2の4 使命
バゼラード、準備編です。
新しい仲間がきます。
早朝、儀式の間にナイトキャップに派手な寝巻きのゼノリコがやってきた。背後にマール達も続く、全員城に泊まったのか寝巻きである。すると、薄い寝巻き姿のハイデが側までやってきて顔を寄せて再び顔色を確認する。
「まったく、グースカと三日も寝腐ってからに…」
ゼオラはそう吐き捨てた、カイトは女神の血を飲んでから三日間も眠り続けていたようだ。
「でもこれで、カイトはあたしらの後輩だな!」
ゼオラがいい、マールとハイデが頷く。
「そうなんですか…?ちょっとよくわからないです」
カイトには違いは分からずキョトンとしてくいると、マールがベッドに乗ってくる。
「カイト、ここに力をいれてぎゅーってしてみて?」
マールはそういいながら眉間に指をさし皺を寄せる、カイトは言われたようにしてみる。その瞬間、目の前のマール、ハイデ、ゼオラの額の上あたりに朧げな光で数字が浮かんできた。その数字は自分の頭上にもある。
「す、数字が浮かんでる!」
カイトは興奮して声を荒げると、マール達は口々に祝福しながら拍手した。ただゼノリコだけは不機嫌そうな顔をしている。彼は卑しく目を細めて笑みをこぼした。
「ほんと、しぶとい奴じゃのー、まあ良い、さて、お前の受けた神託はなんじゃろな」
神託?カイトは首をかしげると、マールが答えた。
「僕たち冒険者は、冒険者になった時に女神様から神託を受け取るの、眉間に力を入れながら、右に目を振ってみて?」
カイトはマールに言われた通りにしてみる、すると、指揮者という文字が浮かび上がる。
「指揮者?」
「…知らん神託じゃのう…どれどれ」
ゼノリコはカイトのステータスを開く、が、すぐにみんなには見えないようにしてしまう。
「個人情報じゃからな!」
わたしは見ても良いんじゃないか?とカイトは思うが、ゼノリコが楽しそうなので考えないことにした。
「なんじゃいこの神託は…」
ゼノリコは実に不愉快そうにそういうと再びカイトに目を向ける。今までのゴミを見るような感覚ではなく、どことなく哀れみに似た視線を感じる。
「なに?なーに!?みせてー!」
マールが見たがり、ゼノリコの袖を引っ張るが、ゼノリコは卑しい笑みを浮かべる。
「これは秘密にしておいた方が面白いかもしれん、だから内緒じゃ」
ゼノリコはそういうと、さっさと部屋を出て行こうとする。
「そうじゃ、近いうちに砂の国バゼラードへ行くのは覚えておるか?」
行きがけに聞いてきた。
「え?わたしも行くんですか?」
「当然じゃろ、お前はわしの宰相として働くんじゃからな!!護衛を何名か決めなければならんし、旅支度もせにゃならん、そのあたりの編成や準備など資金の工面は貴様に一任する。ただし、予算は削れよ!それではのー!行くぞゼオラッ!」
「え?あ、おい!!待てよー!!」
ゼノリコはさっさと、部屋から出て行った。その傍らにずっとカイトのステータスを表示したまま…
指揮者 この神託は、加護の上昇に伴う身体能力の向上はない、そしていかなる身体能力恒常の効果も受けることはできない。
この信託を受けたものは視力がよくなる。
この信託を受けたものがパーティに参加した場合、パーティの能力を向上させる、ただし、パーティメンバーとの信頼の強さによって、向上できる能力は上下する。絆がないものはこのスキルを受け取る事はできない。
そして、最後の項目が映る。
この神託を受けたものが死亡した場合、蘇生を受けることは出来ない。
ゼノリコは一通り見つめてから、ステータス表示を消した。
「カイトのステータス、なんか良くないものでもあったのか?」
ゼオラがさりげなく聞いてきた、こういう時のゼオラはとても鋭い。
「今更殺せとかいうなよ?あたしは嫌だからな!」
「…もう、そんな事は言わんよ」
打って変わり、カイトは非常に焦っていた。
「砂の国ってどんなところです!?」
ハイデに聞くが、ハイデもマールも首を傾げるだけだった。カイトの頭の中には砂の国というからには砂漠であることは察していた。そしてアジルの格好を思い出す。質素なフード付きの紺の外套に、革の鎧、布の服。そこから導き出される答えを、ハイデからもらった羊皮紙に木炭で必要な物を書き殴っていく。
「ねえカイト!僕も行きたいっ!」
マールが手を上げながら志願してきた。
「司祭である私と、ゼノリコ様の妃であるゼオラは確定で一緒に行くことになるでしょう。ですので編成に入れないほうがよいかと」
「へ?そうなのっ?ずるいずるいっ!ハイデとゼオラずるい!」
「マール、昨日言いましたよね?しかも一緒に行くか聞いたら断ったじゃないですか」
笑顔のままのハイデの眉間にシワがよるのが見える。
「いや…あはは…」
「もちろん、マールは来てもらいます…しかし人員も資金もそもそも情報すら足りない…何もかもがたりませんね…」
カイトは頭を抱えた。
「とりあえずはまず、頭数を揃えるとしましょうか…」
カイトはベッドから立ち上がるなり部屋から駆け足で出ていく。冒険者になってから不思議と身体が偉く軽い気がする、そして目が良くなっている。これはおそらくゼノリコの言っていた加護の数字による身体能力の向上と呼ばれるものなのかもしれない。カイトはそう考えながら、猛ダッシュで冒険者ギルドへ飛び込んだ。
「はあ…はあ…」
流石に息が上がった、突然飛び込んできたカイトにギルドにいたもの達の視線が刺さる。
「あらカイトじゃん!なに?お姉さんに会いにきてくれたのかな!?」
相変わらず霰もない姿の女性が、大きなビールジョッキを両手に声をかけた。カイトは苦笑しながら軽く会釈をすると、女性は会釈を返し、足速にテーブルへ向かった。そこでカイトの視点は一点に止まる。
「いた!」
カイトは早足に向かい、目的地へ到着する。
「はははは!おっ!カイトさん!!」
目的地にいたのは勿論ボルドー兄弟、すでに多量の酒を煽り出来上がっているゲイルがカイトを呼んだ。
「カイトさん、冒険者になったんですね!」
迎えに座る長身の男、ゲイツはシラフにカイトの額に浮かぶ数字を見たようだ。その隣で黒髪のおカッパに色白な少女、アンネマリーが笑う。
「おめでとうございます、カイトさん」
「おお!それはもう一杯行かねばですな!!」
「みなさん!」
カイトは声を張り、唐突なカイトの大声にギルド全体が静まり、ゲイツ、ゲイル、アンネマリーの三人は唐突なことに驚いたような顔で固まった。
「リコ王様の命令で、砂の国へ行く冒険者を探しています。協力してもらえますか?」
カイトの言葉にゲイルは苦い顔をする。
「ば…バゼラードですか?しかも…王様の護衛!?」
「バゼラードといえば、人間領屈指の貿易国でしたね、今は亜人の侵攻で貿易が滞っているはずですが…」
アンネマリーは流石Vクラスの冷静さを見せる。
「でも、砂の国に行くのはいいけど…あそこで僕たちの装備は…」
砂の国は炎天下、日中の直射日光にあたれば、いかに屈強なゲイツ達の銀色の重装備では満足に戦うことはできないだろう。言いかけたゲイツの肩をカイトは掴む。
「勿論、工面させて頂きますよ」
「ぎゃははは!カイトよう!」
そこでガラの悪いモヒカンのいかにも蛮族のなりをした筋肉ムキムキの男が絡んできた。
「おれは砂の国の出身だぁ!あそこの亜人どもは手強いぜえ!?オークやゴブリンとは訳が違う!!しかも人間の肉が大好物ときた!!ヒヒヒ、きいつけろよ!!ブッコロされちまわねえように…なあ!ギャハハハ!!」
親切に情報を提供してくれた強面なモヒカンは、大笑いしながら席を離れ、大きなビールジョッキを盛大に飲み干した。
「確かに、砂の国といえばホモアントの領域ですね」
ホモアント、カイトは席につき亜人図鑑を開く。そこには紅い甲殻に身を包んだ人型の生物のイラストが乗っていた。
「成る程…これは手強そうですね」
そのイラストの禍々しさにカイトは畏怖を抱き、項目を読み進める。
「あ、あの!」
すると、誰かがカイト達に声をかけてきた、カイトが顔を向けると、そこには褐色の少年が立っていた、少年は冒険者というには明らかに見窄らしい格好をしていた、身体は薄汚れ、装備や衣服も着ることなく裸にボロ布を一枚纏っているような格好をしていた。
「僕、砂の国の出!僕をメンバーへ加える、下さい!きっと役に立つ!」
両頬に不思議な朱色のタトゥを入れた少年は辿々しいカタコトで志願してきた、カイトはマールに言われたように眉間に力を入れる。すると、カイトの視界にうつる話しかけてきた少年の頭上に一桁の数字が浮かんでくる。
「成る程…」
カイトはそんな少年達をみてから、再びゲイツたちに目を向ける。
「では、協力していただきましょう」
「カイトさん!?」
ゲイルの声にカイトは首をかしげる、少年も、まさか採用されるとは思っていなかった様子をみせる。
「本当によろしいのですか?彼は…おそらく」
カイトの金が目的である、アンネマリーは言いかけて言葉を飲み込んだ。しかしカイトは気にしてはいない。
「ちょうど、新たな連携を試したかったんです、本当ならゼオラさんにお願いしようと思っていましたが…」
カイトは怪しく口角を吊り上げて笑っていた。興奮していたのだ、パーティの人数が増えれば増えるほど、彼の脳裏に広がる古代の戦争を見れるのだから。
「一先ずは衣食住ですね」
カイトの行動は非常に早かった、衣服を買い与え風呂にいれ、ギルドで食事がてら彼の素性を聞く。彼の名前はクウ、砂の国で奴隷階級の両親の間に生まれた生まれながらの奴隷である。つい最近、運良く冒険者となれた事で、その身体能力を活かして輸送馬車に紛れこのベルラートへたどり着いたのだという。
「なるほど、その頬のタトゥは」
クゥの両頬には朱色のタトウが彫られている、クゥはそれに触れながら頷く。
「はい、砂の国、奴隷、わかりやすくするためタトゥ顔に掘られる」
「酷い…」
聞くに徹していたアンネマリーが露骨に嫌悪を示した。
「酷くはありませんよ、国というのは得てしてそういうものです。格差があったとしてもおかしくはないし、我々にとっては常識であっても他国では違うことは多々あります。」
カイトはバゼラードの階級制度に理解を示しつつ、衣服を買う時に一緒に買ってきた砂の国の地図を広げ、クウに齟齬を聞いた。クウは奴隷階級という身分にしては非常に賢く、砂の国の地理を正確に覚えておりカイトの購入した地図の間違いを次々に訂正した。
「ふむ…バゼラードの輸送団はいつもどのルートを通るか分かりますか?」
「バゼラードはいつもオアシス迂回する、だから、このルート通る」
クウは手にした木炭で地図に線を入れていく。
「僕がベルラートに来たのもこのルート、このルート危険が少ないと騎手、話してた」
「クウ、ホモセクトとは戦ったことはありますか?」
カイトが問いかけると、クウは首を横に振る。
「ない、ホモセクトとっても強い、それに人間の肉好き、だから、人間捕らえて女王の餌にする。よわい冒険者近づかない」
「そうですか…」
「あ!カイトいたっ!」
そこへマールが元気にやって来た。カイトを見るなり走って来てゲイツをどかして隣に座ると、向かいの席のクウを見る。
「…ありゃ?新顔?」
「はい、砂の国出身の冒険者で、クウといいます。今は砂の国の知恵を分けてもらっています」
「ふうん?」
マールはクウの顔をジッと見つめ、ニイと笑うと手を差し出した。
「僕マール、よろしくね!」
「クウ、よろしく」
クウはマールの手をとり硬い握手を交わした。
「それで、マール、何かありましたか?」
カイトが問いかけるとマールは首を横に振る。
「ん?やる事ないから来ただけだよー?」
「そうですか、なら丁度よかった」
?、とマールは頭にハテナを浮かべて首を傾げた。カイトはすぐに新しい羊皮紙を書き殴る。
「マールは、最前線にいた時にホモセクトと戦った経験はある?」
「ふえ?…うん、あるけど?」
「記憶にある程度でよいので、彼らの特徴を教えていただけますか?」
マールは実に抽象的に擬音で教えてくれた、かわいいね!バカがよ…うん、とりあえず硬いくらいしかわからなかった。
「となると、我々の槍は通らないですかね」
ゲイルは腕を組み険しい顔をする。
「とりあえずはビルドさんに聞いてみましょう、皆さんは先に鍛冶屋へ行っていてもらえますか?」
「うえ、じい様のとこいくの?」
カイトは聞きながら立ち上がり、側を歩いていた給仕中の女性に金貨を渡す。
「カイト殿は来られないのですか?」
「先に、今回の遠征に使用する物資、物品、食糧などを準備しておきたいのです。ですのでそこらへんを調整しておかなければ」
「はは…いきなり多忙になられましたな」
ゲイルは引き攣ったえみでそうぼやいた、ゲイルたちの前で、カイトはいつになく楽しそうに見えていた。実際カイトは楽しんでいた、王の護送という名の遠征というシチュエーション、しかもその戦略を全て自分の好きに出来る事に。
「マールとクウは一緒に来ていただけますか?」
「なに?デートのお誘い?」
と、マールはジト目で実に嫌そうに吐き出してきた。
「は、ははは…そんなところです」
クウは気にせず立ち上がると、マールはため息を吐き出してたちあがった。
「では皆さん、後ほど!」
カイトがマールとクウを連れたことにはちゃんとした理由がある。マールはこの国で生まれ育っている為、この国の地理に詳しく顔も広いそのうえこの性格なため、ベルラートの一般市民との橋渡しができる。ベルラートは外とは違い冒険者には好意的ではあるが、やはりどこか隔たりを感じる部分がある。その手の隔たりに縁がないマールがいれば、交渉時に円滑に進みやすいと、カイトは考えた。それと砂の国の風土に詳しいクウがいれば、向こうの気候でも腐りにくい食物を知れる。
「おっちゃん!こんにちは!」
「おお、マール!相変わらず元気じゃの」
案の定、マールは住民との隔たりはほとんどなく、遠征中の食料や馬車の確保に苦労は無かった。
「干し肉よし、穀物よし、新鮮な野菜は酢に漬けて…あとは家畜用の飼料ですね」
羊皮紙に書き殴っていると、マールが横から覗き込んでくる。
「多すぎない?バゼラードまでは一日くらいだよ?」
「…いえ、これで大丈夫です」
カイトの言葉にムッとしたマールは羊皮紙を取り上げる。
「なんでさ、僕達に王様にゼオラとハイデでしょ?」
「バゼラードから来るアジルさんと警護の騎馬部隊、それと騎手の分も入っていますよ」
するとマールは再び手にした羊皮紙を眺めた。
「アジル兄ちゃん来るんだ。でもそれにしても多いんじゃない?」
兄ちゃん?マールは直ぐに疑問をぶつけてくる、カイトは頷いた。
「はい、三日分有ります」
「えー?なんで?下手な事すると怒られちゃうよ?」
マールの心配にカイトは口角をあげて笑う。
「不測の事態は常に考えておかなければなりません、砂漠の横断は天候にも左右されます、砂嵐などに襲われたら進めませんし、ホモセクトの襲撃も考えれば食糧と水は多く持っていた方が良いでしょう」
「心配しすぎだとおもうけどなあ…」
マールは頭に手を持っていき不満を表情に出している。
「ちなみにマールの食事量もしっかり計算に入れてます、一日3食お腹いっぱい食べても大丈夫な量になってますよ」
「ほんと!?」
マール、というより冒険者はかなりの大飯食いであり、一度の食事でも大量に食べる為その辺りも計算に入れなくてはならない。それにしたってマールの大食い具合はそれ以上で、しかもかなりの偏食である。
「それに、行軍ルートは大オアシスの横を通るんです、大オアシスには危険な竜のような外見の巨大海魔もいると聞きます、ね?クウ」
退屈そうにうつらうつらしていたクウに話を振る。
「いる、四つ足に大きな口の海魔、良く陸で身体を乾かしてる」
「そ、それがなんだっての?」
「いたら狩猟をお願いします」
途端にマールの表情が変わる。
「泉で美味い魚を鱈腹食べて外敵もいないのでまるまる太った海魔の肉は美味しいでしょうねぇ、干し肉と質素な小麦パンの寂しい食卓にマールが血肉滴る海魔を持ってきたら…みんな喜ぶでしょうね!」
現代にはワニという大型爬虫類がいる、その海魔はイラストで同じ外見をしているため、味が同じな可能性は十分にあった。カイトのいた現代には古代最強を誇ったローマ軍が、行軍中の野営の際に兵達には様々な役割が与えられていた。その中でも狩猟任務は一番人気だったと言われている。血気盛んなローマの戦士たちは自分の武勇を誇れ、質素なパンと塩漬け干し肉だけの味気ない食卓に新鮮で血肉滴る肉を追加するのだから士気の高揚は言うまでもないだろう。
「任せて…」
少し焚き付け過ぎたかもしれない…次にカイトは1番の問題にぶつかる、それは、水である。
「砂の国、ヤーミルを馬車に使う、水、すぐ腐る。ヤーミルのミルク出す、それで砂漠渡る」
ヤーミルというのはこの世界のヤギのようなものだろう、カイトの現代では、過去、モンゴル帝国という強国が砂漠を渡って敵地へ攻め込んだ際に、ヤギを連れていたと言われている。
「ヤーミルはベルラートにはいないなあ…」
「最前線にはいたの?」
「最前線は各国から選りすぐられた冒険者があつまってるからね、鎖国?してる花の国を除けばみんないるよ、もちろんバゼラードからの冒険者達も!」
「なるほど…」
カイトは水をどうするかに頭を悩ませていた、ヤーミルがいればそれで大丈夫だったが、それがないとなると水が必要となる。衛生面を考えるとオアシスから汲んだ水は飲み水には使えないだろう、海魔に襲われる可能性も考えると迂闊に近づくのも危険が伴う。飲料としての水に、衛生面の確保のための大量の水は確実に必要になる。
「水も三日分ほしいの?」
カイトが頷くと、目の前にクウがうつる。
「クウがベルラートにくる時、どうやってきたの?」
聞けばクウは少し考えるような仕草をする。
「水玉、丸くて大きい、水が出る果実…」
その手があった、カイトは閃きマールを見る。
「マール、ベルラートにスイカはありますか?」
「すいかって…何?」
マールは首をかしげる、この世界では呼び方が違うのかもしれない。
「これくらい丸くて、緑色で」
「ああ、水玉の事??あんなのつかうの?味ないよ?水は出るけど青臭いし」
「生産しているところはあるんですか?」
「つくってるわけないじゃーん、売れないもん、市場に行けばたくさん売れ残ってるんじゃないかな?」
カイトは直ちに市場へと走った、そして市場の八百屋に山積みにされているそれを見つけ手に取る。
「……よしっ!」
ありがたい事にそれはカラハリスイカであった、厳密には違うが、限りなく近い種であるのは違いない。古代の文献には水分を多分に含んだスイカを水筒代わりにして砂漠を渡ったとされる記録がある、それがこのカラハリスイカ、高温に強く腐りにくく、多分の水を含んでいる。
「店主さん、これ一つ割ってもいいですか?」
「お?…ああ、それか、いいよ?お客さん物好きだね!」
ベルラートでは需要がないため売れないようだ、店主の許可を得たカイトはダガーを突き刺した。途端に溢れ出す果汁が溢れ、カイトは口をつける。口一杯に青臭い味が広がる。
「美味しくないでしょ?」
マールはそういうが、カイトにとって味はどうでもよかった。
「店主、この水玉、残っている分含めて全部下さい」
「おう、毎度…え!全部!?」
「はい、全部!後ほど、王国の荷馬車を寄越します」
カイトは羊皮紙に名前を描き、差し出す。
「わたしはリコ様の宰相です、他にも水玉があったらそれも全部貰います、必要な金額はここに書いていただいて、後ほど来る荷馬車に載せる際に渡して下さい。
「さ、宰相様ァッ!!?…ずっと空席だったのに!?いや、ですがその服…!?は!ははっ!!すぐ!計算してまいります!」
目玉が飛び出るぐらい動揺を示した店主は、慌てて走っていった。
「カイト、いつ宰相になったの?」
「昨日…あ、私は三日寝てたんでしたか、四日前の昼頃ですかね」
「うえ…あの時か…」
マールには苦い記憶なのかもしれない。
「よし、後は装備ですね」
「見つけましたわ!!」
そこで遠くの方から聞き覚えのある声と共に、誰かが全速力で走って来る。それは鮮やかな緑色の髪をポニーテールに結び、RPGのヒロインのような整った顔立ちの女性。
「なんだ、ガルーダじゃん…」
マールが無感動に呟く。
「何だとはなんですか!!まあ良いですわ!今は貴女に用はなくてよ?」
そういってガルーダはカイトに向き直り、カイトを見ると膝をついた。
「ギルドで聞きました、砂の国へいく護衛部隊を編成していると。どうか!私も加えて下さい!」
「はあ!?」
マールが声をあげて拒否感を示す。
「良いですよ」
「えええっ!?」
カイトの言葉にマールは更に声をあげる。ガルーダは笑顔で顔をあげた、しかしカイトは笑顔のまま提案する。
「でも、条件があります」
カイトは続ける。
「私の編成は群で動きます。なので、足並みを揃えられない人は適さないのです、マールは私のパーティで攻撃の要になる大事な剣です、なので彼女の士気を下げるのは望ましくありません」
カイトは息継ぎをしてからつづける。
「二度とマールを枠なしマールとは呼ばないこと。それから、今までの非礼を今、ここでしっかりと声に出して謝罪して下さい。それが出来るなら、わたしは貴女を歓迎しましょう」
驚き目を見開くマールと、驚愕に顔をあげたガルーダ、普段の彼女であるならプライドを傷つけられた怒りで剣を抜いていただろう、しかし、できなかった。カイトのどこまでも冷徹な瞳を見て言い知れない恐怖を覚え、身体が震えたからだ。
「…カイト、そいつプライドの塊だし頭カチカチだから絶対謝らないよ?」
「今までの非礼、申し訳有りませんでした!」
「ほらね?…は?」
マールは目を疑った、あのプライドの塊だったガルーダが深く頭を下げて謝っていた。見れば手を血が出る程に握りしめている。
「羨ましかったの!私より可愛くて強くて、育ちにも運にも恵まれているあなたが!…だから…ごめんなさい!」
ガルーダは泣きながら絞り出すようだった、今までの嫌味の全てが妬みから来る嫉妬による憤りが原因であったこと、そこでカイトはマールに目を向ける。
「…わかったよ、僕も今までごめんねガルーダ、仲直りしよ?」
マールは歩み寄り、ガルーダに手を差し出す。ガルーダはその手を取り立ち上がった。
「これからよろしくね、ガルーダさん」
「はい!」
そして、ガルーダを加えたカイト達は、ベルラート国内の南区にあるビルドの鍛冶屋へやってきた。ベルラートで伝説となった元Aランク冒険者が営む鍛冶屋で、熊のような老人がにこやかにで迎えた。
「おう、カイトか!よくきたのう!」
カイトは毎日のようにビルドの鍛冶屋に足を運び、初めはびびっていたカイトも流石に慣れている。すぐさまビルドと共に鍛冶場へ入ると、中ではゲイル達がすでにくつろいでおり、ゲイル達はメンバーが増えていることに驚愕する。各々の自己紹介を済ませ、ビルドに砂の国へ行くことを話た。
「確かに、砂の国でその装備じゃ1分も持たずに熱中症で死ぬの。おまけにホモアント共の甲殻には槍や剣は中々通らん」
元A級、伝説とされるビルドの経験を聞き、カイトは腕を組む。
「なるほど、ですが、昨日お会いしたアジルという人は片刃の湾曲刀を下げていましたね」
するとビルドはポロリと加えたパイプを落とす。
「バカもん、一般のやつらをアジルと一緒にするでない、奴ほどの使い手ならホモアントの甲殻は関係ないわい」
ビルドの言葉にすっかり仲良くなったのか、隣同士にすわるマールとガルーダが同時に頷いた。
「アジル兄ちゃんは別格だよっ」
「ですわね、剣士の神託を受けたものでアジル様の右に出るものはそうそうおりません。」
そこまで聞いてカイトは腕を組む。
「アジルさんはたしか今D級でしたか…」
「カイトさん、冒険者の級とはその級に見合う実力と功績がなければ昇格は認められません。実力至上主義ですね、飾りではないという事です」
「親のコネありなら孫のマールは今頃A級じゃよ」
「絶対辞めてね!僕は自分の力でAになるんだから!」
カイトは考え込んだ。砂漠という劣悪な環境で古代の戦争を想起する。視界にクウがうつる、どこか退屈そうにしている。そうだ、彼のおかげで砂漠を移動する際のスイカを使う案を思いついたのだ、そして今日を振り返る、食糧を確保し…あったではないか、カイトはそこで不意に飛び上がり、机を叩いた。
「カイト?どったの??」
マールが心配そうに目を丸くしている、しかしカイトは歯を剥き出しにして笑っていた。そうだ、あったではないか、カイトのいた現代に、古代の西方で最強を誇った強力な軍隊が。
「ビルドさん、少しよろしいですか?」
カイトは羊皮紙を取り出すと、大まかなデザインを伝える。
「な…なんじゃいこれ…盾や兜は簡単じゃが…これは、鎧かえ??」
ビルドは困り顔をし、マールが横から覗きこむ。
「うげー!何これ!」
マールも面倒そうに声を張った
「言っとくけど!僕はこんなの手伝わないからね!」
マールは唐突に拒否のセリフを吐いた。
「あっ…」
そこでカイトは今、異世界人に知識を教えてしまった事に気がついた。しかし、カイトのやろうとしている事は古代の戦士たちが使っていた武具である。当然彼らと脳内でマールを戦わせた事もある。結果はいうまでもなくマールの圧勝である。
「でも一応伝えておいた方がいいね、ちょっと城に報告へ行きます、クウも一緒に来てもらえますか?」
「ん、」
「じゃあ、僕も…」
「お前は手伝えい」
むんずと肩を捕まれ、マールは工房の奥へ連れていかれた。カイトは鍛冶屋から飛び出し、クウも続いた。
「カイトさんっていつもあんな感じなんですの?」
ガルーダは3人にぼやく、もう慣れた三人は苦笑する。
「たまに恐ろしく感じる時もあります」
「アンネマリーさんもそう思う?僕もそうなんだ」
「程よく狂っていますよね、カイトさんは」
ゲイルはそうぼやきながら笑っていた。
「おい、わし言うたよな!?異世界人に知識を教えるなと!何を教えた?銃か?爆薬か?」
ベルラート城、玉座に胡座をかいたゼノリコが激怒し、手にしていた胡桃を握りつぶそうとしている。当然やわな彼の力では割ることはできず顔だけが真っ赤に高揚する。
「ダメじゃ!!ゼオラ、やっとくれ」
「お前、ほんっともやしだよな」
ゼオラはやれやれとゼノリコから胡桃を奪うと、瞬く間に割ってしまい、自分で食べ始めた。
「…それにそいつバゼラードからの密入国じゃろ!しかも奴隷身分の!お前はアホかえ!?なんで奴隷を買いたがるんじゃ!?」
クウを指差して怒鳴る。
「クウは、志願した、カイト、やさしい」
「む…ぐ!…はぁ…良い、許す」
ゼノリコはクウには怒鳴らず、素直に許した。
「ギルドで呼びかけたところ、こちらのクウが志願して来たので採用しました。それからいつものボルドー兄弟、アンネマリー、マールとガルーダが加わります」
「ガルーダ?ダメダメ、カイト、あいつはマールを目の敵にしていっつも喧嘩を吹っかけてくるアホだぜ?」
カイトはニイっと笑う。
「志願してきた時に謝罪させました、マールも許したみたいですよ?もうすっかり仲良しですね」
その言葉にゼオラは不審そうにしている。
「ゼオラ、ちょっと鍛冶屋まで行って見てこい。嘘じゃったら即斬首じゃ…」
「うん、見てくる。ゼノ、あたし今夜パスするわー」
「待って、冗談…パスはゆるして…」
「ニシシ、許して欲しいなら変な事すんなよ、ハイデ、次は蹴るって本気でいってたかんな?」
「わ、わかった…」
ゼオラが走っていき、部屋にはゼノリコ、カイト、クウが残された。
「おほん、で?何を教えた」
「古代の装備です」
カイトの答えにゼノリコは眉をひそめる。
「どれくらい古代じゃ?」
「紀元前ですね」
「お前、ほんと紀元前好きじゃな!オタクかえ!?オタクじゃったわ!」
「25年もののヒキニートですよ」
カイトの皮肉にゼノリコは吹き出して笑う。
「で?それが完成した場合、戦争に使えるのかえ?」
「亜人には有効でしょう、ですが冒険者相手にはむりですね、頭の中でマールを仮想敵に100通りほど戦わせましたが、どれも勝てませんでした。」
「おまえ、マールを強く見積もりすぎじゃないかの?」
「そうでしょうか?ですがこの世界の冒険者の力の基準とするにはぴったりな人選かと」
ゼノリコはカイトの言葉に目を細めた。
「クウといったか?ゼオラが夜道で暴漢に襲われたらいかん、迎えに行ってもらえるか?」
クウはカイトに顔を向ける。
「わたしからも、お願いします」
「ん、わかった」
クウは頷くと、風のようなスピードで走って出て行った。ゼノリコの露骨すぎる人払いの後、ゼノリコは玉座から立ち上がる。
「ちょっとこい」
ゼノリコは奥の寝室へカイトを連れ込むとガッチリと鍵をかけ、音遮断の魔法をかけ窓を閉ざし、カーテンわ閉じ、完璧な密室を作り上げる。
「カイト、マールがギルドでどんな呼ばれ方をしているかしっとるか?」
「枠なしマール、ですね」
ゼノリコは頷く、そして空中で指を動かしステータス画面を大量に開く。それは膨大な量の…ベルラートに住まう全員のステータスだった。
「この世界は、冒険者になる手段が二つある。一つはお主がやった、女神の血を飲み生還する事」
ゼノリコはしきりに周囲の気配に気を配りながらも、数個のステータスをピックアップする。
「もう一つは?」
「生まれた時、既に冒険者であること、じゃ」
「遺伝、ですか?」
カイトの言葉にゼノリコは首を横に振る。
「冒険者は遺伝せぬ、死んだマールの両親は冒険者ではなかったからのう」
マールは両親を亡くしていたのか…カイトはゼノリコから渡されたステータスを見る、それはボールドー兄弟のものだった。ゼノリコのステータスは履歴書のようなデザインで、顔、年齢、住んでいる場所、そして冒険者になった時期も書かれている。
「感傷や同情はするなよ、マールが産まれて直ぐの事故じゃ、運良くマールは両親の顔も声も知らん。」
そしてマールのステータスを渡してくる、冒険者となった時期が生まれた日、生まれた時刻で記されている。
「マールは神託がないのじゃ、裏返してみよ?」
裏には神託の項目がある、新たにゼノリコは自分のステータスを渡してきた。神託の欄にははっきりと指揮者の文字が書かれていた。マールの方にはそれがない。
「冒険者同士でも確認する手段があったはずじゃ、わしは冒険者じゃないからわからんがの」
「枠に何もない、だから、枠なしマール?」
ゼノリコは頷き、カイトは口を開けた。
「そんな、確か神託はそれに記された装備や格好をすると、身体能力が大幅に向上するんですよね?」
ゼノリコは静かに頷く。
「では、マールのあの馬鹿げた身体能力は神託による効果は受けていないと?」
「そうおもうかえ?」
ゼノリコはまっすぐ目を見て聞いてきた。
「あるんじゃよ、神託、だけど見えなくなっとるんじゃ」
ゼノリコは隣にやってきて、マールのステータスを掴むと、神託の欄を指で強く引っ掻いた。
「!?」
そこには、マールらしい大きな二文字でマールの神託が書かれていた。
勇 者 と。
「口に出すなよ、女神が聞いとるかもしれん」
ゼノリコは手を震わせながらマールのステータス画面を消してしまう。
「この事は、他に誰か?」
「わしと、お前、それとビルドだけじゃゼオラのやつも鋭いからの、ひょっとしたら何かしら掴んどるかもしれん」
「ゼオラさん、それとハイデさんはしっていそうですね」
「じゃな…」
ゼノリコはベッドに腰掛け頭を抱える。
「この神託がどんなものなのかは分からぬ、なにせ神託の内容までは見れんかったからのう」
しかし、この世界にある最古の本に、勇者の存在が書かれていたのだという。
「その過去の者も、産まれた頃から冒険者として産まれてきた記録も残っとる。そしてこうも描かれていた『勇者は、使命を得たときこの世界へ現れる』とな」
「では、マールは使命を得たときに?…使命って」
「おぬし、ゲームとかしたか?RPGとか…やってたか?」
「え…?ああ、はい…それなりには」
カイトの言葉にゼノリコは目を細める。
「勇者の使命は、命を賭けて魔王を倒し、世界を救う事じゃよ」
……カイトは黙ってしまった、その言葉を出したくはなかった。
「遠くない未来、魔王がこの世界に現れるということじゃな…」
「その時、マールは…」
カイトの言葉にゼノリコは頷いた。
「カイト、この先、どんな事があろうともマールの側を離れず護れ、何があってもじゃ、たとえワシが死ぬ事があっても。マールを優先せよ」
「リコ様は不死身のギフトでしなないじゃないですか」
「アホウ、例えというとるじゃろバカが、マール(勇者)はこの異世界の宝じゃ…故に、決して失われぬようにせにゃならん」
「そういえば、私が女神の血を飲んで寝込んだ時、悪夢の中にマールが来たんですよ」
…ゼノリコは腕を組む。
「勇者の持つスキルかもしれんな」
「スキルって…ゲームじゃないんですから」
「うっさいの!悪かったのうゲーマーで!」
そこで、カイトは夢の中で厳格の父とした約束を思い出す。使命を果たせ、と。
それはもしかしたら、マール(勇者)を守り、その使命を完遂するまで見届ける事なのかもしれない。父は言っていた、自分で見つけろと、そして彼女を待たせるなと。
であるなら…
「私の使命は、マール(勇者)の羽化まで守り、その使命の完遂を見届ける事」
その瞬間、ゼノリコの視界には映っていた、カイトのステータスの神託の効果に、新たな項目が書き加えられる瞬間を。
この効果は、【勇者】の神託を持つものにしか適当しない。
指揮者は、勇者と共にある限り死ぬことはない。ただし、勇者から信頼されていなければこの効果は得られない。
指揮者は、勇者に対しては更に上乗せして効果を与えられる。ただし、この能力は勇者の信頼を必要とする。
その後、カイトの集めた輸送用の資材の多さと高さにキレたゼノリコにたっぷりシメられ。鍛冶屋に戻った頃は既に深夜だった。
「あ、お帰り」
珍しくマールが深夜に起きていた、普段のマールであったなら今頃うるさいイビキをかいている筈だが。
「珍しいね…」
カイトが聞くと、マールは何気なく空を見上げた。
「カイト、今日はありがとう」
マールは唐突に感謝を言葉にしてきたが、カイトには心当たりがなかった。
「別に感謝されるようなことはしてないですよ」
そう言って、マールの隣に言ってみる。
「カイト、僕が枠なしって言われてるの知ってたんだね…」
「ええ、それと、それを言われるのが嫌なのもわかります」
カイトが目を向けると、マールはジッとカイトを見ていた。
「カイト、ここにぎゅーって力を入れて?」
マールは急にそんなことを言ってきた、カイトは言われた通りにし、マールの頭上に数字が浮かぶ。
「そうしたら、目を右に向けて?」
マールの指示通りにすると、マールの頭上は壊れたパソコンやテレビのようなノイズによって見えないようになっている。カイトはそのノイズの向こうの文字を知っている。しかし、きっと伝えてはいけないのだろう。
「これが、僕が枠なしって言われる理由、僕は神託がないんだ」
「マールってお化けをどう思う?」
「雑魚、大体1発」
…この脳筋がよ、カイトは苦笑した。
「でも、カイトの癖に生意気だよね。大事な剣とかさ…」
「事実ですから、頼りにしてますよ?」
言えばマールは顔を赤くして背ける。
「そういうのが生意気だっての…本当に」
マールはもじもじとしながら背を向ける。
「もう!僕もう寝るから!」
そう言って、さっさと鍛冶屋に戻って行く。
「カイト!」
振り返ると、マールは手を振る。
「今日、かっこよかったよ」
それだけ言うと、さっさと鍛冶屋の中へ入って行った。
「………」
カイトは生前の25年、異性と話した経験は一切なく、感謝されたことも褒められたことすらない。初めてだった、故に、興奮していた。例え相手が十数年歳が離れている年下だとしても…関係なかったのだ。
「駄目だよカイト、マールは…犯罪だよ…」
カイトは激しい動悸を、自分に言い聞かせて落ち着ける。この異世界に現代のような犯罪があるのかはわからないが、カイトは胸を抑えながら何度も呟き、落ち着けるのであった。
枠なしマールの理由、そしてマールの神託が判明しましたね!
この先、マールが勇者として羽化する時はくるのでしょうか?
お楽しみに、次回は遠征編です




