第16話 休息の1週間(3日目優斗編)
投稿が遅れてしまって申し訳ありませんでしたm(_ _)m
休息の1週間の三日目となります。
如月との戦いの後俺たち3人は家に帰り事の顛末をサファイアに話した。そして休息する予定だった期間の短縮を申し出た。しかしサファイアの返答は思った以上にさっぱりとしたものだった。
「それは皆さんお疲れさまでした。今回の件で早く強くなりたいということはよくわかりました。しかし体を休めることもこれからのお三方にとってとても重要なことです。こちらにもいろいろと処理することもございますのであと5日間はきちんと休んでください。では私は先ほどのことを報告してきますので一度退席させていただきます。」
そういってサファイアは家から去ってしまった。
自分たちはその言葉で納得できるほどまだ人間が成っていなかった。
「やっぱり、俺五日も待てない。俺は修業する、一人で山にこもるでも何でもしてもっと強くなってやる。」
その竜也の言葉を皮切りに三人は立ち上がった。
「竜也ならそういうと思ったよ。私もやっぱりもっと強くなりたい。もう優ちゃんに任せっきりなのは嫌だから。私も一人でどこまで行けるのか頑張ってみるよ。」
「わかった二人のことはばれないようにこっちで何とかしてみるよ。俺もまだまだ未熟だった。全然如月に勝てるビジョンが俺には最初見えていなかった。まだ強くならないと、そうしないと餞民となっている人たちは救えない。三人で救うんだ。」
そういうと見たりも俺のほうを向いて頷いた。
「やるなら今日から。二人とも、もっと強くなろう。決戦まであと半年ちょっとしかないんだ。気は抜けないよ。じゃあまた後で合流しよう。」
そういって別れた俺はサファイアに気付かれないように海のほうまで来た。季節は夏で海水浴客が多くいるかとも考えたがその心配は無用だったようだった。
「なぜここまで人がいないんだ?平日の昼間だからだとしてもだれもいなすぎる。」
そこには海の家の人すらいないようだった。これを好都合と考えるのはさすがに無理だった。そんなとき俺は《星屑の書》を使って理由を検索してみた。しかし世界中のあらゆる知識を集めたこのスキルですらこの現象は説明することができなかった。このスキルは大抵のことについて知ることができるがやはり万能ということはなかった。個人情報や人の生死、そのほかにも鍵がかかっていて閲覧できないことがしばしばあった。今回も鍵がかかっているようにやはり閲覧することはできなかった。
「おかしい。やっぱりおかしい。一度町へ戻ろう。」
そういって町へ戻ってみるとそこにはいつもの町の風景が広がっていた。
「なんだ。何が起こっているんだ。」
俺は訓練でたまたま手に入れたスキル《千里眼》を使ってさっきまでいた海岸を見てみた。するとそこにはさっきまではいなかった人がたくさんいたのだ。
「だれが何のために…。」
そんな時背後に人の気配が現れた。
「誰だ!」
手刀を喉元に抉り込ませるようにしながら振り返るとそこにいたのはサファイアだった。
「優斗様こんなところで何をしているのですか?それとお二人はどこへ?」
「あぁ、少し気晴らしでもしようかと思って散歩してたんだ。二人は買い物にでも行ったんじゃないかな。この前買ったものはフードコートにおいて来ちゃったしさ。」
「そうでしたか。優斗様はこれからご予定はございますか?」
「いや、ないけど。」
「では私についてきてください。来ていただきたい場所があるんです。」
そういったサファイアの後ろについていきゲートをくぐるとそこは何かの祭壇のようだった。
「ここで優斗様には神と契約を交わしていただきます。」
「神との契約?」
「神や精霊と契約を結ぶことでさらなる力を見に宿すことができるのです。さらに神や精霊は我々とは別の存在であるため本人のレベルが100へ到達してもそれ以上に成長をすることができるのです。」
「神や精霊なんて神話の中の話だけじゃないのか?そんなことができるならすでに公表をされていてもおかしくないじゃないか。」
俺がそういうとサファイアはしばらく押し黙って静かに答えた。
「この技術は多くの犠牲を伴って完成されました。そして完成した今でさえ大きな危険を伴います。そして一般の人が手を出すにはあまりにも力が強大過ぎたのです。そのためこの技術はノンマスクの一部の幹部しか存在を知りません。あくまで神や精霊は空想上の存在とされていますがある条件を満たせばこの世界にも干渉をすることができるのです。」
「その条件というのは?」
「そこは企業秘密ということでお願いします。」
そういってサファイアは人差し指を口に当て微笑んだ。
「では優斗様これからあなたに全知全能の神【ゼウス】と契約を結んでいただきます。」
そういってサファイアは詠唱を始めた。
(1beK07GX07K407Cx15CE1ZO607Ge15Wu07Cg07KF07KP07OD07Ch07K407CyPTrVt4rXv47TsafVjYzTsZ7YsLXTsZjVlaHXhLTTsafVuqvTsqLUiL7TsbjTsrg=)
その詠唱は俺には全く理解できるものではなかった。次の瞬間目の前に雷をまとった影が姿を現した。
《我を呼び出し契約を授かろうとする者。我の前に姿を現しその実力を見せよ。》
これが神の威厳であろうか俺はその場に立ちすくんでいた。必死に声を絞り出して言う。
「俺がお前を呼び出し契約を結ぶもの。我が力今顕現させよう。」
そういい魔力を自分に集中させた。そこに集まった魔力は祭壇室には収まりきらず地鳴りを起こしていた。
《ふむ。よかろう。貴様のその力我がさらに昇華させようぞ。我と血の契約をするがよい。》
「それでは優斗様、親指を噛みそこから流れた血を1滴この秘宝に注いでください。これが血の契約といわれる由縁です。」
「わかった。」
そういって俺は血を指輪の形をした祭壇の秘宝に血を1滴捧げた。
《これで契約は成立となる。我はお前の心中に存在しお前が消滅したとき天界へ無理やりと引き放される。ではお前に我の力を授けよう。》
そういってゼウスは俺の心臓のほうに一直線に影となり吸い込まれていった。次の瞬間自分の底から湧き上がる様に魔力が高まっているのが分かった。
「これで契約の儀はおしまいとなります。もう外は日も暮れていたころと思われますのでそろそろ帰宅しましょうか。二人も待っていることでしょう。明日は二人にも精霊と契約をしていただきますので外出はしないように言ってもらえると助かります。」
「え、ここに来たのってまだ昼過ぎだったと思うんだけど…。まだここにきてから1時間ぐらいしかたっていないような…。」
「この空間は特殊な空間で、ここで1時間進むことは向こうで6時間進むことと同義なのです。」
「つまりここは竜宮城みたいな時間の進み方をしていると言うこと…?」
「そういうことになりますね。では戻りましょうか。先に言っておきますが、前にも述べた通りこの契約は危険を伴います。それでもお二人にはこの契約を受けていただく必要があります。それを優斗様は認めることができますか?」
「契約に失敗するとどうなるんだ…?」
「良くても長い間寝たきり、最悪の場合には死亡することになります。契約に失敗した人たちは私たちでも回復をすることはできません。」
「その話をなぜ俺が契約をする前に言わなかった…。俺が死んでしまう可能性があったというのに!!」
するとサファイアは冷静に答えた。
「あなたの契約は必ず成功する。その確証があったそれだけのことです。しかしあの二人にはないなのでお話をさせていただきました。」
普段のサファイアからは考えられないような威圧で俺は少しひるんでしまった。
「そうか…。わかった。だが二人の決断を俺がするわけにはいかない。二人に今言った内容を全てきちんと伝えてくれ。頼む…。」
そう言って俺は頭を下げた。下げなくてもいい場面ではあった。しかし俺はなぜかこうしなければいけない気がした。
そうして俺たちは家へと帰っていった。
いかがだったでしょうか。楽しんでいただけたとしたらうれしいです。
まだまだ続きますので今後ともよろしくお願いします。m(_ _)m
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