フェンリル撃退依頼と我が家
すいません。流石に毎日投稿は難しいです。
なので、1日空ける日がありますが、ご了承下さい
m(_ _)m
「じゃあ、依頼主のところに行こう!」
「わ、わかりました。でも、色々と聞かせて下さいね?」
「色々って?」
「旦那様の能力とか、何者なのかとかです」
ああ、そこら辺か。
「分かったよ。隠し事はあんまり良くないよな。でも、俺のことを話すのはミサが初めてだからな?俺がいいって言った奴以外絶対に言うなよ?」
「わかりました。……私が初めて……ふふ♪」
「じゃあ、飛んで行くか、ミサは食べるか?」
「えっと、わからないです。どうやるんですか?」
そうか、ミサは飛び方を知らないのか。
「教えるのはいいが、分からなくて文句言われても知らないからな?」
「はい!旦那様!」
と言うことで、ミサに飛ぶ際に必要な事を教えるために、人目の付かない場所に移動する。
「まず、ミサさん。翼は、翼そのものを使う訳ではありません。それはわかりますね?」
「はい」
「では、翼は、何に使うのかと言うと、飛行するための補助として翼に魔力を流し、浮力と推進力を得ます」
「すいしんりょく?とふりょく?ってなんですか?」
そこからか、まあ異世界だし、そんなもんか。
「推進力は、今回で言えば自身を進みたい方向へ進める力の事で、浮力とは、自身を浮かび上がらせる力の事です」
「へぇ〜、旦那様は物知りなのですね!」
「ありがとう。それで、翼に魔力を込めて下さい。そうすれば、翼を動かせば飛べるから」
早速ミサはやり始めたが、最初はフラフラしてて危なっかしかったが、段々コツを掴んできたようで、次第に安定していった。
俺は一発で出来たが、他の人はそうでもないのかもしれないな。
「よく出来たじゃないか、ミサ」
俺も飛び上がり、ミサの頭を撫でた。
「えへへ、旦那様のお陰です♪」
くっ、可愛い奴め。
「じゃあ、行くか。また案内任せるわ」
「はい、任されました」
ミサは俺より遅かったので、スピードを合わせたが、それでも100キロ程ある魔王領首都よりはかなり小さい町が10分程で見えてきた。
「ここか、一旦ギルドで何処か聞いて行くか。
そうしてギルドへと入って行きくと、視線がミサへ集まる。
見せもんじゃねぇよと威圧をホコリ程度で解放する。
すると、
「おい、ここは子供が来ていい場所じゃねぇんだ。登録なら帰れ」
イカツイおっさんが話しかけてきた。
「大丈夫だ、今日は登録しにきた訳じゃない」
「そうかよ」
それだけ言って戻って行った。
受付に着くと、依頼を見せる。
「この依頼を受けてきたんだが、依頼主は何処に住んでいる?」
すると、受付のエルフのお姉さんが、
「……ここは、あなたみたいな新人が来る場所じゃないの。この依頼もS級じゃない、幾らA級でもやめた方がいいわ。契約金は支払いなしにしておいてあげるから」
「おい、ふざけるなよ?俺はこれでもS級だ。ほら」
受付は、びっくりした顔でS級のカードを見ていた。
「え?嘘……この子がS級?何の冗談よ、くすねてきたか何かしたんでしょ?今ならまだ許せ……る……」
マジでイラついたので、俺の全力の状態がビッグバンならば、ゴム鉄砲程の威圧で解放する。
「おい、ここの冒険者ギルドは人の力量を見分けられない馬鹿ばっかりなのか?もういい、面倒くさいからこの街にはもう来ない」
そう言って出て行こうとすると、大体B級ぐらいの奴が出てきて、
「聞き捨てならねぇな、馬鹿だと?馬鹿はお前だッ!」
剣を抜いて飛びかかってきたので、武器防具を狙って粉砕した。
すると、男は白目を剥いて倒れた。
「行くか、ミサ」
「はい!」
「でも、どうするんですか?」
「忘れてたが、俺には探知というスキルがあってだな、それで探す」
「流石旦那様です!色々なスキルを持っているんですものね」
「こっちだな」
しばらく歩いて行くと、屋敷が見つかり、そこの門番に依頼書を渡して通してもらい、今は依頼主と話し合い中だ。
「君たちか、この依頼を受けてくれたのは」
「そうだ、で、フェンリルだっけ?を退治すればいいんだよな?」
「そうだが、追い払ってくれるだけでもいい」
「分かった、じゃあ言って来るわ」
「何?今から行くのか?」
「別にいいだろ、こっちの事情だ」
そうして俺はフェンリルが出て暴れているという森へやってきた。
「お、早速いたな。行くか」
全力で走らなくともほぼ一瞬で着く。
すると、フェンリルの全貌が見えた。
白く神々しい体毛は逆立ち、目は赫く染まり、獰猛な顔を浮かべた2メートル弱の獣が立っていた。
「お前か。悪いが、暴れるのはやめてくれないか……ん?」
フェンリルの前足には、禍々しい杭が打ち付けられていた。
「なんだあれ、いかにも怪しいもんだな、取ってみるか」
フェンリルに一瞬で近づき、杭を抜き、回復魔法を掛ける。
すると、さっきまで赫く狂気に燃えていた瞳が蒼くなり、重力に逆らい、立っていた体毛が重力に従った。
『あれ?僕は何を……』
「喋った?」
『あ、もしかして、貴方が僕を救ってくれたご主人様?ありがとう!何か変な人間がそれを刺してきてから、意識はあるんだけど、身体が言うことを聞かなくなっちゃって……』
「そうか、でもご主人様?」
『うん、だって、僕を倒さないで救ってくれたから、ついて行こうと思ったの』
「そうか。でも、ちゃんと世話してやれるかわからないぞ?」
『少しぐらいは自分で出来るから大丈夫だよ。
「分かったが、その身体だと街で目立っちまうからどうにかならないか?」
『うーんと、ちょっと待ってね、小さくなるから』
フェンリルがそう言うと、フェンリルの身体が柴犬程度まで減った。
「これなら大丈夫だな。ミサ、こいつを持ってやってくれ。それと名前もつけてやってくれないか?」
「はい、わかりました!じゃあ……ポチで!」
ぽ、ポチって……安直すぎない?ってかもっと何かこう……何かあるでしょ?ポチがいいならいいんだけどさ。
言っておくが、決して、決して!名付けが面倒だったからではない、ないんだからないんだ。
ポチには、ミサに抱かれているか、付いてくるかして貰おう。
屋敷にまたいれてもらい、依頼主にまた会う。
「どうしたんだ?随分と早いが、逃げ帰ってきたのか?」
「んな訳ないだろ、倒してきたんだよ。だから完了だ」
「幾ら何でも信じられん、30分も経っていないのだぞ?今兵士に確認を取らせる。それまで待っていてくれ」
うっわ、嫌だわー……暇だなー、ポチとじゃれ合っておくか。
1時間程して、再度依頼主が入ってきた時、依頼完了の印を貰い、アーグナーのギルドに戻ってきた。
「依頼完了したぞ、金をくれ」
「わかりました。では、報酬金の金貨200枚です」
「どーもー」
「さて、ミサさんよ、これで家が買えるぞ?何処か良いところに住みたいよな」
「そうですね、ちょっと見てみましょうか」
そうして俺たちは不動産屋に入った。
「すいませーん、家買いたいんですけど?」
「はい。どの様な物件をお望みで?」
答えたのは、おじさんだった。
「取り敢えず、デッカい屋敷で」
「失礼ですが、予算はいかほどで?」
「ああ、すまないな。うーん、金貨190枚程度で、なるべく安い屋敷で」
「ひっ、190枚!?……わかりました。では、全て出しますからご自分でお確かめ下さい」
そう言って出されたのは、五件だったが、
「これだけ妙に安いな」
それは、他が金貨160枚そこらだというのに、それだけ金貨25枚だった。
「ああ、それは呪いの館なのですよ、解呪出来たらタダで差し上げますよ。ただし、命の保証はしませんがね」
ふ〜ん、呪いの館ねぇ……行ってみるか。
「一旦行ってみるから、案内頼めるか?」
「……わかりました。少々お待ち下さいね……では行きましょうか」
おっさんについて行くと、魔力がダダ漏れの屋敷が見えてきた。
「ここです。言い忘れていましたが、呪いの館というよりも、魔力が放出されているせいで近づける者が少なく、入ったとしてもその魔力が屋敷の中で魔力災害となって襲いかかって来ますから、誰一人この屋敷に住もうとしないのですよ」
そういう事か、ならば、
「この屋敷買った」
「……はい?人の話聞いてましたか?」
「聞いてたぞ、その上で買ったと言っているんだ」
「……どうなっても責任は負いませんからね」
そう言っておっさんは契約書を出した。
「そっちこそ、これが凄い屋敷に変貌した後に金をもっと出せと言われても払わないからな」
俺は契約書にサインし、金貨25枚を払った。
「よし。ミサ、ここに住むぞ!」
「ま、待って下さいよ!こんな屋敷にどうやって住むんですか!?」
「まあ見てろって」
そうして俺は、初めて使う禁術を、付与魔法を使って屋敷全体にかける。
禁術と言っても、自分で作る事も出来るので、俺が認めた人しか入れない様になり、魔法などで跡形もなくなっても俺が生きている限り再生し続け、中にいるやつは、俺がもう一度登録すれば屋敷の魔力を使って屋敷の中の必要な物を取り寄せたり出来るトンデモ屋敷に変貌した。
「これでいいな。ミサ、もう魔力災害なんて起こらないから入っていいぞ」
「は……はい」
ミサは恐る恐ると言った感じで入って来た。
そして、魔力災害が起こらない事を確認すると安堵の表情でため息を吐いた。
「今日からここが我が家だ!」
俺は自分の家を手に入れたのだった。
勇者サイドも出そうと思いますが、いつやろうか……。