通り魔はポケットの中
二重人格の主人公エルデ・フロートが客に頼まれた仕事をなんでもこなす。
そんな物語です。
ある日私は堕ちてしまった。
深く、暗いポケットの中に‥
「おい、起きろ朝だぞ」
もう、朝か‥何にも起きる理由なんて無いのに今日もまた朝が来た。
「起きる気がないなら、さっさと俺に体を変われ」
体が勝手に動いていく、全く生きている意味なんて無いのに。
「今日は8時から客が来るんだろ?」
そうだった、でも今は彼に任せよう
こんな精神状態でいつもの多すぎる朝ごはんを食べられる気がしない。
「客が来るまで休んでな、昨日のこともあるし疲れてるだろ?」
昨日何かあっただろうか?
覚えていない、でも疲れた何もやる気がしないまるで欲望が全て魂から抜き取られたかのように。
「ほら、客が来る前にさっさと朝飯済ませるぞ」体が勝手に動いていく、重いはずの体が
あっという間にベットから腰をおろして着替え始めていた。
「お前の服ってセーターかスーツしかないよな、少しは服選んで買ったらどうだ?」
生きる気力がない、私によく言うよ。
あと、こういう服買ってるの大体あんたでしょ
「仕方ねぇだろ?俺は女の服装なんてほぼ知らねぇんだしよ」
鏡の前に写っているのは、目の部分だけ一切無感情の私がいた、それ以外の部位は楽しそうに、不気味な笑みを浮かべていた。
「エルデー!お客さんが来てるわよー!」
お母さんの声がする。
「早すぎやしねーか?まあいいか、あんなに朝飯食えねぇーしよ」
「さて、今日の客のお出ましだ」
「あっ、あの~エルデさんでよろしいですか?」
「俺の名前知らねぇのにお前はここに来たのか?」
いや、多分いまのは本人かどうかの確認よ。
「ああ、そう言うことか、そうだよ俺がエルデ・フロートさ」
「あっ、よろしくお願いいたします。僕は…」
「ああ、名前はいいぞ、うちは誰でも匿名でやってるんでねその代わり
アルファベットで呼ぶお前はDだ」
そう、彼は四番目の客の演技がとても悪い。
「で、今日はどんなようで?採用試験?ギャンブルのイカサマ?
やばい組に追われてたり?それとも…通り魔?」
ここは、何でも屋契約さえ守れば本当になんでもする。
うんざりするが、彼がいる限り私はこの世から消えることさえ出来ない。
「通り魔です」
目の前にいるDの雰囲気が一気に変わる。
サングラスを外し、マスクを取った顔はとても深くシワが刻まれ、目のクマがひどかった。
「誰をだ?誰を憎んでいる?」
「この男です」
Dが胸ポケットから出したのは一枚の写真だった。
「そうか、詳しく話を聞こう」
「この男は、僕の彼女を僕の目の前でナイフでの拷問を加え今その彼女は重症で生と死の狭間をさ迷っているんです!」
Dのオーラはどんどん憎しみで溢れていく。
「よくわかった、この男は逮捕されたか?」
「いいえ、されてません…拷問を終えて逃げた後に僕は通報しましたが間に合わなかったようです」
「そうか、なら良かった、任せておけこの男が逮捕される前にナイフだけでバラバラにしてやる」
「お願いします!お金はたっぷりと払わせていただきます!」
いいや、私たちにはそんなものは必要ない。
「いいや、俺たちにそんなものは必要ない、その金は彼女の手術費にあててやってくれ
その代わり、いま俺たちがもっともやってほしいことがある」
「はい!なんでもいたします!」
「俺の代わりに、朝飯を食ってくれ」
この物語はメインでやっていくつもりはあまりありません、気が向いたら投稿といった感じです!
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