蜂の巣/クイズ百点満点、日本の顔
「おめでとうございます、これで36回目になりますね、事件に巻き込まれるのは」
静は少し微笑みながらそう言った。
36か……36回目か…そこまで行くと…もうなんとも思えなくなってきなた、このままいっそ40目指す気になってくる。
「落ち着いてますね」
「そりゃ36回目となりますとね、こんな事じゃあ驚きませんよ
で、今回はどんな奴なんです、もしかして奴じゃなくて現象ですか」
「それがまだわからないの、ねえあなた少し心当たりない」
心当たりしかない。
「それがですね…」
俺は心当たりを洗いざらい吐き出した…吐き出すと言う表現は良くないな、教えた?いや情報提供と言うた方が健全か。
「なるほど…店長からの謎の連絡…ですか、それとコレが関係ない…とは思いにくいですね」
「関係ない方が俺的には幸福なんですけど…」
「そうだろうね、私も仕事じゃなかったら、通り過ぎてるし」
「俺も…仕事なんですけどね」
「お互い大変ね」
「本当上が無能だから」
そう言うと、静さんは静に頷いた…駄洒落じゃないぞ。
しかし…すぐに頷いた感じ、相当上司に不満を持ってるんだな、大変なんだな防衛軍って。
「おそらく…異変はこの中で起きてるようね」
「でもドア開きませんよ」
「何言ってんの、ドアは開ける物でしょ」
「いやいや、自動ドアなんて手動で開けられるわけが…」
バン
普通は手動で開かないであろう、自動ドアを静さんは普通のドアを開けるように、開け何食わぬ顔でコンビニの中に入っていった。
「…え、えェ」
「なに?」
「いえ、何にも」
俺は手をポケットの中に入れ、暗いコンビニに入る。
コンビニ内に目立って変な事はない、あるとすれば電気が消えていることぐらいだ。
コンビニ内をいくら探しても店長の姿はない、今日はエイプリルフールじゃないよな、エイプリルフールでもこの嘘はタチが悪すぎる。
「…何もないですね」
「でも装置は反応してるから…ここに何かがあるのは間違いない」
「と、言われましてもね」
店内は汚れていない、とても綺麗だが、電気がついてないだけで、少し汚く見える。
店長はよく電気を消して営業した方が稼げる、とか言っていたが、店に電気がないだけで、印象がすごく変わる。
店の電気はそれなりに必要なんだな。
「…ヘェ〜、コンビニのクジいまコレやってるんだ」
静さんは今日始まったクジの景品を見て呟いた、何やらとても人気がある作品だそうで、いろんなところたコラボをしている。
「引きますか?一応店員なんで」
「いや、今は仕事中だしね、また今度にしとく」
「そうですか」
静さんはそう言うと景品のタオルを元の位置に戻した。
…そう言えば店長コンビニ用のパソコンが壊れたとかなんとか言っていたな、一応見てみるか。
「…どこ行くの」
「いや、パソコンを調べようと思って」
「待って、私も行く」
「え?どうしたんですいきなり」
「一応ここは危険な場所だからね、1人で行動させたら、何かが出てくるかもしれない」
「…怖いんですか」
「そそそ、そんなわけないし」
静さんは顔を赤らめながら、俺の後ろを少し不機嫌そうについてくる。
その姿はどこか可愛げがあるが…本人はいたって真面目だし、仕事中だからな、からかうのはやめておこう。
コンビニの更衣室に入り、その中にあるパソコンに電源をつける。
普段は店長しか使っちゃダメなんだけど…その店長が見てほしいって言ってたから、大丈夫だよな。
「…このパソコンかなり昔の奴ね、PCS-555 平成が始まって、3年後ぐらいに発売されたパソコンじゃない」
「そうですね…店長のパソコンだし、多分ガラケーと同じで今のやつは使いたくない、って言う考えですよ」
「ヘェ〜まだいるんだね」
そんな他愛もない話をしていると。
【デデン!!】
突然クイズ番組で鳴る、問題音がパソコンからなり、画面に見られない画像が表示された。
普段ならパスワードの入力画面が表示されるんだが…なんだこれ。
「変わったシステムね」
「いやいや、知りませんよこんなシステム」
俺が戸惑いながらも否定していると、パソコンは問題を表示した。
【第一問 戦国時代 クリスマスの日だけ戦争をしなかった戦国武将を答えよ】
「ガチガチのクイズじゃん」
と言うかなんだこれ、なんでクイズ番組が始まった、パソコンの暗証番号だよね。
店長が言ってた故障はこの事か、まあとりあえず答えてみるか…
「…いや誰だ?」
自信じゃないが歴史は苦手なんだよな、小学生の時も10点とか取ってたし。
「ちょっと貸して」
「わかるんですか」
「うん、歴史は得意なの」
そう言いながらパソコンの前に立ち、キーボードに織田信長と入力する。
【ピンポンピンポン、大正解】
「へえ、そうなんだ」
「ふふん♪もっと褒めてくれてもいいんだよ」
【第二問 ⚪︎⚫︎⚫︎⚪︎⚪︎⚫︎⚫︎+⚪︎⚫︎⚪︎⚫︎⚪︎⚫︎=?
この?に当てはまる⚪︎を打ち込め】
「は?なにこれ…」
静さんは唖然とした表情でパソコンの画面を睨みつける。
この問題は酷いな計算問題だけど、数学じゃない…えーっと76+42=118だから1110110かそれを⚪︎で現すと。
「⚪︎⚪︎⚪︎⚫︎⚪︎⚪︎⚫︎だな」
「え?何言ってんの、それが正解のわけが…」
カタカタカタ
【ピンポンピンポン、大正解】
「よし」
「えぇェェェ!?どんな計算?と言うかこれ計算問題なの」
「俺にかかればこんなもんですよ」
「後でどうやったか教えてよ」
「ふふふ、もっと褒めてくれてもいいんですよ」
【第三問】
まだあるのかよ。
【人間は負けたら終わりなのではない、あきらめたら、終わりなのだ、この名言を言った偉人を答えよ】
「…誰だよ」
「私に任せたまえ、正解はアメリカ合衆国 第37代大統領のリチャード・ニクソンよ」
【ピンポンピンポン、大正解】
「は、はあ」
名前を聞いても誰かいまいちわからないから…どう反応すればいいかわからん、こう言う時は笑えばいいのかな。
【第四問 大きな丸柱に、きりぎりすが1匹とまっている。⚫︎⚫︎門が、朱雀大路にある以上は……
コレはとある小説の話の一文です、ではこの⚫︎⚫︎に当てはまる文字を答えよ】
「まだやるのかよ!!」
※正解は羅生 タイトルは芥川龍之介の羅生門です。
10分後
【ピンポンピンポン大正解】
「はぁはぁ…もう何問やった?」
「えーっと…150問はやりましたね」
長い…流石に長すぎるどんなセキュリティだよ、もうこれ以上やるとかもうやだぞ、この小説はクイズ小説じょないんだよ。
そんな思いが伝わったのかパソコンはようやくホーム画面を映し出した。
「…やっとだよ」
「そうですね…で何しようとしてたんでしたっけ?」
「君が調べると言ったんじゃないか」
「そう…でしたっけ?」
「おーいしっかりしろ、たった10分で精神持っていかれすぎじゃない」
「…そ、そうすね、とりあえず調べてみますか」
マウスに手をかけようとその瞬間、パソコンの画面がいきなり黒くなり、その画面から黄色の腕が現れ、俺の腕を掴んだ。
「…な、なに」
パソコンの画面に赤文字で なに全問正解してんだコラ!! と逆ギレの文字が表示され、その文字がSiriの声で再生された。
クイズに正解して何が悪いんだろうか、と言うか全問正解して欲しくないなら、最初から出すなよ、そう思った。
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