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リオン -剣術使い-  作者: 笹沢 莉瑠
第三章 一年後
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【第3章3】陰謀の裏表

 2人はマルス王の元へ向かった。その間無言だった。

「・・・・・・して、どうなったのじゃ?」

「はい。村役場へ向かったところ、村人達は会議をしておりました。会議の内容は、15代目が誰かわからなく、14代目の遺体が村人では出す事のできない所にあり、これでは葬儀ができないというものです。

そこで、わたくしらが途中をさえぎって陛下のご到着を連絡し、葬式のスケジュールを彼らに聞いたところ、宿で1泊していただければそのうち連絡する者を使わすといわれたきりで御座います。」

アルファスが一気に喋った。

「ふむ、では案内してくれ。」

「はい。」

アルファスは返事をしたものの、心配そうにリオンの顔とマルス王の顔を見比べていた。リオンが仕方なさそうに立ち上がって王一家の乗った馬車の前に行った。

「こちらです。」



協会の近くにある宿とはヤコブ神父の家・・・というか別荘だった。ヤコブ神父は

「この国の王様をこんな薄汚い家に入れるなんて恥ずかしいにも程が有りますが、光栄です。

家はなんとかできませんが、食事はなんとかできるでしょう。さ、さ、護衛の方もお疲れでしょう案内いたします部屋でどうぞおくつろぎ下さい。」

と、ニコニコ微笑んでリオンにはきづいていなかったように振舞っていた。

けれど、護衛の人を部屋に案内する時

「おや、あなただけ一人部屋になってしまった。皆さん、三人以上で一部屋なのですがね。」

そういって離れたシングルベットのある部屋へ導いた。

そして、リオンの耳元に囁いた。

「リアンビル君、また祈りにおいでなさい。」

リオンにとってそれは心のもやが晴れたように感じた。


リオンは、食堂にいた。護衛の人はなぜかここに集まっていた。

「あの、なんでここにあつまってるんですか」

「いやぁ、おれはしらんなぁ」

「何かメシでも出るのか?」

「時間帯的に違うだろう。」

「おやおや、皆さん何かお話ですか?」

ヤコブ神父が厨房の方から来た。

「お話なら構いませんが、用がなければウチの見習い剣士達と手合わせ願えませんかね。うちは14代目が亡くなってから強力な先生がいなくてね。」

見覚えのある人が先頭に何人か食堂に入ってきた。


リブシア・・・。』

入ってきたのはかつての『剣の習い』、『剣術の習い』にいた子らだった。

リブシアを先頭に丁度護衛の人数分連れてきた。

リブシアはリオンを一目見ると微笑んだ。知っているとばかりに。

「ヤコブ神父様、本当にこの方達が相手をしてくださるんですか?国の王の護衛という腕前の?」

「どうかね?皆さん。もしよければでいいんだが?」

「いや・・・・・・、我々も葬儀がいつ行われるのかわからないと動きようがないんですよ。なので、伝達がくるまでなら、いいだろう?みんな?」

「もちろん。」

「子供らがどうなってもしらねぇぞ。」

個々に皆同意した。リオンは小さく頷いただけでバッチリ賛成というわけではないが。

「おお、ありがたい。では広さの十分な場所へ案内なさい。リブシア君。」

「はい」


リブシアはぞろぞろと20名弱を連れて、あの対戦場へ向かった。ほとんどあの時のままだ。

「えっと、護衛の皆さんの中で代表の人出てきてもらえますか?」

リオンは護衛の人を見渡した。この中ではアルファスが一番年長だ。なのでか、皆の視線がアルファスに注がれていた。アルファスは前に出て、リブシアと並んだ。

「では、代表の方。力が強い順に並ばせてもらえますか。こっちも例の順で並んで!」

リブシア方はさっと並んだ。見るとシェイは居たものの、ブランは居なかった。

(俺、絶対最後だよなぁ・・・。シェイさんと全力勝負したかったなあ。)

リオンはため息をついた。シェイは1番前なのだ。リブシアはいつの間にか2番目だった。

アルファスはたぶんこんな具合だろうと適当に並べておいた。自分はモチロン1番にして。

ついでにリオンを最後にしておくのも忘れないで。


「では互いの相手の顔を覚えておいてください。では好きなようにウォーミングアップしててください。

10分後に手合わせを御願いしますね!」

そういうとリブシアはリオンに向かってきた。シェイもそれに続く。


「リアンビル。こっちに来いよ。」

「リブシア、シェイさん、俺の名前叫ばないでくださいよ。」

「神父様から、聞いたよ。お前が偽名名乗ってるくらい。」

「俺からジアスの居場所を聞きだしたいだけだろう?」

「それもある。だけどほかにもある。」

そういって2人は人気のない建物の跡に来た。シェイと戦ったところだ。

「15代目はお前とジアスのどちらかだろう?」

「ああ」

簡潔に聞かれたことだけに答えた。

「ジアスはお前と一緒に来たのか?」

「いや。見ただろう?護衛として俺と一緒に来ていない。後からこっそりでもなく。」

「15代目はお前か?」

「―――ああ」

「・・・・・・そうか。じゃあ、先生の体を出すの協力してくれるよな?」

「もちろんだよ。けどな、ちょっと耳貸してくれるか?」


手合いは終わった。リオンが対戦した子は今年『剣の習い』に入る年だった為知らない子だった。(そのシーンは試験とかぶるんだから、ちょっと載せません)

「アルファスさん」

「なんだ、ビル?」

「この村の子達に言われたんすよ。アルファスさんなら、開かずの部屋を開けてリオンの体を出せるだろうってね。屋敷の場所教えてもらったんで行きましょうよ。」

「そっそうか?行こうか。」


(よしっ。第一段階突破。第二段階突入だぁっ。)

リオンはアルファスを屋敷へ連れて行った。

「ここがリオン・フェブリーヤの屋敷かぁ」

「そうですねぇ、いかにもフェブリーヤ家の頭首って感じの屋敷ですね。」

リオンは初めてこの屋敷を見たときに思った事を思い出しながら言った。

その頃はよくため息ばかりついていたものだ。

(今も、昔も変わってない気がしてたのに・・・・・・。やっぱり変わらないのは存在だけ――。)


「その開かずの部屋ってのは何処にあるんだ?」

「本棟よりも小さめな離れです。此処をつっきっていけば鍵の付いていない扉がある・・・はず。」

「そうか」

門の外から見えづらかったのか、門の外からでは分からないような光景だった。

庭や建物が綺麗にされていると思いきや、寂れた状態に陥っていた。

「仮にも元頭首の家だろ!?・・・・・・こりゃないぜ。どんだけ嫌われてるんだ?」

「14代目は、彼女は、一人前と認められた人の中で一番の若手だった―――。」

「ほぉう・・・?よく知ってるな。というか知ってて当然か・・・・・・?」

「・・・・・・ほら、ここがたぶん離れですよ。」

(上手く隠すもんだ。16か17くらいのこの坊主、かなりのやり手か・・・?)

2人は離れの中に入ると、予想通り埃が立ち込めていた。


「部屋っての場所は聞いているのか?」

「・・・・・・いや、ここにあるとしか聞いていないです。」

(これも、計画の内。アイツには時間を稼いでもらうか。)

そうリオンが思った瞬間、視界が暗闇に包まれた。


『なっ!?なにこれっ!』

声にならない。それはなぜ?

問いだけがリオンの頭の中にこだまする。

闇が支配する世界を見渡してみた。小石一つ見当たらない。

(まず、ここはどこなんだ?俺が想像した世界か?それとも俺の心の中の闇の部分?猫の目ような程、よく見える。だが俺の身体は――――ないっ?実体が無いとでもいうのだろうか・・・?だから声が声にならない。)

ただ、リオンは前方を見ているしかなかった。その時、ぼんやりと何かが近づいてくるようだった。

近づいてくるに連れてそれは、信頼する誰かの姿のようだった。―――ジアスだ。

『なんで、お前が・・・!?』

『ビル・・・前・・・言い・・・事が・・・・・る』

なぜか伝わるようだった。

しかし、ジアスの言っている事が聞こえずらい。

『えっ?何だって?』

『お前・・・危険が・・・づいて・・・・』

『危険?』


ふっと視界から漆黒の闇が薄れ、埃をかぶった肖像画がみえてきた。14代目の絵だ。

(なぜ先生の絵が?この絵が見えるん・・・!ここ、先生の部屋!?)

あたりを見渡すとあるはずの彼女の身体はなかった。引きずられたような跡をみれば誰かが出したのだろう。しかし、そんな悠長な事を考えている暇はリオンになかった。

「一体誰がこんな所に?」

「こんな所?お前の先生が最後に居た場所じゃないのか?」

あざ笑うかのように見下した態度。アルファスだ。リオンはむかついて立ち上がって剣の柄に手を伸ばそうとすると、!自由にさせられていないことがわかった。

「フフンッ!リオンともあろうやつが気ぃ失ってるなんて笑えるなあ。」

「お前に何がわかる?!それに誰がリオンだって?」

「裏切りってのはスパイ業やってら、当たり前のリスクだろ?」

アルファスの背後からリブシアが出てきた。


「まぁさか、君が15代目だなんて。思っても見なかったよ♪」

「なっ!?リブシア、お前・・・・・・。」

「”昔は誰よりも対等に扱ってくれたのに”って?甘いんだよ!!お前!!僕が昔と変わんないってどうやったら断言できんだよっ!!それになあ、シェイさんや神父様はしらねぇけど、他の奴らはお前がリオンジアスをそそのかして連れて行ったと思ってんだ。つまり、お前が裏切りもんだ!!」

リオンには口をぽかんと開けたままにするほか無かった。

「ジアス・・・?そういえば、お前と一緒に軍に入ってきた奴はジアン・マクシアっつう名前じゃなかった?」

「やっぱり!お前だっ!お前が先生をやったんだぁっ!裏切り者はお前なんだよ。ふふふっ、あはははははっ。裏切り者はこの僕が倒す。裏切り者らしい最後にしてやるよ。」

やっとのことでリオンはぼぅっとしていては倒されると思い、動き始めた。


腰にさしたままの『真理の剣』の宝石に手をかざし、アポシオンを呼び出す。

(アポシオン!バロシオンも呼んでください。)

精霊でも、剣に宿る精霊を呼び出すことは出来る。『信頼の剣』は肩掛けタイプの鞘に収まっているので今の状態では自分の手で呼び出せない。

アポシオンは空中にふわりと浮かびきしゃなその手でバロシオンを呼び出した。その速さはほぼ、1秒。アポシオンにリオンが頼んでからものの1秒しか経っていない。

(2人で俺のなわを切ってください!)


2人の精霊はふわりとリオンの前に現れた。リオンは2人の方へ拘束された手を差し出した。

2人は手に近づくと、縄を2人ががりでほどいた。

(ありがとう。2人共、魔法を所々使うから呪文喋り始めたらフォロー御願いしますね!)


「なっなぜだ?!誰がその縄をといた?」

「ごちゃごちゃ喋ってんじゃねぇ!俺を裏切り者としてふさわしい最後を迎えさせんじゃねぇのか!?」

リオンは2つの剣を抜いた。目が深く広い海を連想させるエメラルドブルーへ変わった。

しかし、その目には怒りの色が伺えた。

「先生をやったのは俺じゃないっ!ただ俺にこの世を去ってもらう為の口実にすぎないんじゃねぇのか?もとより、アルファス・メーギスト!お前はいくら使ってんだ?間諜を増やす為に、裏の情報を得る為に今日の護衛のほぼがお前の息がかかってるんじゃないのか?」

「ははっ!そのとおりだよ。ビリー・ヘンリルことリオン・フェブリーヤ!村にいるお前の味方はいない!」

アルファスが狂気にかられたような顔で叫んだ。

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