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告白  作者: 桜餅
3/3

妄想が止まらない

■シチュエーション

妄想少女


■登場人物

・一ノ瀬亜美(いちのせ あみ)

 本作の主人公。可愛い男の子が好きな妄想癖のある女の子。

 後輩の結城君を溺愛している。


桜庭結城(さくらば ゆうき)

 同級生の女の子にいじめられていたときに、主人公に助けられ(主人公は覚えていない)、

 それから恋心を抱いており、ついに告白を決心する

「はぁあああ……」

一週間で最も憂鬱な月曜日の朝、私は本日何度目かも数えるのが億劫なため息をつく。

天気は曇り、湿度は60%と少し湿っぽく、タダでさえ憂鬱な気分を更に加速させる。


「はぁあ……」

もう一度大きなため息を付く。もういっそのことこのまま帰りたい……。


「ちょっと亜美。朝からどれだけため息付いてるのよ。こっちまで気が滅入るじゃない」

隣に座っている親友の佐友里が嫌そうな顔でこっちを見てくる。


「だって月曜日だし……はぁ……可愛い結城君に会えないなぁ……」

結城君というのは1年生の超可愛い男の子の事。

それはもう可愛くて、目に入れても痛くないというか、全力で甘やかしたというか、

私なんかよりもずっとずっと可愛い男の子。


「本当、亜美は結城君のこと好きだね……友達でいるのが嫌になるぐらい」


「あはは~ちょっとそんなに褒めないでよ~うふふ……」


「褒めてないんだけどなーって聞いてないか……」



「お・わ・ったー!!!! ねぇ佐祐理、クレープ食べに行こう。クレープ!」

本日最後の授業も終わり、開放感に満ち溢れている。

もっとも、月曜日という現実は忘れておく。だってまた憂鬱になるし……。


「はいはい。まったく、朝あれだけテンション低かったくせに、なんで放課後になると元気になるのよ……」


「だって自由だし! これで結城君がいればもう最高だよ~」


「放課後の教室で一人で待ってると、結城君がやってきて、遅れてすみません。日直の仕事があって……」


「っとか、申し訳なさそうにする顔がものすっごいキュートでギュってしたくなるんだよ!!」


「じゅるり……」

おっとと、つい涎が……。


「あーうん。そうだね……聞いたあたしがバカだった……」


「っと、そうだ。今日のクレープなんんだけど、いつもと違うところでもいいかな?」


「んー? どっか良いところでも見つけたの?」


「うん。最近駅前に出来たクレープ屋さんなんだけど、美味しいって評判だから気になって…………あれ? なにこれ?」


「? どうかしたの?」


「あっうん……。下駄箱に手紙みたいなのが入ってて……」


「ねぇ亜美、もしかしてそれラブレターじゃない?」


「ラブレター……? えっ? なんで私に??? 私なにかした???」


「いや、知らないけど。とりあえず中身見たら?」


「あっうん……えっと……」


『一ノ瀬先輩へ 突然のお手紙申し訳ございません。本当は、直接口で言いたかったのですが、勇気が出ず、こうしてお手紙を書かせて頂きました。どうしてもお伝えしたことがあるので、今日の放課後、第二倉庫横でお待ちしています』


「……だって。これって、まさか………………殺害予告!??」


「なんでやねん!!!!」

佐友里の渾身のツッコミ……地味に痛い……。


「どうみても、告白したいから来て下さい手紙でしょ!!!」


「えっ?えっ? な、なんで? なんで私なの??? 私には結城君っていう心に決めた子が!!」


「それを相手が知らないだけでしょ。それで、どうするの?」


「ど、どうするって……?」


「お呼ばれされてる訳だけど、行くの?」


「えっと……わ、分かんない……。相手がどんな人かも知らないし……。で、でも無視したら可哀想だし……」


「まったく亜美ってこういう時だけは優しいね」


「だけってなに!? 私はいつもでも優しいよ!?」


「自分がそう思ってるだけでしょ。まったく……。まぁいいや。それじゃあ私は帰るから頑張ってね」


「ちょ、ちょっと待って! ひ、一人にしないで! 佐友里も一緒に来てよ! 私の影で見守るだけでいいから!」


「それ真後ろにいるじゃない! せめて建物にしなさいよ!」


「そ、それじゃあそれでいいから!!! おーねーがーいー!!」


「分かった! 分かったからスカート引っ張らないでよ! あんたはおっさんか!!!」


*


「うぅ……緊張してきた……たぶんあそこにいる人が手紙くれた人、だよね……」

背丈は結城君と同じくらい……? どんな人なんだろう……。


「たぶんそうだと思うけど、その会話もう3回目だからね? そろそろ行ったら?」


「うっ……うん……心の準備が出来たら……」


「そのセリフも3回目だね。さっさと行きなさい」


「――はい」

佐友里ちゃん強引過ぎるよ……。他人事だと思って……。

でも、ここでこうしててもしょうが無いよね……不安しかないけど行こう……。


「――あっと……て、手紙をくれた人、かな……?」

うっなんか手汗一杯出てきた……というか今日暑くない!?


「ぁっ……一ノ瀬先輩……ですか?」


「う、うん……」

なんだろう。この全力で抱きしめてがげたくなるような可愛い声……

凄く聞き覚えがあるような気がする。


「えと、その、きゅ、急に呼び出してしまってすみません……」


「えっ……うそっ……」

な、なんで。えっなんで結城くんがここに!? というか申し訳なさそうにする結城君可愛すぎない!!!?


「…………」


「あ、あの、一ノ瀬先輩……?」


「――は!?」

あまりの驚きにぼうっとしちゃった……。というか、困った結城君可愛い!!!


「あっえと、ご、ごめん。ちょっと驚いちゃって……」


「す、すみません……。えと、まず自己紹介から……僕は一年の桜庭結城って、言います」

うん。うん! 知ってるよ! もの凄い知ってるよ!!


「それでその、お呼びした理由なんですが……」


「う、うん。何かな……?」

ぅおおお落ち着け私!? 私なら、大丈夫、きっと出来る! って何が!?


「その、えと……」


「…………」

もうなんなの結城君!!! 戸惑う顔可愛すぎだよ!! その顔反則だよ!! 反則だからね!? レッドカード即退場だよ!!?

というか、もうさっきから私なに言ってるの!?



「ぼ、僕……い、一ノ瀬先輩の事が……す、好き、です。ぼ、僕と付き合って、もらえませんか!!」


――きたあああああああああああああ!! これ来たよ! 来ましたよ!? 告白だよ。結城君からの告白だよ!!

どうしようどうしよう!! もちろんOK。OKだよ!!! さあ言え! 私!!!


「――ぁ。えとその……」

あ、あれ……なんで……言えないの……? あれ……?

というか体が暑くて……なんか頭が真っ白になってきた……。


「えとえと……ぁの……ちょっちょっと待ってね……」

すぅーはぁーと、とりあえず深呼吸……落ち着け私……。

いつもみたいに好きって言うだけなのになんでこんな……。


「その、あ、ありがとう。凄く嬉しい。とっても、とっても」

なんか日本語がおかしい気がするけど気にしない……。


「それでその……お返事、なんだけど……」

大丈夫。落ち着け……いつものように言うだけ……ってちょっと待って!?

いつものように言ったら私ただの変態じゃん!? ふ、普通に言おう。普通に……うん。


「わ、私は……」

あぁ……なんか喉から凄い乾いてるし、汗も凄いかいてる……。

ずっとずっと憧れてたのに、いざこうなると完全に上がっちゃうなんて……。


「そのだから、えと……」

ただ一言、好きと返すだけなのに中々声に出てくれない。

いつもはあんなに簡単に出てくるのに……。


「…………」

結城君が待ってるのに……早く伝えないと……。


「うぅ……えと、えっとね? 私、は……」

頑張れ、頑張れ私……。結城君に格好良い所見せなきゃ……!


「その、わ、私も、ゆ、結城君の事が、その、す、好き、です……。だから、その、お願い……します……」

言った……言っちゃったよ……私……なんなのこれ恥ずかしすぎない!?


「ぁっ……は、はい!!」


「あ、あはは……」

喜ぶ結城君、可愛いなぁ……。


「そ、それでその、い、一ノ瀬先輩」


「な、なにか……?」


「も、もしこの後用事がなければ、一緒に帰りませんか……」


「あっ……う、うん。いいよ」

あ、憧れの結城君との下校!? なんなのもう!? 幸せ過ぎだよ!!!

ってちょっと待って……そういえば佐友里が……あれ、メール……?


「ご、ごめん結城君。ちょっと携帯、みてもいいかな?」


「は、はい! どうぞ!」


「ごめんね」

えっと……『なんかよく分かんないけど、結城君と上手くいったみたいだから先に帰るね。明日詳細よろしく』

佐友里……えっと『ありがとう佐友里。また、明日話すね』

これで、よし。


「お、お待たせ。それじゃあその、帰ろうか。えっと、結城君」


「は、はい! 一ノ瀬先輩!」


Fin

いつもご愛読頂きありがとうございます。

月1回と投稿ペースはかなり遅いですが、まだまだ投稿していきますので、

楽しみにお待ち頂ければと思います。


さて、次回からの投稿ですが、今までのようにただの単話としてではなく、

同じ場所、同じ登場人物でシチュエーションだけを変更した物が3話ほど続く予定となっております。

何カ所か内容が被ってしまう所が出てくるかと思いますが、そういう物だと思って頂ければと思います。


今後とも、短編連載小説「告白」を宜しくお願いします。

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