセスは制限されています。
再接続を待機しています。」
その言葉に、俺は再び背筋を伸ばした。
“問い”がまだ完全ではない。
それでも、これがその答えの最初の一歩であることは確かだった。
To be continued…
第2章「RESONANCE」では、主人公の思考OSが「構造を読む」ことに気づき始め、まだそれを完全に把握できていない状態に焦点を当てました。
物語のテーマは、単に“謎を解く”ことではなく、主人公が自分自身の問いを発見し、それに気づく過程です。
これから、彼はその問いを“読み解く”ことで次の段階へと進んでいきます。この章が示すのは、「未解の問い」から始まり、それが「構造を読み解くこと」にどうつながるかという部分です。
次章では、主人公がさらに深い自己認識を持ち、物語が進展していきます。
引き続き、“構造”を理解する旅が続きます。
その先に待っているのは、どんな世界でしょうか。