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今日も我が軍は平和です  作者: コノセ
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この世界について

文章力が欲しい

この世界とわたしが思い出した情報についてまとめようと思う。


わたしが生まれた、ここグライリヒ帝国は大小様々な島から構成される島嶼国だ。陸地が少なく、領域の7割以上が海なこの国では、造船業が発達している。飛行機なんてものは無い為、移動するのも、仕事をするのもほとんど船を使うからだ。

 また、この国は豊富な海底資源を保有している。鉱石や天然ガスなんかもあるが、最も需要があるのは石油だろう。船の燃料となる石油は、島嶼国であるこの国にとって無くてはならないものだから。


 しかし、資源が豊富と言っても小さな島国。その資源を狙った他国から幾度となく侵略行為を受けている。それはもう何百年も昔からずっと。

 それなのにこの国がこうして存続していられるのは、単に〈造船業の発達していない他の大陸国では攻め込む際に不利だから〉というだけではない。それだけでは、軽く見積もっても10倍以上の国力を持つ他国らには太刀打ち出来ない。


ではどうしてか。


 造船技術の他に、いやそれ以上に他国の脅威になっているもの、それは〈魔法〉だ。


 この世界において、このグライリヒ帝国だけに〈魔法〉が使えるものが産まれる。

 理由は知らない。その昔に、迫害された魔法を使える者たちが逃げ延び、隠れ住んだのがこの辺りだった、とか言われているがはっきりしたことは解っていない。

 魔法を使える者が、同時期に多くても50人程度しか居ないことや、使える魔法にも偏りや差が大きいことから、この国でも魔法の事は詳しく解明できていない。

 そして、よく分からないからこそ魔法は他国にとって脅威となる。


 ある出来事があった。連合を組んだ他国が宣戦布告をしてきたのだ。その時の戦力差は数の上だけでも50倍を優に超え、交渉の余地も無かった。到底我が国の戦力でどうにかできるものでは無く、この国の滅亡を誰もが予想した。王族も軍の幹部も、いつここが戦場になるのかと怯えながらも、かと言って逃げることもできず、迫りくる終わりに嘆いていたという。

 しかし、数日が、一週間が経っても何も起こらない。そして、さらに驚くべきことが起こった。


 連合軍が降伏してきたのだ。


 そして、その原因は一人の魔法使いだと言う。一人の魔法使いが数万の軍勢を退け、敵国の戦意を喪失させたらしい。

 命からがら逃げ延びた連合軍の兵士によると、まるで天災だったと。何が起こったのかわからないまま、あっという間に全滅したと言う。

 本当にそんな事があるのかと、誰もが耳を疑ったが、事実は明白だ。国は総出を上げてその魔法使いを探した。なんと言ってもこの国を救った英雄。全領土に触れを出し、軍の幹部、王族直々に国中を探し回った。

 結局見つけることはできなかったが。


 誰もその魔法使いをはっきり見たものは居らず、名乗り出るものもいなかった。軍人だったのかそうでないのか、もしかしたら人では無かったのかもしてない、そんな憶測まで飛び交うようになった。


 それが60年前の事だ。

 話が長くなってしまったが、まあ魔法って凄いんだなー、くらいに思ってくれればいい。


 ちなみにわたしも魔法を使える。本気で使ったことは無いからどこまで出来るのかはわからないけど、かなり凄い事もできると思う。この力があればあの人を守れ…………



 そうだあの人だ。

 わたしの大好きな世界一可愛いあの人について話していなかった。


 この世界は「蒼海航路」という軍事シュミレーションゲームに酷似している。

 わたしの生涯の推しであり世界一可愛い彼、リートハルト・ギーツェンはそのゲームの主人公だった。主人公といっても戦略系ゲームだから、彼はほとんど喋ることも無く、その内面や心情が描写される事も少なかった。実に嘆かわしい。

 いやもともとわたしは戦略系のゲームは好きじゃ無かったし、彼のビジュアルに一目惚れした訳でも無い。本当にたまたま偶然手にとったゲームだった。


 そしたらこれだよ。

 そのゲームの中での彼の行動や話し方が全てわたしの心を掻っ攫っていった。いやしんどい。徐々に明らかにされる過去と、それを踏まえて彼がどんな気持ちで生きているのかを考えるだけで心がつらい。つらい。ファンブックに載っていた少ない彼のプロフィールにさえ心を抉られた。制作班もっと心情を描写して頼むから。わたしのライフはもうゼロよ。でも今更描写されたとして、もし解釈違いが発生したら………わたしは人間の形を保っていられる自信がない。つらい。オタクの業である。この複雑な気持ちを分かってくれる人はきっと同士だと思う。握手しよ。


 あの人の生い立ちや行動、末路については後で詳しく思い返そうと思う。


 でも本当に驚いた。前世のわたしがずっと大好きだったあの人に出会えるなんて。

 こうなったら当初の予定通り全力であの人を幸せにしよう。まあ、あの人の幸せがなにかわからないから、あの人の気持ちを尊重しつつ、自分自身のことも大切にしてもらえるように、死んでも良いなんて考えないように。

 あの人の大事な人も死なせないように。


 あと、あわよくばわたしのお嫁さんになってほしい。……いやふざけてない。あの人は旦那様と言うよりお嫁さんだから。ウエディングとか着てほしい。もちろんタキシードも似合うと思うけどあの可愛……………


 とにかく。

 わたしは感謝しないといけない。わたしをこの世界に転生させてくれた運命に。

 あー、神様っているのかな。感謝するなら神様だよな。うん。それじゃあ



「っっありがとうございます神様!!!!」



…………あれ?ここはどこ?ベッド??



「……ようやく起きたかバカ妹。今度は何があった。話せ」

お兄ちゃん登場

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