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14:排除

 さて、聞く事も聞いたし、食べさせるのも食べさせたが、流石に直ぐに回復とはいかないだろう。彼方の占領している町へ送るのも手だが、此方の陣営を紹介するのも良いかもしれない。

 いざとなれば俺が担いで飛べば良いだけだ。


「この子も食事が済んだようだしどうする? 帝都に来るか? 距離としては馬車で3日って所だな」

「えーと、そうですね。追撃して来ないとも限りませんから移動したい所ではありますが、飛べそうか?」

『クルルルルー!』


 またも横に首を振って拒絶している。一塊が500kg近くある。これだけ大量に食べた事から食休みが必要だとは思うのだが、移動するのは前提であり直ぐに移動する事は比須。食べ過ぎて飛べませんとは言わないよな?


「食べ過ぎて飛べませんじゃないよな?」

 ぎくりとしたのか半歩後ろへ下がるのだった。

「そうですか。ご主人へ後程相談しておきますよ」

『クルァ!』

 睨みつけている辺り、抗議しているようだ。が、ビンゴだったようだ。ただ、こっちの言葉を理解してる節があるんだよな……。


「それは良いけど、この子頭いいな。俺の元にもいるんだよ。めっちゃ頭いいのがね。何せ喋れるし。で、話せるのに鳥の真似とかしてないよな?」

「ははっ、そんな訳ないじゃないですか」

 非常に怪しいが追及しても良い事なんてないだろう。此処は大人な対応をしてあげようじゃないか。


「まあ良いか。帝都に来るなら担いで行くぞ」

「可能、でしたね確かに。申し訳ありませんが一晩だけお世話になれますか?」

「それじゃ二人とも乗ってくれ。俺が下から抱えるから」


 乗るのも慣れたもので。グリフォンが前足を後ろに曲げる事で踏み台として乗る様であった。ヤヨイが後ろだな。慣れてないのだ、乗る際は後ろの方が怖くないものだ。

 乗ってる間に出した品を回収した。

 グリフォンには普通に立ってもらい下に入り込み背中側全体を使って持ち上げる。横へぶれない様に手で支えるのだ。こうして帝都へと帰還した。

 帰還途中に確認したが、帝都へ向かっていた部隊が増えていた。合計3部隊。全てで12部隊確認出来た事から、結構な割合を差し向けた様だ。

 人質として前面に連れ出せば相手は無力化する。そんな手は使わないけどね。スキルアップの為にも時空魔術で全てかたを付けるつもりだ。


 城の敷地内に降り立つとココアが警戒任務かどうかは分からないが入り口前に佇んでいた。


「ただいまココア。どうしたんだ? 警戒中か?」

「テリストを待っていましたのよ。税率の事で揉めていますのよね。それで、グリフォンですわね。如何されたのです?」


 ん? 税率っていっても今の税率はしらないし。もしかして今現時点で下げろとか無茶をいってるのかねぇ。ま、会えば分かるか。


「連合所属の偵察部隊副隊長さんだ。で、こっちは嫁のココリアーナ・ファーラルだ」

「危ない所を助けて頂きました。アルフォンス・レーゲンシャトウと申します」

「ココリアーナ・ファーラルと申しますわ。危機からの生還おめでとうですわ。テリストが偵察に出かけていたのは幸いでしたわね」

「まったくです。しかし、到着したその日に城を落としたのはお見事です。この事が知れれば連合軍も勢いに乗る事でしょう」

「まあまあ、立ち話もなんだ。入ってくれ。俺の城じゃないけど」


 ふむ。皇帝家族を4階に確保してるからか、交渉は1階でしてる様だな。それなりの地位にいる者だが。下手すれば貴族かも知れず、交渉の不利とならない様に暗殺を企てる可能性も無きにしも非ず。

 なにせ国とは別の組織と謳ってはいるが、かなり癒着してるのは本部に努めてる連中を見れば直ぐにわかる。自分の国の代表者として寄越す位だしな。

 臨時代表者会談の場にもなっていそうだ。そんな訳で地位があるとはいえ、あまり信用しない方が身のためだ。

 後の役に立つかとアルフォンスも同席させる事にした。ついでにグリフォンも入るのだった。


「ただいま、何やらもめてるて聞いたぞ」

「お帰りテリクン。……あ、あのですね。使い魔を連れて来るのはちょっとご遠慮してもらえませんか?」

 流石に冷静だな。普通ならこの巨体が突然来れば身構えるものだ。ま、一方的に攻撃されようと一切被害は出ないであろうが。

「も、申し訳ありません。頼むから通路で待っていてくれないか」

『クルルルッ』


 Uターン出来ないのでバックして出て行くのだった。

 そしてそれぞれ挨拶を交わして交渉へ再突入となる。


「で。税金の事で話が纏まらないと聞いたが、具体的には何が纏まらないんだ?」

「現在は55%と途方も無く上がっており、とてもではありませんが、民が疲弊しきっております。政権を樹立した暁には、他国と同等程度へ下げて頂けないだろうか」


 やっぱり高圧的な態度や強制運用だけでなく。民へのあの行動からして最悪な状態だろうとは考えていたが、その上を行ってるらしいな。


「なるほどな。で、魔物ハンターギルドのお偉いさんが残ってるのはなんでだ? そっちは済んでるんだろ?」

「他人ごとでは無いのでね、同席させて頂いてる」


 ま、口を挟んでこなければどうでも良いか。


「ま。いいだろ、カーラが許可してるのならな。それで結局は如何返事してるんだ?」

「下げる様に交渉すると話しているのですが、どの程度まで下げるのか具体的な数字を聞きたいそうです。それで返答に困ってしまいまして」


 どだい返答不可能な質問だよな。3国のトップが揃っていなければ返事できない要求だ。そもそも皇国は土地を放棄する予定だし、それで税率を何処まで下げますとか言質を与える訳にはいかない。

 そもそも。皇帝に直談判して蹴られる事態になれば首が飛ぶだろうけどな。お前の決めた税率で国民が不幸になってます、下げてくれなんて話したら、皇帝の命令が無くとも、側に控えている騎士が殺しかねない。

 それほど屑揃いの国だって事だ。


「連合軍の方もいらしているが。職権を逸脱しての答えを出せるはずも無いからな。国王の地位にある方じゃないと判断できない問題だ。という事は皇国としてもサルーンがいない以上は答えようがないぞ」

「そこを何とかなりませんかな?」

「なる訳無いだろ。皇国はこの様な返事をなさいました。あの時話した事を誠実に守って頂けないのですね、などと言われてはたまったものではないぞ。

 言質を与えて位にそぐわない場合は叩いてあげますって腹だろ。あまりふざけた事を抜かすと頭を挿げ替えるぞ」

「それでは全く下げるおつもりは無いと仰られるのですな?」


 先に話した税率を下げる交渉を行いますと話した事を理解できずか。永久にかみ合わない話し合いが続きそうだな。こいつは退場させて次点の奴と話す方が手っ取り早い。


「おい。お前は貴族か?」

「そうですが。それがどうかしたのですかな?」

 ならば好都合だな。

「カーラ。俺たちにとっては討伐対象だよな」

「テリ。もしかして頭悪すぎて交渉にならないからと頭を変えるんじゃないわよね?」

「当たり前だろ。減額交渉しますと話してるのに、下げるつもりは無いのかと確認して来る辺りが馬鹿すぎて話にならん。死ねや【ディメンションカッター】」


 一瞬、逃げようとするが遅い。腰を浮かした時には死んでいた。

 誰も止めずにきちんと放つ事が出来た。横向きに放つと魔物ハンターギルドのお偉いさんまで殺していまうからな。縦に頭をかち割ってやった。


「どうもこの馬鹿は戦時下って意味を理解してなさそうだ。皇国にとっては貴族は討伐対象だぞ。それを難癖つけて馬鹿にした態度を取るとか、理解する頭が無いと来てる。貴様も貴族か?」

「た。確かに貴族ではありますが。皇国と事を構えるつもりは毛頭ありません。従属する事をご、御許可お願いします」


 従属って、確か完全に貴方様の下に着きますから陣営の鞍替えの許可を下さいって事だったか? こっちもまたサルーンの許可が必要な事を言い出したな。まったく面倒にも程がある。


「従属は不要だ。貴族位を捨てました。一般人ですを貫いとけ。で、確認するが、ハンターの税率に関しては他国と同等だろうな?」

「は、はい。税は他国と変わりません。高くすれば他国へ出て行かれ安全が確保出来ないのです」

「だろうな。それじゃ俺からの命令だ。戦時下の今の状態では税を回収し、皇国の資産にはできん。そこでだ。その金を使って巡回業務を発注してくれ。帝都全域くまなくまかなえる様にな、余ったらプールしとけ。良いな?」

「そ、その。足りなかった場合には……」

「商業ギルドに入る税金を回して当てろ。相場に合わないと判断したらお前の首が物理的に飛ぶからな。注意して事に当たれよ」

「も。勿論です。お、お時間を頂き有難うございました」


 逃げるようにして帰って行った。これだけ脅せば、代金を盛ってばら撒く行為はしないだろう。なにせ自分の首が掛かってるからな。


「ちと、仕事が増えたな。商業ギルドの位置を通行人に聞いて行って来るわ。臨時で税金を5%下げておけって伝えとくか。最終的には10%程度は下がるだろ?」

「獣王国と比較したら20%から25%程度は下がるわよ」


 流石にその基準まで下げるのは無理だな。下げてさらに下がるのは良いが、下げて上がるのは宜しくない。


「なら良いな。下がってまた上がりますだと反発されるが、更に下がる場合には歓迎されるからな。カーラがいなきゃ話にならないから行くぞ」

「もう、テリクンが団長で良くは無いでしょうか」


 決断力が必須だからな、やっぱり荷が重いか。そこは俺が支えれば問題無い。ある程度導く事で決断を迫れば良いだろう。


「そんな事言ってもサルーンが決めたんだから諦めろ。俺の立場で覆せないのは分かるだろ、なに、独断で何でも決めてくれとは言わないから。勿論俺がフォーローするよ」

「あの、宜しいでしょうか? 戦時下とはいえ勝手に税率を変更されるのは連合軍として容認できない事なのですが」

「だろうな。下げ幅を確保した上で少々削るのもやはり不味そうか?」

「交渉の席で貴国の立場がやや不利になると思われますが。再度上げる事態にならなければ、一応連合としては面目は立ちます」


 はやり同席させて正解だったな。貴重な意見が聞けた。なら、連合に対しても角が立たない様に振舞わないとな。

 そうなると税率を変更するのは避ける方がベターだな。そうすると対処法は一つしかなさそうだな。


「ふむ。それじゃこうしよう。どうせ魔物ハンターギルドの税率は変更できない事だし、そちらはそのままって事で問題無いが、現状は戦時下だ。

 税収は一時ストップさせて、新たに政権が誕生した際に、その税率に従って後程回収する。これならどうだ? それか。政権樹立してから0スタートにするのも手だな。けっこう喜ばれるかもな」

「後者はどうかと思いますが、前者で問題無いと考えます。とはいえ、職務を逸脱した返答ですので、うのみにしないでもらえたらと思います」


 確かにおたくの諜報員がこう言ってましたのでその通りに調整してみましたとか言った日には首が飛ぶかもしれないな。貴重な助言をした者が不利益を被るのは避けなければな。


「そうだな、配慮しよう。此方が勝手に判断して事を進めたって事で構わない」

「それじゃテリクン行きましょうか」

「アリサ。彼に上の階の適当な部屋で休んでもらってくれ、グリフォンもな」

「食事はどうするのよ?」

「同席してもらう。ついでだが。北から3部隊帝都を目指して南下中だ。スキルを鍛えなきゃならんから全部貰うぞ」

「そんな事言ってるとエレクティアさんがごねるわよ。良いからさっさと済ませて来なさい」


 砦に張り付いてる部隊を全部宛がったから此方は頂きたいものだな。帰ってから相談するか。

 彼方は時間が掛かってるからそれなりに活躍してる事だろう。と思いつつもカーラと二人で出かけるのだった。

 


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