マーテルの日常-朝(2)
外はまだ薄暗いが、2人分のお弁当を作り終えた。
マーテル「ふぅ。ちょっと頑張りすぎちゃったかな?」
2人の仕事は特に体を酷使するため、いつも弁当箱に入らないくらい作ってしまう。
そんないつもに増して、今日は作ってしまったため、本当に作りすぎだ。
マーテル「どうしようかな」
せっかく作ったのだから、食べずに腐らせてしまうのはもったいない。
かと言って、お弁当箱を増やして2人に持たせたとしても、邪魔になってしまうのは目に見えてる。
マーテル「そうだ、今日もラディさん家にお裾分けしましょう」
ラディさんは、私の家の向かい側に住んでいる人で、普段は宿屋を経営している。
出される食事が絶品だと評判で、食事目当てにくる旅人も多かった。
けれど近頃は、魔物の動きが活発化しているせいか、ほとんど旅人はこの村に訪れない。
ラディさんは野菜を作っているため、生活は問題なく送れている。
我が家は向かい側に住んでいるということで、他の人には内緒で野菜を譲ってくれたり、時にはアスタとパテルが取ってきたお肉と交換したりと、何かとお世話になっている。
他の村の人に内緒でお裾分けしたとしても罰は当たらないでしょう。
マーテル「これはそうするとして、そろそろ2人が起きてくる時間ね」
マーテル「じゃあ、次はみんなの朝ご飯を作りましょうか」
自分自身に喝を入れるように言い聞かせて、私は再び作業を始めた。