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リオン -剣術使い-  作者: 笹沢 莉瑠
番外編1 三ヶ月の訓練期間
55/65

【番外編1-15】かくれんぼ終了

 駆け寄ってきたエリムの脇には、背の高い金髪の男の人と目をひく緑色の髪をした少女がいる。感覚的にいうと、多分男のほうが精霊のバロシオンということか。それで、そっちの女の子は?

「うん、今日知り合ったばっかりなんだけどね。エーシャっていうんだ。エーシャ・アデシヤ」

 あれ、なぜ俺の考えが読めるのエリム? それになぜにそのエーシャちゃん、を見る目が熱っぽい?

「そこの子は誰、っていう目で見てたじゃん。それで、エーシャ。こっちは文官の見習い期間の部屋で同室者だったジアンだよ、ジアン・マクシア」


 あっ、エリム! 何気に軽くスルーするなよ。てか、今日初めてあったんじゃなかったのかよ。

「あっあの。初めましてジアンさん。エーシャ・アデシヤです、呼び捨てで結構です・・・」

「あっ、こちらこそ。エーシャ、でいいのか。ジアン・マクシアですって、お互い敬語はなしでいこうぜ」

「あ、は・・・うん! ジアン君よろしくね」

 いやぁ、やっぱり立場的に女の子に君付けされるほうが、すんなりいく。まあ、俺は友情フラグしか立てないぞ? てか、そっちのほう期待するなよ? ストーリーの主筋はあくまで(アクション)ファンタジーなんだから、二股なんやら三角関係を期待するのは見当違いだ。そっちを期待している人は、作者に直談判するしかないぞ?


「ヘックー? そこの三人漫才も面白いけど、こっちも面白いぞー」

 とりあえず、面白くする為にヘックを呼んでみた(笑)。他人の目から見ても息ぴったりな三人の後ろにいたヘックは、面白そうということでこっちによってきた。まずは紹介しておく、面白くね。

「ヘック、このこエーシャ・アデシヤ。エリムの思い人なんだって」

 ボッと同時に顔を赤らめたファーストネームがエの二人。もしかして、このために二人の名前がつけられたのか?! 計画的犯行?

 まあいいや。ヘック、ナイスなコメントを頼むぜ。

「へぇ~? (意味ありげな目でエーシャの頭からつま先を見ると、親指を立てた!)まっ、身の危険を感じたら逃げれぇばいいんだかんな。俺はヘック・カーロンつぅんだ。よろしくな」


 うぉっし。固まった! ヘックにあとでこっそりグッジョブって言っておこう。

「なっ・・・なっ」

 エリム、しばらくそのまんまでいいよ。面白いからーー!!

 あはははっ、もう笑いがとまんねぇー。ヘックも口元を必死に押さえて笑っている。

「ぼッ僕達で遊ばないでくれっ!!」

「ぶっ! くくくくくっはははははh」

 あー、もうだめ。喉が痛いし、笑うのやめよ。


 あ、やっと動き出した。城のなかが分かるのは、変人騎士さんとマリさんだけだから、あの三人が今先頭にいる。その後ろに精霊の二人が、俺にはまったく分からない謎の言語で話し合ってる。

 漫才をしながら、呪文みたいなごにょごにょ声に耳を澄ましている三人。いそがしーね。

「あの、それで。あの騎士さんたちは、どなたですか?」

「そっそれ! 僕も思った。騎士って鬼じゃないの!?」

 あー説明するの面倒だな。ヘック、いってやれよ。

「ジアン、面倒くせぇなんて思ってンのか? 俺はぁ説明しぃひんで」

 なんでや。いいじゃんべつにーー。説明するぐらい、やったげればええのに。

「なんで、おめぇも訛っとるのや。てぃや、ぼそぼそと不気味に呟かんで」

 呟いてなんかおらんわ。


                                   *


 まぶしい金色の光が、リク城全体に差し込んでいく。リク城の敷地で一番高い塔の一番上には鐘が備え付けられている。城の人々はこの塔をイーゼル塔と呼んだ。塔のなかに、当時のディオン当主の婦人イーゼルの部屋があったことから、そう呼ばれている。

 塔の屋根に、帽子以外ピンク色の服を着た少女のようないでたちをしたシャスールが立っていた。高所ゆえ強く吹き付ける風にもびくともせず、風になびく髪を触れた。その直ぐ下、鐘をつくための所ではレベッカが下を見下ろしていた。レベッカの足元に昏倒している兵士がいるが、空気と同然に扱っている。

「ねぇ、レベちゃん♪ ちゃぁんとウタ聞こえたかなぁ」

「聞こえたはずよ。あたしのウタ、失敗したことないんですもの」


 シャスールは、どこからか箒を出現させそれに飛び乗った。箒は宙に浮いたまますぃーっと空中を移動して、塔のまわりをまわった。なにやら某魔法少女みたいだが、スルーする。

「でもさぁ。前はネイロでやってたしぃ、補助具もあったからねー。ちょっと心配」

「大丈夫なはずよ。前は、遠距離の連絡だったから色々と頼る必要があったわ。だけど、今回は距離が近くて、ウタ声を防ぐような芸当が出来ない未熟なやつらだったじゃない」

 長いレベッカの黒髪が、まるで生きているかのようにうねった。シャスールは、レベッカの目を正面からみつめた。


「そう、かなぁ? まだまだ未熟っていうのは否定しないけどぉ、ワタシたちみたいな長いこと生きられる人じゃなくて、そこらの兵士とかに対して精霊チャンを使うのは得策だと思うよ~」

「何? 精霊が個人的な知り合いだから贔屓ひいきしているわけなの?」

 少し問い詰めるような厳しさを持ったレベッカを一蹴するように、シャスールは声を立てて笑った。その様子に、レベッカがむっとした。

「そんなわけないじゃん? だってワタシの――ボクのご主人様が褒めておられるから――ワタシも褒めただけだょ?」


                                *


 俺が仕方なく、赤鬼とかいうものの説明して、どうこうなったのかっていう報告をしてみたら、ちょっと気になった。

「そういえば、ヘック。結局勝ったの?」

「いんや。でンも、アレが試合やなくて決闘やったら俺が勝ってたんだろ」

 ・・・・・・それは、つまり? 殺してもいいような戦いだったら、迷わずいけたと。

 あー。つまりは、人を殺した経験があると、ね。いやぁ、いつになく久しぶりのシリアスな気がするが、まあいいや。

「まぁ、殺伐とした詳細は聞かないことにするよ。それで、エリムたちの方はどうだった?」

 うん、と頷いたエリムが比較的簡単に説明してくれた。俺より断然説明うまいなぁ、おまえ。


「二人と分かれてから、鬼をひきつけながら走ってたら室内訓練用みたいな部屋にたどり着いたんだ。それで鬼に触れないで返り討ってやろうかと思いついてね」

「ほぇー、エリムがやるなんぞいうからには、思いっきりやられたんやろなあ」

 エリム。かすかに口元をあげる様子、とっても怖いよ!? あんまり怒らせないようにしよう、うん。

「とりあえず、鞘に入ったまんまの剣で急所を打っといたよ。もうしばらくは目覚めないんじゃないかな。そうしたら、不思議な気配というか力を感じたんで振り向いてみたら、精霊がいてね」

 あ、エリム、そんなのを感じ取れるのか。すごっ! なんか俺、二人に比べて経験不足だな。いや、年上ってこともあるんだろうけどさ。一年でも、差があると結構違うもんなのか?


「バロシオンが、ビリーの使いだって聞いたくらいかな。そのとき彼女、エーシャが飛び込んできたんだ」

「ちょっと、待て。それが二人の初対面?」

 俺が鋭く突っ込んでみると、エーシャが案外きっぱりと言った。

「ちっ違うの、ジアン君」

「え、じゃあ。いつ出会ったの? いや出逢ったんだよ?」

 俺の、なんかアレな言い方(笑える!)。まるで、もう付き合っちゃってるorゴールイン寸前のカップルに出会いから聞いているみたいだぞ?


 俺のごく普通(? いやまぁね、相思相愛の二人を対象として言うことにおいては普通)の質問に、名前の頭文字にエがきて、並ぶと容姿が反対なお二人は、初対面の場面が色鮮やかによみがえったのか、さっきに勝るとも劣らない勢いで、まくし立てた。

「あっあっあっあの!! そっそんなことよっよりも、いっいいまはえっエリムさんのお話!! そう! おはなし、聞きませんかっっ!!!! きッ聞きますよね!!」

「そ、そうだよ!!?? ぼッ僕の話を聞いてくれよ!! そもそも僕に話を催促したのは! 君じゃないか、ジアン!!」

「あはー。名前の頭文字にエがきちゃうお二人さん、そんなに必死だと逆にヤマシイことがあるみたいだけどなー」

 「なー」の部分で俺とヘックが同調してみると、二人は顔を赤くしたまま勢いを失った。いやー、合流できてよかったよ。



 そんなこんなで、ようやくたどり着きましたー、あの広間。このまんまだとダラダラつづくので、一部省略しているが、気にするなよ。

 わきあいあいと俺達が、マリさんを先頭に緑の間に入っていくと、壁際に並んで立っている騎士達がすげぇ驚いたような顔をしている。たむろっている新兵達の中にビルを見つけた。俺は駆け寄って、ビルのわき腹に鉄拳を食らわせてみた。

 ぐぬぅぅぅっとわざとらしいうめき声を上げたビルの顔には笑いが浮かんでる。その顔がちょっとムカついたので、頭をはたかせてもらった。


「あのなぁ、そういうふうにするなら合図やら何やら、ちゃんとこっちにしてからしてくれよ!」

「だってさあ・・・、『剣のな「ダンッ!」――つってぇな」

 ビルが愚かにも、秘密をばらそうとしたので足を踏んだまでだ。てか、秘密にしようって言い出したのはお前だろうが。だから、んな目でみるな。

「ボケ! 口をつぐんでろ、馬鹿!!」

「ジアン、いつにもまして暴言が多いぞ」

 だぁぁあああああっ! 絶対あの馬鹿のせいだーー!!

「ジアンー? ジアンってば」

「ジアン? ひじょーにめだっとるんだが?」

 ・・・俺は一体、何を? していたんだ。てっいうか、大原因はやっぱりビルだろうが。

 はぁ、もういいや。とてつもなく疲れた。ということでおとなしくするから、どうぞ続けてくれ。


 それからパラパラと数名のの新兵が帰ってきた。え、構成がぐだぐだすぎるって? しかたないだろーが。

 もう疲れたから、寝たい。ふと、瞬きするときに誰かの視線を感じた。それほどはっきりした悪意は感じないけど、好意を向けられているわけではない。

 ビルは、・・・気づいてないのか。まあ、仕方ないといえばそうなんだけどな。あーもうなんか、思考がぐるぐるする。

 ここって緑の間のほぼ中央だからからか、やっぱりこっちに視線が集中している気がする。


 俺がいろいろと考えている間に監督さんが真ん中の台の上に立った。

「よし、新兵全員集まったな。それじゃあ食堂へ移動する。必ず遅れずについてくること!」

 そう言い放つと、壁際に騎士と同じように立っているマリさんに、二言三言言葉をかわしてまっすぐに扉の出口へと進んでいった。マリさんは進んでいく監督に頭をさげた。

 監督の後ろに多くの騎士が付いていき、それにつられるように新兵達もぞろぞろとついていく。

 ・・・これで、かくれんぼは終わり、なのかな。


「ワイス様、どちらに行かれるのですか? 食堂は、というか出口はあっちですわよ」

「ふぅむ・・・、自分の方向感覚をくるわせている輩がいるようですが。まさかっ! ・・・あな(以下略」

 変わった様子がないのは、マリさんとワイスさんだけだった。



   To be continued.

遅れてしまい申し訳ありませんでした。一日おくれで番外編1-15をお送りいたします。

サブタイどおり、これでかくれんぼ編終了となります。なかなか、進まないなかとうとう50話目となってしまいました。

本当に自分の、文をまとめる力のなさにがっかりします。ほかのすばらしい作者様方は、苦労しておられながらもこつこつと書き上げていっていらっしゃるというのに!

次回について、1-14のあとがきに昨日付け加えさせてもらったのですが、ここでもいっておきます。

接続障害により、今回分が遅れてしまいました。なんとかつながったので、更新しておりますが、週一日曜更新がだんだん体に慣れてきた頃に、コレを崩すのは良くないと考え、次の更新は必ず日曜日とします。

もし、今度の日曜をすぎてしまってから、次回分の文を書き上げたのならば、次の日曜日に更新という形になります。

このたびは本当に申し訳ありませんでした。


次回の内容ですか? 自己満足のようですが、とある隊長さんと副隊長さんになります。つまり、間章という形です。

それでは、早めにお会いできることを願っております。


8/30

なろうに入ってから、一年がたちました。ということでちょっとした記念といたしまして短編を書きました。ここの話とまったく接点がありません、が宣伝ですorz・・・

作者のマイページから探せますので、暇つぶし程度に見てやってください。


・・・・・・おそらく今週の日曜にはあげられると思います。リオンが。ではでは、

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