22.4.5
22.4.5
僕は何もかもが怖い
何も考えたくない
君にも会えるかわからない
喜ぶこと
悲しむこと
好きだった本や楽器
世界の全てに傷つきそうな勢い
もちろん別れることも裏切ることも
ごめんなさいと言えば許されるというのか
私はいつも苛だっている
優しい冷たい厳しい言葉
教室のクラスメイト
表か裏かの短絡的思考
笑っていた自分
手元にある正義の教典
現実も夢も息が詰まる
このまま進めれば手詰りと知っていて
指は止まらない
覚悟を決めるべきか
まだ道を探すべきか
変わりたい
同じ言葉同じ語彙
自分の臭いを消したい
怒鳴り声が反響する教室
突然一流の皮肉と共に向けられる軽蔑
励ましようのない鏡像
とにかくこうじゃなければいい
変わりたくない
枝をへし折り
そこから血が流れるというのなら
弱いままでいい
今なら言わない言葉に
罪悪感すら持たなくなるというのなら
手放してしまいたい
また嫌な気分にはなりたくない
騒がしい割に叩きのめされるような物はいらない
本音を後から叩き潰す嗤笑も別に不要だ
全部忘れて楽に健康に生きていきたい
桜が咲いている
それは一日で満開になった
ほの白い時報が道路の奥まで広がった
ふと見上げれば病巣
穴の開いた幹から寒緋桜の一枝
どこから流れてきたあの花弁
やはり
いつまで見ても物足りないと感じた
一重の桜など
目に入る刹那の清らかさと
後はいくら見つめていても何も分からない
"せつなさ"など"はかなさ"など到底分からない
花芽の数も少なくなってきたけれど
本当にまた来年も会えるのかな
切り株でもいいから会えると良いね
春雨が鮮やかな灰色を連れてくる
西の空に棚引く雲はまだ明るい
花が咲いたね
日がのびたね
上着を着ていったほうがいいだろうか
凝りもせず毎年そんな会話を繰り返す
瞬間暁の闇と雷鳴が胸を突いた
わたし達こうやって年を取っていくんだろうか
みんなと同じように老いて
己は己で無くなっていき
最期は必ずやってくる
それはとてもおそろしい
いっそ今
花咲く前に
花散る前に切り取られてしまえ
そうであったなら春の心は
白い春の陽光
桜吹雪の中で歩みを進めてしまう
僅かな夢に過量の芥子
どうして前を向いてしまうのだろうと思っているのに
ずっと閉じこもっていたかったのに
花散る道を花びらのように歩きたいと体が言う
静かに綿雲の流れる空を見て笑いたい
空間を象る花弁は
いつまでも終わることなく降り注いでいる
あなたが微笑んでくれるようなことをしたい
悠久の時も自分の外見も誰かがどう思うかも関係なくなるような
今この時が幸せであるように
この先がどうなろうと