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1の6 枠なしマール

長文です、長いです。

いろいろあります

特に何事もなくカイトたちを乗せた馬車は、ベルラートへと到着した。


出発した時刻が昼を過ぎていたため、既に空は暗く、今から装備を整えるわけにもいか無いため一先ずは各々に別れ、休むことにした。


「また明日、ギルド前の広場でね!」


ギルドの宿屋へ走っていくマールたちと別れたカイトは、馬車に乗せてくれた村人を労うついでに、お世話になっている女店主の宿屋へと向かう。カイトが村人の宿泊費を余分に支払うと、女店主はカイトと村人を快く迎え、豪勢な食事でもてなしてくれた。村人は村人で気分を良くして出発の時には声をかけるよう言われた。


翌日、日が昇る共にカイトは目覚め、手の中にあった金貨を革袋へと放ると一先ずは銀行へ向かい、金貨を引き出せるだけ引き出して革袋に詰めると、ギルド前へと急いだ。


ギルドのある中央広場では大きな人集りができている。何事かと思い向かうとそこには。


「嘘だ…や、やめてくれ!お願いだ!」


木造で作られた台の上、木の枷に手と首を潜るように嵌められた黒髪の男が泣き喚いていた。側には王城の近衛兵のみが身につける事を許される鎧で固めた兵士が、大きな曲刀を手に立っている。中世風の街並みに相応しい公開処刑である。側に建てられた木の看板に彼の罪状が記されている、見れば、王の宝である冒険者のパーティを不当に害したとある。


「冒険者ギルドで揉め事を起こして、沢山の冒険者を殺害したんだってよ」


そばにいた街人がコソコソと話す。


「ああ、自分が冒険者登録が出来ないからって暴れたらしいな…その際に止めに入った冒険者達を何人も殺害したんだって、その際に受付の職員や従業員の女の子達も巻き込まれたって話だ…ひでぇ事しやがるぜ」


なるほど、とカイトは今まさに首を斬られそうな男を見上げる。彼は酷く憔悴しており、その怯えた目は自分の首を切り落とすだろう刃をずっと見ていた。


「なんでだ…俺にはギフトがあったはずだ!こんなの…こんなのおかしい!聞いてない!…なんでって…」


ギフト?カイトは彼が自分と同じ転生者である可能性を考えたが、そこで思考を辞めた。兵士が頃合いを見たのか、その大きな曲刀を振り上げると一息に振り下ろした。刀がいいからなのか、はたまた兵士の腕が良いからなのかもしくはその両方か。男の首と手首が綺麗に切断されて落ち、少量の血が噴くと手と頭を失った身体は糸の切れた人形のように崩れ落ちる。


刑の執行を終えると彼の遺体は手早く片付けられ、城の人間たちによって台ごと綺麗に片付けられた。

催しが終わると人々がはけて行き、ちょうどはけてきた人集りの中で歩いてくるマール達を見つけた。


「あ、カイトだ!」


マールは背の高いゲイツに肩車をさせており、カイトの姿を見るなり大きく手を振りながら叫んだ。


「こっちこっちー!」


昨日までの不機嫌はどこへやら、凄惨な処刑の後だというのに元気に手を振っている。カイトが駆け寄ると周囲にいた冒険者達の視線に気がつく。


「なに?なんか気になる?」


マールは特に気にはしていないようだ、カイトがキョロキョロとしているとマールが尋ねて来た。


「なんか…注目されているような」


「当然でしょ」


ゲイツの隣で彼の兄、ゲイルが腕を組みながら鼻息荒く言った。


「この街に今いる現役の冒険者は最高でもXランク、そのなかにUランクのマールさんやハイデさんが居たらそりゃあみんな注目しますよね」


「ランクなんて気にしなくていいのに変なの!」


ゲイツの上でマールがケタケタ笑っている、するとゲイルがそばに来て密着し、囁くようにつぶやいた。


「それに彼女達、特にマール殿はそこそこ人気ですから…」


そこまで言われてもピンと来なかったカイトにゲイルが更に耳打ちで教えてくれた。マールは冒険者の間では、下はZから上はA級の男性冒険者にまでその存在を認知されており、カルト的な人気があるのだという。無論、腕っぷしの強さではない、主に彼女の外見や性格に起因する所が大きいのだという。小柄で細い体格、ランクに関係なく分け隔たりなく接する小動物のような人懐っこさ、底なしに明るい性格に頻繁に見せる子供らしいわがままなどもプラスに働いているとのこと、そんな性格の為、最前線では勘違いした男性冒険者達からは熱烈なアプローチを受けていた程に絶大な人気を得ることになったのだという。


「…へー…」


カイトとしては絞め殺されそうになったり癇癪起こしていつまでも拗ねていたり、根に持って怒っている姿ばかりを見ているのでちっともピンと来なかったのだが。そこまで考えながらマールを見上げていると、自分たちに向けられる男性冒険者達の怨嗟に似た視線を感じ、身震いした。


「おやおやおや、マールじゃないですか」


そうしていると、唐突に女性が声をかけて来た。それは人だかりになっている冒険者達を掻き分け姿を現す。以前見た、緑色の鮮やかな髪色にRPG作品のヒロインのような出立をした。


「なんだガルーダじゃん」


マールはガルーダを見るに、やや不機嫌そうな声音で呟き、そんなマールの態度にガルーダは苛立ちを隠さず肩に力が入る。


「なんだとはなんですかっ」


しかしガルーダは、マールの前まで来ると勝ち誇るように見上げた。


「聞きましたわよ?最前線からおめおめ帰って来たんですってねえ?」


明らかな嫌味、悪意のある言い方をマールへぶつけてきた。


「うん、そうだよ。それで?」


マールは特に気にする素振りもなく素直に言われた通りに返答する。


「まったく嫌ですねえ、貴女のように実力も無いくせに、若いだけでチヤホヤされて調子に乗っているガキは。迷惑なんですよ」


少なくとも、マールの実力は相当なものだった事を見ているカイトはそのガルーダの言い分が間違っている事を指摘したい気分だった、ただマールは特に気にしてはいない様子でドライな反応をしている。


「そういう君はこの間より加護がへってるみたいだけど?」


マールの言葉にガルーダは一気に逆上し、腰に下げた長剣を抜く。


「相変わらずムカつくガキですね、ぶち殺してあげますよ?【枠なしマール】!!」


ガルーダはいきなり殺意を剥き出しにしてマールを聞き慣れない二つ名で呼んだ、マールは途端に無表情になると、ゆっくりとゲイツから飛び降り向き合う。マールは戦う時には表情が無くなる、つまりこの無表情は彼女が臨戦体勢である証明となる。


「ガルーダ、謝って武器を収めてくれればまだ許してあげるよ。せっかくそこまで溜め込んだ数字を一桁にしたくないな」


溜め込んだ数字?不可解な単語を言葉にしたマールは、特に構える事もなく、無表情のまま忠告していた。


「数字の心配をしたほうが良いのはあなたの方ではなくて?ねえ、枠なしマール?」


ガルーダは再びマールを枠なしと煽り、彼女の体を風が包む、以前襲撃してきたオークを瞬く間に斬り殺したあの風の斬撃をマールに使うつもりのようだ。


「はあ…ハイデ、蘇生してあげて」


ガルーダはマールが何を言っているのか理解出来なかった、蘇生?そんな表情で死んだことすら理解できない表情で固まったガルーダの上半身が、石畳の地面に滑って落ちる。マールは瞬きの速さで草刈りのようにガルーダの上半身を切断していた。

マールは無表情のまま、剣についたガールダの血を振るって払い再び背負う。


「彼女も懲りない人ですね…」


ハイデはゆっくりと前に出てしゃがみ込み、ガルーダの亡骸に触れると、ぶちまけた彼女の鮮血が、まるで巻き戻るように身体へ戻り、離れていたガルーダの身体の上と下が水滴のようにくっつくと何事もなかったかのように綺麗に治った。やったマールはというと、再びゲイツの体を器用によじ登り肩車させる。どうやらその場所が気に入ったらしい。


「で?カイト、ベルラートには鍛冶屋は結構たくさんあるんだけどどこ行くの?」


この国の鍛冶屋は全部で4つある、中央にある王国兵士の使う武器や防具を担う国営の鍛冶屋、同じく中央ギルドの隣にある駆け出しの冒険者に格安で武器を提供する鍛冶屋、西地区にある農具や家具を作る鍛冶屋。そして…


「もちろん、もう場所は決めています」


カイトはそう言うと、その鍛冶屋のある方向へ歩き出し、全員がそれに続く。


「やっぱりこれだけ高いといいねー」


道中、マールがゲイツの上で揺られながら上機嫌にわらっている。そんな無邪気なマールにゲイツは苦笑する。


「あはは…あまり良かったことは無いですけどね。よく頭をぶつけるし、冒険者には良く馬鹿にされますし、敵にはすぐ目をつけられるし」


「気にしなくていいのに、よしよし」


マールに頭を撫でられゲイツは心地良さそうだ。


「マール殿!なんならわたしが変わりますぞ!」


ゲイツに負けじとゲイルもアピールする、しかしマールはギュッとゲイツの頭を抱いた。


「やー!こっちがいいの!」


「兄さん、僕は生まれて初めて背が高くて良かったと思ったよ…」


ゲイツは歓喜の涙を流している。


「くそう!わたしにももう少しだけ身長があれば!!」


大袈裟に悔しがるゲイル、すると見かねたマールが提案する。


「そんな肩車したいならハイデをしてあげたら良いじゃん!」


マールはそう言ってハイデを指差した。


「謹んで、お断りします」


ハイデはいい笑顔で実に丁寧に断った。


「兄さん、僕は今、生まれてよかったとおもっているよ…」


「弟よ、わたしは今、初めてお前を呪ったよ、ぐぬぬ」


そんなこんなで、目的地の鍛冶屋が近づく。すると先程までゲイツに肩車されてご機嫌だったマールが、何やら不安げな表情をし始めた。


「ねえ?カイトちょいまって?」


マールに言われ、前を歩いていたカイトが立ち止まり振り返る。


「道、間違ってない?僕!中央の王国御用達の鍛冶屋がいいなー!」


「いえ、間違えてはいないですね」


カイトは地図を拡げ、位置を確認すると再び歩き出す。


「こ、この先に鍛冶屋なんて…ないんじゃないかなー!」


しばらくして、再びマールがそんなことを言ってきた、その表情は何処か不安気であり、何かを隠すように挙動不審だ。確かに目的地の鍛冶屋はベルラートの中では街外れにあり、民家が目立つようになってきたがそんなことは関係ない。


「いえ、間違いはないですよ」


再び地図で位置を確認し、遠くに立ち昇る煙を見て進み続けるカイト、マールは鍛冶屋が近づくにつれ、病院を見た犬や猫のように表情が曇っていく。


「ぼ…僕帰る!」


逃げ出そうとゲイツから飛び降り、ハイデに捕まる。


「だめですよ、諦めなさいマール」


「いやだあああ!いぎだぐないー!!」


大声で泣きながら全力で暴れるマールであったが、ハイデはびくともしない。マールの怪力ならハイデ位簡単に吹き飛ばせそうにも感じるが、ハイデの身体はびくともせずテコでも動かない。


「はいはい諦めましょうねー!」


ハイデは二の腕の力だけで軽々とマールを持ち上げてしまいマールは虚しく空中をバタバタしている。


「ハイデ殿は聖職者と伺いましたが、昨日の身のこなしといい格闘術に覚えがあるのですか?」


昨日のゴブリンに囲まれた際、ハイデはまるで拳法家の様な機敏な動きで次々飛びかかるゴブリンを地に叩き伏せていた。


「本家が武術の家系なんです。なので女神様から信託をいただくまでは武術の稽古をさせられておりました」


ハイデはにこやかに教えてくれた、つまりその正装の下にはマールですら抵抗できないほどの筋力が内包されているようだ。鍛冶屋が見えるようになったころ。散々嫌がっていたマールは諦め、ぐずりながら手を引かれている。


「なんでマールはこんなに嫌がっているんです?」


カイトは何気なく尋ねると、ハイデは苦笑した。


「マールの実家なんです」


「カイトはうちのおじい様の怖さを知らないからそんなことが言えるんだ!!」


過去、この王都ベルラートでその名を轟かせたAランクの冒険者がいた。その名はビルド、鉄腕ビルドと呼ばれた彼の逸話は数知れず、山ほどの龍を一撃で葬った、魔物の大群を一薙ぎで一掃した、口から火を吐き、目から光線を出し、空を飛んで移動するなど噂に様々な鰭がつき、とんでもない伝説になっているのだという。そのビルドこそがこの鍛冶屋の店主であり、マールはそのビルドの孫であるのだという。


「騒がしいのう…誰じゃい…」


そのビルドらしき岩のような老人が外の騒々しさに苛立ちヌッと小さな工房からその巨大な姿を現した。


「喧嘩ならよそでやってくれんかね、わしゃ…」


言いかけたビルドは目を見開き騒がしさの元凶をみるなり口に加えていた高価なパイプが落ちる。


「おお…おお!おおお!!」


俊足、マールが子孫というのは本当らしい。瞬間移動のような速度で2mをゆうに超える老人がそばに来てぐずっていたマールをその大きな手で捕まえ顔を寄せ、じっと見つめる。


「マールかえ!?戻っとったのか!!?連絡くらいよこさんかいバカモンが!!」


先程までのオークすら怯えて逃げ出すであろう迫力とは打って変わり、可愛い孫の来訪に声量も抑えず歓喜の声をあげる。


「むむ!!」


不意にマールの背負っている大剣を掴んで奪う。マールにとっては大剣でも、巨体のビルドがもつと小振りに見える。ビルドはじっと刃に指を這わせて太陽の光を照らすと無表情となり、黙って逃げようとしていたマールを逃すまいと捕まえる。


「こんのばかもんが!!!」


落雷のような怒鳴り声が響く。


「何をどうすればこの剣がこんなにボロボロになるんじゃ!?最前線で何を斬ってきた??ちゃんと毎日手入れをしたんじゃろな!?」


マールが自分の剣を床に投げている姿を思い出しめまいがしつつも、声をかける事にした。


「あ、あの…良いですか?」


カイトが声をかけるとギョロリと巨躯の老人の目がこちらを向く。


「……ボウズ、飯食うか?」


!?!? てっきり邪魔をするなと怒られてしまうかと思っていたが、ビルドは快く全員を鍛冶屋の中へと招きいれ、工房の窯で馬鹿でかい肉の塊を豪快に丸焼きにしたものを出してきてカイト達を盛大に歓迎してくれた。


「ふむぅ、ゴブリンの巣を掃討するために装備を新調する必要があると?」


食後、ビルドは腕を組みつつマールから今までの経緯を聞いていた。


「必要ないって言ってるのにカイトが聞かないんだもん」


マールは、ビルドだけは味方になってくれると思ったのだろうが、ビルドは渋い顔をする。


「そりゃ、カイトのボウズが正しいぞ…」


「ええ?なんでっ!」


マールは大袈裟に声を張って立ち上がるが、ビルドはそんなマールの頭を掴んで座らせる。


「アホう!ゴブリンを甘く見るで無いわ!!お前のその装備では、囲まれたら瞬く間に一網打尽じゃ!!少しランクが上がったからと言ってのぼせるでないわ!」


マールは怒鳴られてしゅんと黙り、ビルドはカイトに頭を下げる。


「カイト殿の進言のおかげで、孕み袋になった孫を見ずに済んだ…このバカを助けていただき、ありがとうございます」


お前も謝れとマールの頭を掴み、力尽くで下げさせる。カイトはお礼を言われるとは思わず思考がフリーズした。


「このバカモンの事です、この様子を見るに散々ゴネてわがままを言っていたのではないですか?」


正直いえばわがままで済む範疇では無かったが、カイトは軽く流す。


「ははは…わたしはマールには助けられてばかりですよ」


ビルドの視覚の外で、終始不安そうだったマールはほっと胸を撫で下ろしている。


「ハイデ様も、いつも孫がご迷惑をおかけしております…」


「や、やめてよじい様…恥ずかしいよ」


ビルドはハイデにも頭を下げ、マールは羞恥で顔を赤く染めながら袖を引く。ハイデは和かに手で制する


「いえいえ、大丈夫ですよ。もう流石に慣れましたから」


「そういえば、ゼオラ様の姿が見えませんが…」


ビルドはそう言いながら周囲を見渡しゼオラを探す。


「ゼオラはカイトが村に残したの、なんか村を完全にもぬけの殻にはしない方がいいんだって」


「ふむ、成る程。それは急がねばな」


するとビルドはヌッと立ち上がり、丸太のような腕を広げるとハンマーを掴む。


「あいわかった、ご注文は、孫達の対ゴブリン用の装備と、ボルドー兄弟の重装備にそしてマール、お前の大剣の修理じゃな」


「あ、まだあります!」


カイトは立ち上がり、自分の荷物の中から羊皮紙を取り出して何かを書き殴りビルドに渡す。


「ふむ…」


ビルドは紙に書かれたものを数秒眺め。


「承知した!代金はそうじゃな、金貨10じゃな」


「はい、よろしくお願いします」


カイトはにこやかに金貨を10枚取り出してきっちりビルドに渡す。


「えらく安い気がしますが…」


「孫と孫のお友達の分は引いておる、これはお主には関係ないから気にするな」


そう考えると割高なのかもしれない、ビルドは工房へ入って行った。


「マール!手伝っとくれ!」


「ええー!?やだよ!」


「鉄くらいは打てるじゃろ!はよ来い!」


「うー、だから嫌だったのに…」


マールは乱雑に革の鎧を脱ぎ捨てると、奥の工房へ消える。


「さ、私たちも今のうちにやることをやりましょう」


カイトは立ち上がり、ボルドー兄弟に目を向ける。2人はキョトンとしている。


「ゲイツさん、ゲイルさん!!外に来てください!ハイデさんも手伝っていただきます?」


「え?…ええ…わかりました」


本当ならマールに手伝って欲しかったのだが、その場の全員に声をかけると、工房で作られた武器や防具が並ぶ外へと全員を連れ出した。


「ビルドさん!前の大盾二つ貰ってもいいですか!?」


声を張り、工房の奥に使って叫んだ。


「金貨一枚だって!!」


遅れてマールの声が聞こえると、カイトは硬貨袋から一枚金貨を取り出してテーブルに置く。


「ここに置いておきます!」


カイトは外に飛び出すと、ゲイツとゲイルに店先にある理想に一番近い大きな丸盾を持たせる。


「あの、これでどうするんですか?」


ゲイツとゲイルは大盾を持ったままポツンとしている。カイトは退屈そうに庭の土に座っているハイデに顔を向ける。


「ハイデさん、ぶっ飛ばすつもりでゲイツさんにぶつかってくれませんか?」


「?…ええ、いいですけど…」


ハイデは立ち上がり、聖職者のようなローブを脱ぎ捨てより身軽な格好になる。四肢の引き締まった筋肉が見て取れる。


「は?カイトさん!?なに…ぶお!!」


ハイデの飛び蹴り、構える暇もないゲイツは反射的に手にした大盾を構える受けるも、そのあまりの重みに軽々と吹き飛んでしまう。


「ゲイツさん!ちゃんと構えて!ハイデさん!次はゲイルさんに!」


「は!わたしも!?…ぬごお!! 」


ゲイルは素早く身構えてなんとかハイデの飛び蹴りを受け止めるが、耐えキレずに盛大に転ぶ。


「ハイデさん、ありがとうございます」


カイトはハイデに例をいうと、ハイデは少し物足りなさそうだった。カイトは前に出ていくと2人に告げる。


「お二人に、今から大盾の持ち方を教えます」


カイトの元の世界、古代ギリシアには大盾と槍を用いて密集するファランクスと呼ばれる陣形を用いた戦いが主流だった。古代ギリシアの戦士達はファランクスを組んだ状態で大群と大群で押し合う戦い方をしていた。たった2人で出来るかはわからない、しかし異世界人の冒険者が持つ人離れした身体能力ならば…。

古代ギリシアで最強と呼ばれたマケライモン(スパルタ)人の戦士達と同等、それ以上のファランクスが出来る可能性があると考えたのだ。

生前のカイトは、古代ギリシャのスパルタの伝説から歴史オタクへとなった。カイトはあまりにも好き過ぎて現地のインストラクターや専門家が配信していたスパルタ兵の戦法や戦い方の解説ライブを空で暗記するほど復唱していたのだ。

カイトはその暗記したやり方を手取り足取りボルドー兄弟に伝えた。ボルドー兄弟は高価な大盾を購入出来ず持ったことはなかった、しかし、少し話を聞いただけで見る見るうちにカイトが散々伝説の中で妄想し憧れたスパルタの戦士達に限りなく近い佇まいになった。


「ハイデさん、またお願いできますか?」


「分かりました」


ハイデの了承をもらい、カイトが合図をするとボルドー兄弟は重心深く構える。それをみたハイデの飛び蹴りが盾に突き刺さる。


「ぬぐ!」


直撃を受けたゲイルの体勢が揺らぎ、踏み込みが甘かったのか、ゆっくりよろけて倒れる。しかし先程のような勢ではない。


「ごめんなさいカイト、ちょっと力を抜いてしまいました」


カイトには充分な威力に見えたのだが、ゲイルが再び構えるのを見て合図を送る。


「次は9割で行く…」


ハイデは深く構え、一気に間合いを詰めるなり強烈な横蹴りを構えられた大盾に叩きつける。


「…!」


ハイデは驚愕した、先程まで軽々と吹き飛んでいたゲイツとゲイルが見事にハイデの9割の蹴りを受け止め、びくともしない。


「すごい、兄さん!すごいよこれ!!」


構えをとき、ゲイツが歓喜する。ゲイルも信じられないと言った顔をしている。


「カイトさん、もう一度…次は本息でやる」


ハイデのプライドに火をつけてしまったらしい、ハイデは震脚で地面が砕けて陥没するほどに踏み込み深く構え、呪文を唱えだす。それはおそらく身体強化の魔法、いくら聖職者といえ、身体強化をかけた人間のしかも武術の鍛錬を続けてきたハイデの一撃の重さは相当だろう。


「わ、わかりました…」


カイトはハイデの覇気に負け、合図を出す。ハイデは砕けた地面が裂けるほどの力で瞬間的に間合いを詰め、全身の筋肉をバネのように使いつつ一気に解放する。その激突の衝撃で大地が揺れる程の破壊力を秘めた一撃が大盾に突き刺さった。


「な…!」


ハイデは本気で打った、誇張なしに本気だったのだ。ハイデの今の一撃は聖職者とはいえイノブタの突進に匹敵するほどの破壊力であるという自負があった。並の魔物や亜人ならばたった一撃で絶命に至る程の一撃だった。その証拠に、ビルドお手製の大盾にハイデの拳の型がくっきり入っているのだ。だが、深くファランクスを構えたボルドー兄弟はびくともしなかった。


「前へ!!」


ふいにカイトが叫ぶ、ファランクスは守りの陣形ではない。ファランクス同士の戦いは押し合うのだ。カイトの号令で2人が前に大きく一歩踏み出すと、打ち込んでいたハイデは押し出された。


「う!うわ!!」


ハイデはその押し込みのみよさに堪えきれずにつまづき、盛大に尻餅をついた。


「突け!!」


倒れたハイデに大盾を開きながら遠心力で右手の槍を突き出す。


「待て!!」


カイトの号令を受け、2人の槍はハイデの眼前で止まる。


「兄さん…今…」


「ああ…し、信じられない」


無理もない、最底辺のZランクの2人が、遥か上のランクにいるハイデから一本を取ったのだから。


「まー、ハイデは聖職者なんだから重装兵の君たちと真正面から殴り合って勝てるわけがないっしょ」


いつのまにか見ていたマールがカイトの隣でつぶやいた、ただハイデはそうは感じていないようだ。


「悔しい…」


プライドを傷つけられ、実に悔しそうに綺麗な表情を歪め、涙目で戻って来る、マールはハイデを気遣ってか、優しくその肩を叩く。


「面白いことしてんじゃん!僕にもやらせてよ!」


そういってマールは、鍛冶屋の店先に並んで置いてあった武器の中から、マールには不釣り合いな程に長く分厚い鉄の棍棒を選び持ってくる。


「あ、いやちょ!」


「いくよー!!」


何が違うのか、わからない。カイトは目を見開いて絶句していた。結果を言えば2人のファランクスは簡単に破られた、マールの振り抜いた棍棒の強烈な一撃は、ハイデの本息の一撃を受け止めたはずの鉄壁の2人をまとめてぶっ飛ばしたのだ。


「ご…ごは…」


ボルドー兄弟は、理論的には完璧なファランクスの姿勢で盾で守っていたにもかかわらず大ダメージを受けて地面に転がり、完全に伸びていた。


「すっげー…今の技なに?」


だが驚いたのはマールの方だった。マールが手にしていた棍棒は見事に砕けて中程から折れている。


「じい様の盾が凄いのかな?」


マールは手にしていた砕けた棍棒を雑に捨て、ぶっ飛んで転がる2人に駆け寄り軽々しく引きずってきて2人から大盾を奪う。直撃を受けたゲイツの大盾はマールの一撃で見事にひしゃげている。


「うーん、カイト」


マールはカイトにひしゃげていないゲイルの綺麗な大盾を渡す、大盾はカイトにはとても重く、両手で支えるので精一杯である。


「そのままもっててね」


マールは店先から新しい棍棒を持ってくるといきなり振り抜いた。マールの振るった棍棒は、カイトの持っていた大盾の上半分を草刈りがごとく刈り取った。


「ひ…ひえ…」


唐突な素振りにすら死を感じ、精神的にも25歳なカイトは不覚にも立ったまま気絶し、失禁していた。以降、マールだけはどうやっても怒らせるまいと心に誓った。ただマールは不思議そうに首を傾げている。


「今の、5割くらいなんだけどな…じい様の盾がすごいわけじゃないか…」


マールはそんなことを考え形のいい顎を持ち考えるような姿勢をとる。


「マールや、皆を呼んでくるのにどれだけ…」


そこへ、ノロノロとビルドがやってきてその惨状を見た。ぶっ飛んだ木々、中から砕けて雑に捨てられた棍棒、気絶して倒れている重装備の2人、真ん中からひしゃげた自慢の大盾、中からバッサリ切断された大盾を手にしながら白目をむいて失禁している少年。


「マールや……」


「じい様!!腕落ちたんじゃない?脆いよ!この」


同時、落雷のような拳骨がマールの頭に落ちた。泣きながら掃除しているマールと一緒に、泣きながら自分のズボンを洗うカイトを後目に、先に工房へ通されたゲイツとゲイルはピッカピカに輝く新しい重装備の鎧に息を呑む。その隣には人数分の鎖帷子と、軽装のヘルメットまであった。当然、カイトが注文した大きく丸い大盾もある。盾には、カイトが大好きなスパルタを意味する大きくΛの記号が描かれている。


「す…すごい…」


さっきまで伸びていたゲイツとゲイルが、これから自らの装備になる鎧を手にする。


「こ、こんないい鎧や盾を僕たちが?」


2人はすぐに今着ている鎧を外し、置かれている鎧を着付け始める、隙間なく細部にまで拘られた重装の甲冑、可動域を広く設けられ、どうしても脆くなる関節部にはしっかりときめ細かな鎖帷子が覆ってある。

兜にはしっかりとバイザーが取り付けられ、降ろすと完璧なフルフェイスとなり視界が狭まるデメリットを防御力で補う設計となっていた。頭頂には小さなトサカがあり、戦闘中バイザー降ろした状態でも仲間の顔が何処を見ているのか分かるような飾りが取り付けられている。それ以外に装飾などは一切ない。ただ無骨に防御力と扱いやすさ、その二つに特化された文字通りの業物であった。


「これは私たちのですね…」


ハイデはテーブルに並べられたヘルメットと鎖帷子を見る、一つの鎖帷子の上には大型のボウガンが乗っている。ゼオラの使っていたボウガンの新品のようだ。つまり、それはゼオラのものだろう。するとビルドがそばに来て一つの鎖帷子を手に取る。


「ハイデ様の鎖帷子は修道服の下に着込めるよう、耐熱対策で少し薄く作っております。ただでさえあなた様のは分厚い修道服ですからな、ですが防御力は充分です」


ビルドは丁寧に解説しながら、工房に置かれた鋭いダガーナイフを軽く投げ鎖帷子へ投げ突き立てる。しかしダガーナイフは鎖帷子を突き抜けることはできず、地面に落ちた。


「お心遣い、感謝いたしますビルドさん」


ハイデはそう言って受け取ると、ヘルメットを手に取りサイズ合わせのために奥へ歩いて行った。


「じい様おわったよ?」


そこでマールが戻って来た、目は赤く腫れておりまだグズっている。


「カイトさんは?」


「申し訳ないから替えの服に着替えてくるって」


「そうか…なら、先にお前のサイズもあわせるかの」


マールの鎖帷子は、普段身に付けている革の鎧に取り付けられるようにされており、目立った露出部分を覆うよう丁寧に取り付けられている。肩には鋼鉄の肩パッドが増設されている。


「マールや、最後はお前の武器の修理だ、はよ来い」


「えー!?まだ手伝うのー?」


「自分であんなズタボロにしたんじゃろ!」


そう言ってマールの頭をむんずとつかむと、マールを引きずって工房の奥へと消えていく。


「ちかれた…」


しばらくすると、マールがピカピカになった愛用の大剣を抱えて帰ってくる。


「お疲れ様です」


すでに装備の着付けを終えた全員が装備を手に寛いでいる。その中にはカイトもいた。


「おおカイトさん、もどっておったのか」


工房の奥から、ビルドは三つの剣をそのごつい両腕に抱えてやってくる。


「これらがお前さんが注目した武器じゃ」


三つのうち二つは、剣とダガーの中間、刃渡80cm程度の長さを持った両刃の剣だった。


「それはボルドー兄弟へ」


「え!?」


ゲイツとゲイルはその剣をカイトから受け取り、付けられた鞘に戻す。


「カイトさん我々には槍がありますが…」


「これはグラディウスという刺突で戦える武器です、槍が使えない状況でも戦える備えとして持っていて下さい」


カイトに言われ、ゲイツとゲイルはありがたく頂戴して腰に下げた。最後に細く長いガルーダの使っていた長剣を少し短く細くされた剣を手に取る。


「カイト、そんなの使うの?」


マールは興味がありそうに聞いてきた。


「これをつかうのはマールだよ」


カイトの言葉と共に差し出され、マールはポカンと口を開け、ビルドも同じように口を開けていた。


「えー…やだよそんな細くて脆そうなの…ダサいし、いらない」


マールはジト目でその剣をカイトに突っ返す。しかしカイトは譲らず間合いを詰めてくる。


「え、ちょ…ちかっ」


「マール、ゴブリンの巣の中がその大剣を振れないほどに狭かったらどうやって戦うの?」


「え?…いや、それは…」


マールは考えもしなかった事を言われて口籠る、そして過去の経験からゴブリンの巣は大体狭かった事を思い起こす。


「何度も言いますがゴブリンはとても賢いんです。あの森の中でも無策では絡め取られそうになったじゃないですか。そんな彼らが、自分達の巣穴に侵入された際、何の迎撃手段も無いなんてあると思いますか?我々はそんな中に入り込んで最奥を目指すんですよ?満足に剣を振れない狭い場所に誘い込まれるかもしれない」


カイトは語りながらもマールを壁に寄せていく、そして手にしたその細い剣を鞘から抜く。


「そういった閉所でもマールを生かせる武器が、この刺突剣なんです」


気迫で壁際まで追い詰められたマールは、反論の余地なく、カイトから刺突剣を手渡される。


「なら、マールの鎖帷子にそれを吊るせるようにしてやろうかのう」


ビルドは机にあったマールの鎖帷子を拾い、マールから刺突剣の鞘を奪うと、鍛冶屋の奥へ向かう。行きがけに足を止め、カイトをみる。


「カイトさん、そのなんじゃ…もしよかったらワシの孫をもらってくれんか?」


唖然、今、なんと言った??カイトは呆然としているとマールが羞恥か怒りか、または両方なのか、顔を真っ赤にしながら立ち上がる。


「じい様!?」


思わず声を張ったマールをみてビルドは吹き出し大声で笑う。


「ガハハ、冗談じゃよ!ワシの孫は誰にもやらんぞ!ガハハ!」


ビルドはそんなふうに盛大に笑い飛ばしながら鍛冶屋の奥に消えていった。


「冗談だからね!!やめてね!意識しないでよ!」


「は…ははは…そうしておきます」


意識すんなー!と、マールは恥ずかしさを紛らわすべくカイトに殴りかかり、カイトは笑いながら殺されかけた。


その後、マールは抜き身のままの刺突剣を握り、少し振り回して見る、刺突剣は外見では想像もできないほどずっしりとしており片腕で振る武器にしては重過ぎる代物だった。しかし、普段から大剣を振り回しているマールにとってはその重みは寧ろ心地よく違和感がなかった。


「うう…馴染む…」


マールが思った以上に手に馴染んでいる事に、声が盛れる。そして側で自分にボコボコにされて伸びている情けないカイトに目を向ける。


「ん…」


初めての気持ちに胸が疼くも、直ぐに首を振って感情を振り払った。しばらくして、ビルドが改良した革の鎧を持ってきた。その鎧の腰の辺りには刺突剣の鞘を通すホルスターが取り付けられている。マールは言われるがママに身に付けると、鞘は動くマールの邪魔にならない位置にあり、想像以上に扱い安かった。


そんなこんなをしていると、当たり前だが外はすでに夜、真夜中に馬車を出してもらうわけにもいかず、出発は翌日となった。


「泊まってけい!」


ビルドはそう言ってカイト達に一晩の宿を提供してくれた、当たり前のように夕食も謎の馬鹿でかい肉を振る舞われ、昼に続き、夜にも巨大な肉に殴られたカイトの胃はボロボロにされるのだった。


「眠れない…」


深夜、ゲイツどゲイルのイビキにマールのイビキも合わさった事でなかなか寝付けず夜風にあたろうと外に出ると外にはハイデがいた。

ハイデはいつもの正装ではなく実にラフな格好で、上を飛ぶハトから手紙を受け取る。


「あら、カイト眠れないのですか?」


カイトに気づいたハイデは振り返り手にした手紙に視線を向ける。その肩に鳩はそっと止まった。


「ゼオラさんはなんて?」


そうカイトに聞かれると、ハイデは険しい顔を向ける。


「…どうやらあまり良くない状況なようです」


ゴブリンは村人を強迫し、襲わない代わりに若い女性を生贄にするよう要求されたらしい。


「亜人は人に容赦はしないと聞いていましたが…」


カイトの問いに、ハイデは首を横に振る。


「はい、亜人は人間に容赦は有りません…だからこれは…」


恐れを抱いた村長達はゴブリンの要求に従うだろう、なぜなら村の中には死んでも蘇れる冒険者で女性であるゼオラが居るのだから。


「はい、ゼオラを差し出そうとして探し回っているとの事です…」


カイトは顎に手をやり、特に動揺を見せる事なくつぶやいた。


「…残したのがゼオラさんで正解でしたね」


「…といいますと、カイトはそれを踏まえてゼオラを残したと?」


カイトは首を横に振る。


「ゴブリン達は我々が出ている所を見ていません。なので先の襲撃で多くの同胞を失ったゴブリン達は、兵の補充のために早急な孕み袋が欲しいはず…わたしは夜を待って奇襲をしかけ、一息に村を殲滅に出ると踏んでいました」


「まさか…」


ハイデが何かを言いかけたがカイトは食い気味に続ける。


「ゴブリンは得意地形に誘い込む戦法しかないのです、もしも村に奇襲を仕掛けた場合はボウガンによる攻撃が可能なゼオラさんの敵ではありません、1人でも充分に殲滅は可能だったでしょう」


だがゴブリン達はそうはしなかった。小賢しく恐怖を利用して村人を操り、危険な冒険者を自らの手を汚す事なく排除しようとしてきたのだ。


「カイトが言った通り、ゴブリンは賢いですね…」


ハイデの呟きにカイトは頷く。


「ええ、恐ろしい賢さです…」


カイトは、亜人達が人間領の情勢を正しく理解している事も考慮するべきだと考えた、村人と冒険者に隔たりがあることも知っていると見てもいい。


「ハイデさん、ゼオラさんに書を送れますか?」


「何を送りましょう?」


カイトは取り出した地図の一部をちぎり、ハイデに渡すとハイデは呪文を口ずさみながら鳩の脚に付けられた小さな筒にいれ、空へ放り投げた。


「明日は、忙しくなりそうですね」


ハイデはそういって大きな欠伸を噛み殺すと鍛冶屋へ戻ろうとした、そんなハイデをカイトは止める。


「あの、ハイデさん」


ハイデは眠そうに止まると目を向ける。


「今朝、マールが言われていた枠なしとは…なんですか?」


聞かれたハイデは鋭く冷たい目をカイトへ向けるも、直ぐに目を伏せる。


「カイトさん、それは本人に直接聞いた方がいいです。もっとも、冒険者じゃないと意味はわからないでしょうけど…」


それだけ言うと、ハイデは大きな欠伸をして鍛冶屋の中へ戻って行った。


いかがでしたでしょうか?

次回はこの章の終盤となります。

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