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リオン -剣術使い-  作者: 笹沢 莉瑠
番外編1 三ヶ月の訓練期間
54/65

【番外編1-14】にぎやかな合流

 鐘が鳴った。何の前兆もなく、広い城中に響き渡る。それは朝方にも関わらず室内の人口密度が高い緑の間でも同様のことだった。

 リク城に長いこといる者には慣れたものだったが、新参者や新兵達は音の大きさに圧倒されるのだった。魔方陣の真ん中でまだ座り込んでいるビルも同じだった。とっさに耳をふさいだが、急な大音量で耳がキーンといっている。

 さっきまで緑の間の壁にもたれていたザナイス・イ・ヒスタ監督が、いつのまにかビルのすぐそば(広間の中央)の数段あがったところで声を張り上げた。

「よーし、ここにいる奴ら全員脱落だな。名前確認するから、動くなよ」


 しばらく監督が、名前を呼び上げていった。ビルは静かに、耳をすまして自分の名前を呼ばれるのを待っていたのだが、一向に呼ばれない。

 立ち上がって、耳の調子がおかしいかと、耳を叩いたり頭を振ってみたが正常状態だ。そのうち、名前の羅列が終わる。

「・・・と、これだけだな。それじゃあ、ほかの新兵がここに戻ってくるまで待機。質問あるやつは、いるか?」

「はいっ!」


 ザナイスの言葉に反応した一人の新兵が手を上げた。緑の間中の視線が自然に集まった。手を挙げた新兵は短めの貴族らしい金髪をわざとらしくなでつけた。その新兵の周りに貴族らしき取り巻きが数人いる。

「僕には、まだ呼ばれていない新兵がいるように思えるんですけど」

 フンっといったようすで、顎でビルのほうを指し示した。ザナイスはビルを見やり、新兵をすっと見つめた。

「ふむ。ビリー・ヘンリルのことか? 彼はこのかくれんぼの性質を見抜き、攻略方法を探して実践するという行動が評価され、脱落者から除外された。説明はこれで十分か、マーニュ・ル・イージス」


 マーニュと呼ばれた新兵はあまり納得していない様子だったが、十分ですといって引き下がった。ザナイスのすぐそばのビルはなるほどー、と頷いた。

「で、質問はもうないな? 全員確認したら朝食だからなー」

 緑の間中の新兵が、喜んで各々の思いを口にした。ザナイスは、リク城付きの騎士と何やら話しながら、また緑の間の壁へと戻るのだった。


                                  *


 はぁああ、・・・くそ。ほんっとため息しか出ない。

 なぁ、主人公にするなら正義のヒーローでいいじゃんか、俺だってそんなの一回ぐらいやってみたいじゃんかよ。

 ――え? リーディアに正義は通用しないって? いいじゃん、ちょっと夢みたって。

 現実逃避するなって? そりゃ無理な話だよ。頭のイかれた顔だけがいい、ぜってー変な騎士が満面の笑みで、俺のことを君付けしてくるんだ。他人が見たら、とある趣味があるんじゃないかと疑う・・・いや問い詰めたくなるよ?!


 あ、アポシオン。そういえば、アポシオンは?

 ハッ! まさかっ、アポシオンは高見の見物を決め込んでいたのかぁあっ!!

<いえ、そんなつもりは全く無かったのですが。ご不快なら謝りますが>

 って、今まで何処にいたんだ、ですか。とりあえず姿を見せてくださいよ。

 すると、ひやっとした冷たい感触がまぶたと耳を撫でていった。目を開けると、心配していたような顔つきの先生・・・いやアポシオンがすぐそこにいた。

<あなた方から見えないところで連絡をとっていたのですが、戻った時に二方の戦いが見えまして、目を奪われてしまったのですよ。気が付いた時には違う連絡がきていましてね>

 違う連絡?


<はい。エリムさんの方にもバロシオンという精霊が行っているのです。そのバロシオンから連絡があったのです>

 えっ、エリムに何かあったのか?!

<ご安心を。エリムさんに関することではございませんから。ただ・・・・・・精霊わたくしたちに関わることでしたので、心配はご無用ですわ>

 そう、ですか。ところでヘックは?

<始めの広間に戻りはじめているようです>


 そうですか。・・・うん、それで隣にいる満面の笑みを浮かべている騎士さんは、移動しようとか言わないわけなのかなぁ?

「はぁ、あんた。名前なんていったっけ」

「ツィード・ジョーエル。普通に呼んでくれて構わないよ」

 普通ってなんだよ(笑)。あんたの方がよっぽど普通じゃねぇのに、普通に呼べとか無理だわ~。あ、そうだ。普通に呼べってことは、変人騎士さんって呼んでもいいカンジ? てか、あんた変人=普通だから、構わないよな。

「ふーん、じゃあ変人騎士さんって呼ぶことにしとく。で、戻んないの?」


「戻るよ、ジアン君。でも、その途中でワイスたちを拾ってかなきゃだよ」

「なんで?」

 素朴な疑問を発した俺に、目の前の無駄に美形で、頭がおかしくなちゃってる騎士はふっと笑った。その様子が一瞬、ふつーの人に見えたが目の錯覚だ。うん、絶対にそうだ。

「ワイスって、重度の方向音痴なんだよねぇ。だから、彼についてくと一生たどり着けないと思うよ?」

 ・・・・・・この変人の近くに、まともそうな人がいると思ったらよりによって方向音痴かよっ。道に迷っても当てにできそうな感じがしたのに、頼りにならないとかマジで悲しいわ。


「そうっすか。でも場所、分かるのかよ」

 俺が普通の疑問を口にすると、髪の毛がクルクル(?)いやくにゃくにゃ?の騎士さんは真っ黒な剣の柄に手を置いた。たぶんあの髪は、そっち側のイケメン君がやるとよく似合ってしまうタイプだと思う。

「この『碧血ピレネッシュ黒水コクスイ』なら、『紅血デモラッシュ白水ハクスイ』の居場所が分かる。色こそ違えど、その二振りは同じ金属から出来たいわば、双子の剣だからな」

 えーと、ぴれねっしゅ こくすいは銀髪美形(馬鹿)が持つ真っ黒の剣で。でもらっしゅ はくすいは、そのぴれねっしゅ こくすいと双子の剣だって?

 うわああ。よくわからん。

「つまりその、でもらっしゅ はくすいを向こうの堅そうな騎士さん・・・ワイスさんが持っているというわけ?」

 普通にいってくれれば、↑の台詞はいらなかったのに・・・。あと、満足げな笑みを浮かべるのは止めて欲しい。ほんっとにねえ。


 あ、あと。口さえ開かなければまともに見える騎士さんに聞こえないからって、俺の考えが読めるからって、アポシオンけらけら笑わないで欲しい。あんた、立場上読者みたいな感じになってるよ?!

<ふふふっ。とっても面白いんですもの、これを笑うなとかいう方が馬鹿ですわ!>

 がーん、キャラ的に一番常識人っぽいヒトに馬鹿っていわれた・・・。しかも、先生の顔そっくりだから、残酷さ倍増!! お前らもこの攻撃を受けてみろ! ありえねぇダメージで自分のみお陀仏、弱小パーティーメンバーのやられ様をみるしかないんだぞ??!!

 ほんっと、無駄に字数だけ増えてんじゃねーかよ。とっとと、話すすめようぜ。


「それなら、道案内よろしく・・・」

「わかったよ」

 ・・・今思ったんだけど、こいつにわざわざついていく必要なくね? アポシオンがおそらくの居場所がわかっているみたいだから、アポシオンに案内してもらえば全員と合流するのに一番の近道じゃ――――うわああああああっ!! 自分のまぬけさにホント頭にくる。

 アポシオンににっこりと、ご愁傷様ですといわれてorzのポーズがふさわしくなっていた・・・。ですよねー。



 数十分後。見事ヘックたちと合流した。

 え? その間になんかあっただろって? 俺の心の中の悲しい葛藤が、な? あったんだよ。文字に表すと無駄に話が重くなるんだよっ。

 ヘックたちは黒髪黒目の侍女さんが先頭に歩いていた。ワイスさんは方向音痴だからか。その人はマリと呼ばれていた。ワイスさんと、マリさんと、そーいえば副班長と呼ばれていたなぁ騎士さんはなんだか知り合いらしい。

 ワイスさんとマリさんがくだらねー口の攻め合いをやっていて、そのいちいちに副班長な気がしない騎士さんが変な方向に口を突っ込む。この一連の動作がなめらか過ぎて、逆に怖い。


 こんな感じだ。

「ほら、わたくしの案内のおかげでツィード様たちと合流できましてよ」

「何をおっしゃる。ただの運でしょうが」

「二人はどうこうしても変わらない気もするケドねー」

「ワイス様は、この合流がご自分のお手柄だとでも、お思いなんですか! なんて傲慢なんでしょう」

「そういうマリ殿が、思っていらっしゃるのではないのですか! 人に自分の妄想を押し付ける癖は直した方がいいと思いますが?」

「二人、付き合っちゃえばいいのにねー」

「「馬鹿なことを!!」」

「ほらほら、息ぴったりだし」


 昔がどうだったのか気になるけど、わざわざ尋ねようとは思えない。朗らかに笑うヘックに聞いてみたが、いわく二人はさっきからずっとこんな感じなンだけんど、おもしれぇからいいんじゃねぇとのこと。

 まあ、いっか。いやー、合流できてよかったよかった。


 あれ。ワイスさんと顔が緩みまくってる馬鹿騎士さんの持ってる剣がひかって、る? そういえば双子の剣とか言ってたよな。磁石みたいに引き合ってるのか?

 そういえばアポシオンは、二振りの剣のうち一振りに宿ってるんだっけ。それに、あの黒い剣・・・なんか色々と言ってなかったか。『人間の感覚は・・・うんたらかんたら』とか、奴は自動整理とかいってたけど。

 似てる? 双子の剣と、ビルの持ってる二振りの剣が、似てる? かも、しれない。

 どういうことだろ・・・・・・・?

 まっ、魔法とか興味がない俺には関係ないか。


 あっ、エリム発見!

 俺が手を振ると、赤毛のエリムが手を振りかえしてくれた。

こんにちは、毎度書かせていただいています笹沢です。

ジアスの一人称はやっぱり、書いててとても面白いですし楽しいです! でも、ヒアの一人称も捨てがたい・・・(笑)。

あれ。今更気づいたけど、一人称キャラの周りに同じ人種の人がwww

くそぉ、これではワイスをマリの前で幾分かはっちゃけさせないと。やっぱり、ツィードは謎だ。書いてて何処が本当か見えなくなる。


書いてる本人が謎とか言ってたら、この話おわらねぇえ!

支離滅裂な内容ですが、近いうちに修正したいです・・・。

では、また来週お楽しみに。


8/22

今日更新するはずだったのですが、このところ謎の接続障害に悩まされており、今週分が遅れることになってしまいそうです。やっとつながったので、お知らせに参りました次第です。今週分だけでなく、どんどんずれてしまう可能性が! 

楽しみにしてらっしゃる方(もし・・・いらっしゃるのならば)、本当にすみません。それで、また残念なお知らせがあります。

話の都合上、この番外編1(三ヶ月の訓練分です。かくれんぼ編のみではないです)が終わらない限り、ビルたち&あそこの兄妹のお話を進めることが出来ません。

それで次のような感じになると思います。

かくれんぼ編終了

  ↓

間章(ここで、週一のバランスを取り直したいのですが・・・)内容はのちほど

  ↓

七章(これは、前回の予告どおり七章が入りますが、内容はry)

  ↓

番外編1をすすめる


間章ですが、ここでずれてしまったペースを整えるため、若干遅くなる可能性があります。内容は、とある隊長さんです。

七章の内容については間章の更新の頃に・・・

では、本当にすみませんでした。なるべく、遅れないようにします・・・。

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