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誰が為のその力  作者: 魚太郎
3/6

引きこもり、驚く。

 暗闇に包まれていた部屋であった部屋には灯りが灯り、中心にある机には珍しくお茶と菓子が置いてある。普通ならば元気な話し声が聞こえてきてもおかしくない筈だが…

 チク、タク、チク、タク

 時計の針の音が聞こえて来るほどに、その部屋は静寂に包まれていた。

 チク、タク、チク、タク

 ただ、無意味に時間が過ぎていく。

 チク、タク、チク、タク、カチッ!

 短針が動き、特有の音を鳴らしたのを皮切りにして静寂に耐えかねたアウレアが言葉を発する。

「あ、あの…私がここにきた理由なんですけど…」

 そう、言われてみればそうなのだ。こんな可愛い子が、引きこもり童貞野郎の家にわざわざ来ることなど夢か妄想でなければあり得ないのだから。

「そ、そうですよね。なんで僕なんかのところにき、きたんですか?」

「ええと…もうすぐ学校で黒魔法適正検査があるのを知っていますか?」

 黒魔法適正検査。火、水、電撃の基本三属性の黒魔法の内どれに適正があるのかを調べたり、基本属性以外にも固有属性といわれる特別な属性への適正があるかどうかを調べる検査の事である。

「あ、そ、そういえば僕ももう十六歳だから受けなきゃいけないですよね。でも…それならいつもみたいにプリントを届けてくれればよかったのに」

 流石に話すことにも慣れてきていた。

「いや、それがですね…」

 アウレアによると、どうやらその黒魔法適正検査は検査にかかる莫大な費用のために人数がいないと中止になってしまうらしい。クラス五十人いるうちの三十人、つまりは60%の人数がいれば検査は行われるので、そう簡単には中止にはならないはずなのだが…

「でも、僕が学校に行かなくても実施されるんじゃないですか?」

「普通はそうなんです。でもあなたが学校に来ていない間に色々ありまして、クラスの二十一人が()()()()()()()()いるんですよ」

「え、病院送りって…嘘でしょう?証拠は?」

 ありえない事だ。一体何があったらそうなるのだ。

「あります。言われると思って持ってきました、これが証拠です」

 そう言うと、アウレアは肩に掛けていた学生鞄から出席名簿を取り出した。

「一番、欠席。二番、欠席。三番、出席。四番、欠席……」

 エルアは一つ一つ名簿に指を指して確認する。確かに二十一人欠席していた。

「わかって頂けましたか?」

「まあ、理解は出来ないけど…」

 アウレアの言う通り、検査が実施される人数である三十人には一人足りていない。このままでは検査は行われないだろう。最早自分の我儘で学校を休んでいい状況ではないということは理解できた。

「そういう事なら…行きますよ、学校に」

 そういった途端、アウレアの顔は笑顔に包まれた。

「本当?良かった!そう言ってくれなかったらどうしようかと…」

「まあ、自分の適正は素直に知りたいですしね」

「私も気になってるんですよ!白魔法以外にも適正魔法があるかも知れないって!」

 エルアはアウレアが言った、「白魔法以外」という言葉が気になった。まるで白魔法はできると言っているような言い方だったからだ。

「白魔法、得意なんですか?」

 口をついてでたこんな問いにアウレアは申し訳なさげに、しかし自身ありげにこう返した。

「はい、実はそうなんですよ。黒魔法はからっきしなんですが…」

 そうなると、好奇心が疼いて仕方なかった。コクトモに載っていた使い魔召喚の魔法、エルアは使用することができなかったが、アウレアなら使うことができるかも知れない。

「じゃあ、この魔法をちょっと試してみてくれないですか?」

 そう言って、自分の机上にある魔法陣の描かれた羊皮紙を持ってきて、アウレアに渡した。

「これは…?」

「使い魔召喚の魔法陣です。僕じゃあ発動できなくて…是非試してみて頂きたいんですけどOKですか?」

「そういうことなら全然大丈夫ですよ、私でよければ」

「本当ですか?ありがとうございます!」

 アウレアは羊皮紙の上に手をかざして呪文を唱える。

「『精霊よ、我が魔力と引き換えに、姿を此処に現し、その小さな力を振るいたまえ』」

 呪文を唱え終わると同時に羊皮紙が()()()()に包まれ燃え盛る。同時に部屋中が橙色の光に包まれて…

 羊皮紙があったはずの机の上には、毛先が橙色で、基本的には薄い青色の髪をしたショートヘアーの美少女が立っていた。

「おお、凄いですアウレアさん!人型の使い魔なんて!」

「いや、何故か不思議と魔力が込めやすくて...」

 などと得られた良い結果についてわいわい言っていると…

「うるさいですね、少しは静かにしてください…」

 突如、召喚した使い魔が喋り出し、そのオッドアイの冷めた目で見つめてきた。

「「え?」」

 二人が驚くのも無理はない。普通の使い魔は喋らない。何なら、人型で召喚されることでさえ稀なのだ。

 しかも、召喚された使い魔には本来あるべきの服従の印が見当たらなかったのである。

 静寂から解放されたと思われた部屋は、再びアウレアが入った時のような静寂に包まれた。




 文章力を返せ!いや、元から無かったのかorz

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