三話 辻帰宅戦
それは俺は白線を踏み続けながら帰宅しているときに起きた。
首筋にピリピリと感じる視線。
ストーカー?
否!!
辻帰宅戦を吹っかけてきたのだ。
満を辞して後ろを向くと。
「エクストラ…テレストリアル!?」
控えめにいって異形。宇宙人だった。
それも自転車に乗った。
普通逆だろうに。
「良いだろう。受けて立つよ、インベーダー」
意識を切り替える。
これは帰宅から競技帰宅だ。ならば。
「ヒキャク=サン=スタイル!!」
足の回転数を爆発的に上げる。
音を置き去りにして走れェェッ!!
チリンチリン。
チャリは付いてくるピタリと圧倒的な存在感。
もう振り返る事はない。何故なら俺は先にいるからだ。
態々後ろのものを見る余裕は無い。
先にいる故に後ろは後ろ足り得るのだ。
それにヒキャク=サン=スタイルは競技帰宅の中で最もポピュラーなスタイルで速度、安定感の優等生。奇抜さは無いが取り敢えず使いならこれ程有用なものは無い。
「ハァァァァッ!!!」
それに、ヒキャク=サン=スタイルは足の回転数が一定数を超えると。
足の残像で足は車輪のように見える。
それこそヒキャク=サン=スタイルの真骨頂。
「派生ー地獄車ァァァ!!!」
二つの車輪が地面を抉る。
白線をなぞりながら溝を刻み込む。
チリンチリン。
でも、エクストラテレストリアルは追随する。
その帰宅には覚えがあった。
今更思い至った。
フシンシャ=サン=スタイル。
辻帰宅でマイナーながらも結果を残す最低にして最悪のスタイルだ。
マナーも守らないのかこのE●!!




