第1話 変身ができなかった俺友人に置いてかれる夢を見る
初投稿なので文体、視点、内容めちゃくちゃだと思います。ありふれてるかも知れませんが初めて書いてみたものなので暖かい目で見て貰えると嬉しいです
「変身!」
4095年世界は科学の跳躍的な進歩・新物質の発見により変身という能力が人類にもたらされた。人々は10歳という節目の年になると変身の際に用いる魔道具が政府より支給される。
変身については新日本国憲法149条にによって定められている。
1.変身により人に危害を与えてはならない。
2.変身を悪用してはならない。
3.変身での武力の行使は特殊治安保全庁の職員のみが行うことができる。
他にも存在するこの法は変身に関して絶対的な権利を持っていた。
神奈川県の西はずれに住んでいた小学生の日暮優斗は小さいころから特撮ヒーローにあこがれる純粋な男の子だった。その男の子は来年節目となる10歳を迎える。
「なあ優斗!お前どんな変身装備がもらえると思う?!」
無邪気に質問をしてきたのは幼馴染である竜也だった。
「私は、優斗君は正義のヒーローみたいなかっこいいベルトがもらえると思うな~」
そう言ったのは同じく幼馴染の恵果だった。
自分は普段町の悪ガキたちを懲らしめる小さなヒーローだったのだ。
「俺はそんなヒーローなんてなれないよ~。おれは普段使いやすい魔道具だったらどんなのでもいいかな~。かわいいのは勘弁だぞ!?」
そう言って三人の中には笑いが起こった。
そして運命の2週間後俺達3人は一緒に政府に定められた魔道具配布場所プレイスへ向かった。そこには今年10歳になる子供たちがすでにたくさん集まってみんなどんな魔道具がもらえるのかと心待ちにしていた。
「俺たちなら絶対に最強の変身装備が渡されるにきまってるさ!」
そう竜也は気張っていた。
「魔道具が渡されたら三人でヒーローごっこしようね!」
恵果は無邪気にそう提案した。
「もちろん!」
小さいころから特撮ヒーローにあこがれているため断るわけもなくそれを肯定した。竜也も特撮ヒーローが好きだったためこちらもすぐに肯定を返した。
ついにその時が来た。
「今から魔道具の配布を行う!誕生月の順に前へ出てくるように!」
そう特殊治安保全庁通称SSPの職員が高らかとそう宣言した。
「じゃあ俺2月だから先にもらってくるな!もらったら外の広場に集合な!」
そういって竜也は走っていった。
「私は向こうで5月の集まりがあるみたいだからそっちに行ってくるね。」
順番がまだの人たちも月ごとに集まっているらしく恵果もそちらへ向かっていった。
「俺は12月だから向こうだな。」
そう呟いて優斗も歩き出した。
1月、2月…と渡されていき遂に12月の番が来た。優斗はそこまで急いでいなかったため一番後ろに並んでその時を待っていた。渡されるときは各自個室に入り1人1人にあったものがその場で選定されていくというシステムだった。
「次の人、入って。」
そう3番の部屋から役員に呼ばれ入っていった。
部屋に入ると役員に促され机の右側においてあったタブレット端末に手を置いた。
しばらくして役員は顔をしかめた。
「日暮優斗君、、、きみは…変身の魔道具には適性がないみたいだ…。」
後に調べて分かったことだが極まれに、2万人に一人ほどの確率で変身という能力に適性を持たない人がいるらしい。優斗はそれほどまれな人に一人だったのだ。
「変身に適性がないって…。じゃあ俺は一生この世界で変身ができないっていうんですか!!」
俺は怒り狂ったように役員に怒鳴りつけた。
「すいませんこれはどうしようもないことなので。これは気休めなんですがよかったら」
そう言って手渡されたのは2世代前の特撮ヒーローがつけていたおもちゃの変身ベルトだった。
しぶしぶと入ってきたドアとは反対のドアから部屋を出た。後ろの人と鉢合わせないためだといったが、一番最後なのでその心配はないのだが、そういう仕組みだそうなので自分も反対のドアから出て行った。
広場へ向かうと竜の頭をかたどった魔道具を腕に装備している竜也と携帯電話型の魔道具を難しい顔をしていじっている恵果が自分を待っていた。先に自分のことを見つけた竜也が手を振りながら自分を呼んでいた。
「優斗~こっちだこっち!」
人がたくさんいる中で名前を連呼されるのも気恥ずかしいので走って竜也のもとへ向かった。
「かっこいいだろ!俺の名前の通り竜がナイーブなんだぜ?」
「竜ちゃんそれを言うならモチーフでしょ?私はかわいい携帯型の魔道具がもらえたんだよ~。かわいいでしょ~。ゆうくんはどんなのがもらえたの?」
恵果に話を振られて俺は心底顔をしかめた。それに気づいたのか竜也は悪気はないのだろうが率直に聞いてきた。
「優斗どうした?もしかしてほんとにかわいいのだったのかぁ~?見してみろよ~」
と言って自分が持っていた紙袋を奪い取り勝手に開けた。
「え?優斗これ…」
驚いた表情で二人は自分を見ていた。
「そうだよ!俺は魔道具に適性がなかったんだ!俺は変身できないんだよ!」
やってしまった。こんなにたくさんの人がいる中で大声で叫んでしまった。周りは自分が叫んだのを聞き静まり返っていた。
「変身できないってなんだよ…あんなにみんなのために頑張ってた優斗が…なんで優斗なんだよ!」
そう叫んだのは自分と一緒に街の悪ガキをこらしめていた竜也だった。
三人は暗い表情で帰路を歩んだ。
家に帰り優斗は自分の部屋に入り一人で泣いていた。
「なんで俺が…なんで、なんで俺なんだ!今まであんなに頑張ってきたのになんで!」
優斗は周りのだれが見てもそう答えるほどの優等生だった。成績優秀、容姿端麗、性格もいいという天に二物も三物も与えられたような完璧な少年だった。しかし最初から自分は優等生だったわけではなかった。すべてはいい魔道具をもらうため、一生懸命になって勉強や悪ガキを懲らしめたりしていた。魔道具はその人の10年間の過去の行いや思考などから算出され割り当てられている。そのため優斗は小学校に入ってからの4年間全てをかけて善行をしてきたつもりだった。しかし前提の考え方から覆されてしまった。自分にはまずもって変身すること自体ができなかったのである。この日は泣き疲れて帰ってきてすぐに寝てしまった。
数日たってやっと家から出る決心を自分はした。優等生であった自分が何日も休んでいるというのは異常事態だった。久々に学校に行くとみんなの視線は自分に集まった。優等生が学校を何日も休んでいたのだ、注目もされるだろう。そう考えていた。しかし注目されている理由は違った。
「なあ優斗、お前が変身装備もらえなかったこともうみんなに広まってるみたいなんだ。」
なんだって!?内心で自分はそう叫んだ。確かにプレイスには多くの子供がいた。しかし自分が最後だったこともあり知っている顔はいなかったはずなのだ。恐る恐る竜也に聞いてみた。
「そんな情報どこから皆に伝わったんだ?」
「なんかわかんないけどみんな次の日には優斗が変身装備もらえなかったことしってたんだよ。でも誰から聞いたかは皆覚えてなかったんだ。」
なんだそれは。自分が誰からそのことを聞いたかだれ一人も覚えていないなんておかしすぎる。そのことについて考えていたら一日はあっという間に終わっていた。
学校が終わるとみんなそれぞれ変身し個人の能力にあった帰路で帰っていった。天を飛ぶもの、地面を泳ぐもの、テレポートするものと多岐にわたった。竜也と恵果は自分に合わせて変身せずに一緒に歩いて帰ってくれた。
「俺変身すると空飛んで火吹けるんだぜ!すごいだろ!」
「私はテレポートと回復全般かなあ。サポート役かな。」
「二人ともいいよなぁ俺なんておもちゃの変身ベルトだぜ?」
冗談めかして言ってみたものの雰囲気は暗くなってしまった。
「ごめんね…もっと考えて言わないとだったね…。」
気を使ってくれる恵果だったがその新設が逆に心に刺さった。そんな話をしながら帰っているとすぐに家についていた。二人に別れを告げて家に入るとすぐに自分の部屋に入った
(もう二人に心配はかけたくない、自分でもできることを探してやる!)
そう意気込んでパソコンに向かった。そんな中であるサイトも見つけた。そのサイトの名は、
『ノンマスク』
変身のための魔道具がもらえなかった人たちのコミュニティだそうだ。早速そのサイトの主にメールを送ってみたところ。すぐに定型文のようなメールが返ってきた。
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差出人:ノンマスク新人担当課
宛先:日暮優斗様
件名:優斗様のご加入について。
本文:日暮優斗様
この度はノンマスクにメールをいただき誠にありがとうございます。
私たちの集団は10歳になった際にもらえる魔道具がもらえなかった方々のコミュニティです。したがって我々をあざ笑うかのような発言を統制すべく加入の際に本当に魔道具がもらえなかったのかを調べさせていただいています。確認のため次の操作を行ってください。
1.変身チェッカーを「ノンマスク」の公式サイトからインストールしてください。
2.診断を開始し診断結果をこのメールアドレスに添付してください。
操作は以上の二点です。
診断により変身不可能と診断された場合のみ加入することができます。
ご理解とご協力をお願いいたします。
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このメールを見てさっそく診断とやらを受けてみた。結果は当然のごとく変身不可能。結果をメールの送付して送った。
メールの返信が来たのはメールを送ってから一年もたってからのことだった。周りは変身に慣れ始め、各自各々の力が把握できるようになってきた。竜也や恵果も例外ではなかった。竜也は圧倒的な攻撃力と飛行速度を持って昔の自分のように悪ガキどもを懲らしめていた。恵果は保健の先生に目を付けられけがをした児童の治療を行っているほどだった。二人の能力は他の変身をしている子供たちを見ても頭一つ抜けている優秀さだった。
そんな二人を見ていると心臓に穴が開いたような感じが自分を襲った。そんな中一年ぶりに返信の来たノンマスクからのメールの内容を思い出した。
『自分が劣っているのではない周りが優れているのです。今のあなたにできることをやってください。時にはあきらめと勇気が必要です。この言葉の意味が分かった時あなたはノンマスクに加入することができます。
あなたの加入をノンマスク一同心よりお待ちしています。』
自分には何ができるのだろうか。そんな考えが頭をよぎった。何も自分はすることができないのではないか、そんなことも思ってしまった。考えが頭をめぐっているうちに自分はいつの間にか走り出していた。どこへ向かっているのか。目的地はない、でもかすかにわかるきっとあそこだ。
自分との葛藤がひと段落ついたころ自分はプレイスにいた自分の人生がくるったこの場所に。理由は決まっている。ここで死ぬためだ。ノンマスクの行っていたことは理解できないでも自分でも何をしていいのかわからないのだ。ノンマスクの言っていたあきらめと勇気はこんなことではなかったのだろう。でも徐々に頭角を現し始めた友人を前に自分は絶えることができなかった。
「さようなら自分」
そう告げて自分はこの世を去った。
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