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リオン -剣術使い-  作者: 笹沢 莉瑠
第三章 一年後
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【第3章2】才能開花

 「15代目がいなければあの部屋を開ける事が出来ない。15代目を探さなくては・・・。」

「あのぅ・・・。会議中申し訳ありません。ヒーディオン国国王御一家がご到着されたんですが

人気がないのでここまで入ってきましたが・・・・・・。」

「なんだとっ!?国王がいらっしゃってるのに気づきもしないなんて・・・・・・。」

「それより、14代目の遺体がまだ部屋の中にあるってどういう事ですか?」

「えっあの・・・・・・その、あなた方は?」

「申し遅れました。わたくしアルファス・メーギストといいます。国王陛下又は御一家の護衛に まわっております。隣は――。」

リオンはヤバイと思った。

(俺の声を村の奴らに聞かれたら、俺だってバレるに違いない。)

実際はバレそうになるどころかほとんど気づかないだろう。1年以上の間があるし、変声期で 声に低さがよくかかっていて、姿を見るまで気づけない。


「新しく国王陛下御一家の護衛を承りました、ビリー・ヘンリルです。」

といったアルファスが、リオンの背中を叩こうとしたがリオンはとっくに役場をでて14代目の屋敷 へと向かっていた。


リオンは『真理の剣』を鞘から抜いた。そしてアポシオンを呼び出した。

(アポシオン、姿を消す魔法を使えますか?)

<ええ、もちろんです。あなたが望んで呪文を唱えればいつでも。さあ、14代目の元へ向かいなさい!>

リオンはもう走り出していた。軒道には春に咲くポリアの花が満開を迎えていた。

約1年前、通った道をほとんど通って、屋敷までたどり着いた。 そして呪文を唱えた。

「我、リオンの名を受け継ぎし者。己の使命をはたさんとす。使命へたどり着かん道を通る

為、我、魔を使わん。己の真理を力に変え、我を生きんとする者の目からみえなくせよ!

エリオーシャン 姿を消せ!」

すると波動のような物がリオンの身体を包み込みリオンは生きとし生きようとする者からみえなくなった。

『よし、これでオッケー。早くリオン先生の下へ行かなくちゃ!』

リオンは誰にも気づかれないように屋敷の中に入った。

いつか通った廊下を次々通り、いつか涙した部屋の前に来た。


リオンは普通に戸を開けようとした。しかし、何かにつっかかっているようでびくともしなかった。 リオンはふと思い当たってバロシオンを呼び出した。

「バロシオン・・・・・・。」

<15代目、これはあなたと14代目の絆を妨げる魔法がかかっています。ですがこれは特殊ですね。第3者が解ける場合が多いですが今回は、絆を持つ者のどちらかが解くようです。>


村を出てから様々な事を学んだリオンは特に魔法学に興味を持った。’初級から上級までの呪文集’という本にあった、初級の『オルフォンヌ 消えよ!』という消失魔法の呪文を呟いた時、 周りにあった本の山が消えた。いや、視界から消えただけで背後に本が移動していた。

つまり、【剣の才能だけでなく魔法の才能もあった】ということだった。なにより本人が特に驚いた。このリーディアは剣と魔法がある世界であるが圧倒的に魔法の存在は薄れつつある。

さらに、剣の名手と呼ばれる名誉ある称号を受け取った剣士や戦士はあまり多くなかった。

そんな中、リオンは奇跡の人だった。才能に才能が重なり、努力が重なり、どんなに発達した

遺伝子科学でもこんな偶然を奇跡を引き起こす事なんて不可能。

そのうちリオンは精霊と共に魔法を覚え(ジアス以外は誰も知らない)、精霊と一緒に使う魔法も編み出した。そして、魔法をかけるだけでなく解けるようにもなっていた。


(これはどんな構造なんですか?バロシオン。)

<扉は腐らないように加工&魔法がかけられた木材で出来ています。きっと『ギーワス 新しくせよ!』の魔法でしょう。きっと絆を妨げる魔法を解かなくては部屋に入れません。これから言う 事に従ってください。15代目。>

(はい。承知しました。)

<まず、戸の取っ手に手をかけて、かけた方と反対の耳を戸に当ててください。>

すると、不定期的な雑音が聞こえた。

<聞こえた音に波長を合わせるように手から力を出すようにしてください。そうして、目を閉じて 見てください。何か見えますか?>

いつもならまぶたの裏は闇に包まれているのに、いまは白い光のようなものが一直線に扉へ 向かっていてさえぎるような物は見えず、扉の向こうまで光は続いていた。

<それがあなたと14代目をつなぐ絆です。もう妨げるような物は有りません。すっと部屋に 入れるでしょう。でも待って!>


バロシオンは初めて敬語を乱した。リオンが部屋に入ろうとしたからだ。

<15代目、入る前に注意が・・・・・・。>

(えっ?まだ何か?)

リオンはちょっとむっとしていた。

<この部屋の中はリオンの名を受け継ぐ者の魔法によって、14代目が息途絶えた時から時が

止まっています。そこへあなたが入れば急速に部屋は時を今と同じにしようとし、遺体は腐り始めるでしょう。だから――。>

(入ったら直ぐたいまつでも放り投げろと?)

<いえ、他の者に部屋の外に出してもらうのです。しかし、そうすればあなたが名を隠す意味が

なくなります。>

「――でも、俺は・・・・・・。俺、ここを出てから強くなれましたか?」

<はい。心身共に強くたくましくなられ、頼もしい限りです。でも、それが何というのですか?>

「もう、軍に名を隠すのをやめるさ。軍を辞めて平和のために何が出来るか考えてみようと

思います。まあ、なるべく公に発表するわけじゃないからおおっぴらには名を公表してもらい

たくないけど。」

<さ、どうやってこれを他の人に見つけてもらいますかね?>

(そうですね・・・・・・アルファスさん――リスベス帝国の間諜にやってもらいますか)


                       *

一方、こちらはコードメモリア城――。

ジアスは、だんだん『魔鈴の絆』の鈴の音が小さくなっているのを、軍所有の書物を読みながら

聞いていた。そして次のページをめくった時、鈴が激しくシャランッシャランと鳴り出した。

ジアスはびっくりして本を落としてしまった。

(!?なんだ?あっそうか。魔鈴ね。ってじゃないし!リ・・・・・・ビルに危険が近づいている?)

『魔鈴の絆』は便利だが相手の危険しか教えてはくれない。便利というより相手を深く信じていたら逆に心配になる。

(なんとかしてメッセージを送れないだろうか?危険が近づいているって)

馬でも借りられないかと、ジアスは馬小屋まで行ってみることにした。

馬小屋は軍兵の宿舎の裏にあり、裏門が近くにある。

ジアスが馬小屋に入ろうとすると裏門に何人かの人影があった。

「隊長〜。今度は何処の盗賊団を懲らしめにいくんですかぁ?」

「おい!何度言ったら分かるんだ?無駄口叩いてねぇで隊長の話聞けって!」

「さ、隊長殿話の続きを。」


「えーっ、今日は最近のようにこの辺りの治安を守るパトロールではなく、違う事をする。」

よっしゃぁ、と隊員から嬉しそうな声が上がる。

「で、それはなんなのだ?隊長殿。」

「そうせかすなって、リコール。今から話す。今日はどっからも依頼はないし、最近われわれが

盗賊共をぶったおしているので盗賊団や盗賊ギルドは動きを見せていない。なのでフリーなのだが・・・」


門の辺りで話していたのは、去年の冬の時に14代目を奇襲にあって襲われたと、見せかけるよう本人より依頼され、実行し、リアンビル(現在のリオン)とリオンジアスを軍に入れる手引きをしてくれた、

ヒーディオン軍突撃部隊だった。ジアスは知り合いだと分かると、ほっと胸をなでおろした。


「なのだが・・・?!」隊員その1がさいそくする。(隊員その1って;;)

「今日はいつかの依頼主の弔いだ。我々も葬式に出席したいと思う。」

「ええっ!でも王様御一行がもう行ってて俺らバレないですか〜?」

「御一行の中で俺らの事を知ってるのは護衛のビルしかいないだろう。」

ジアスはなんとなく、声をかけなくてはいけない気がした。そこで物陰からでて、近づきながらかけた。


「あの・・・・・・。」

「おや、ジアンじゃないか!?」

「マクシアン隊長お久しぶりです。」

「どーもって。ジアン、偽名俺と重ねるのやめてねー。」

「えっ、いやパクるつもりはなかったんですけど?」

「まー、いいや。何か用?」

「あの、まだリ・・・・・・ビルが15代目だっていうのまだ、秘密にしてもらえますよね。」

「もちろんだ!なあ?」

『おおぉぉぉ!』

隊員は当たり前だとばかりに大きく頷いた。

「有り難う御座います。」

「でも、それいうだけに来たわけじゃあるまい?」

「はい。ビルに伝えたい事があるんです。直接伝えたい事が。」

「そうか、じゃあ、われわれと共に行こうか。」

「お言葉に甘えて!」


                           *

「アルファスさん。」

「ん?あっおい!お前何処行ってたんだ?」

「ちょっと急に腹痛がしてですね、トイレ探して用を足してたんです。あ、それよりもあのリオン・フェブリーヤの屋敷行ってみません?」

「はあ?王様に伝えるのはどうするんだ?」

「それをやってからですよ。アルファスさん、宿は紹介してもらったんですか?」

「お、おう。この村の外れにある教会のすぐ近くだ。」

「じゃあ、行きましょう。」


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