二話 帰宅部は戦いをしたい
八月某日、御仏和尚が唐突に。
「他校と交流試合しようぜ!!」
とかほざき出した。
いや、異論は無い寧ろ推奨されるべきことではある…あるのだが。
帰宅は帰宅をするから帰宅なのであって正直、競技帰宅はあまり好きでは無い。
帰宅は競うべきでは無いのだよ。
「確かに、夏の大会が近いからな」
今日も眼鏡が輝くポリスメン。
どうしてもポリスメンというパワーワードに気を取られて先輩な感じがしない。
因みに夏の大会とは競技帰宅協会、通称KKKの公式の大会で、帰宅の速度、美しさ、奇抜さが問われる何とも珍妙な大会だ。生中継やハイライトとかもあったりする。
何だこれはと入部当初は頭を抱えた。
「…となると辻帰宅戦か」
「だよなぁ…」
辻帰宅戦、他校の帰宅部の帰宅中に乱入し相手の家の位置を想定しながら相手の家に上り込む戦いの事だ。
ウチはウチ他所は他所、だなんて知らない。
「俺は基本風に乗るスタイルだから予測を立てながらだと風の扱いが雑になるんだよな」
「俺は召喚だから座標が分からないとお話にならない」
「俺はチャリだからなぁ…」
「「いや、その理屈はおかしい!!」」
俺とポリスメンの声が重なる。
もしかしてポリスメンが運命の人…ッ。
なんてな。
だが、理屈がおかしいのは確かだ。
「フツウノ、チャリハ、ヘビニ、ナラナイヨ」
片言なポリスメン。
「秋瀬、思い込めば人間何にでもなれるよな?」
和尚さんは通常運転だ。
全く、安鎮なのか清姫なのか分からん。
思い込みで変身しながら帰宅する奇人なのだ。
とーポリスメンの表情が変わる。
成る程。
「「「帰宅の時間だァ」」」
珍しくポリスメンが持つのはドリル。
「いつから帰宅は玄関からでなければならないと錯覚していた?」
なん…だと?
稲妻が落ちた気がした。
まさか、まさか。
「リビングを、生徒指導室を…ブッパするとでも」
「言うさ、アデュー!!!」
「ポリスメンが消えた!」
「この人でなし!」
しまった。和尚は素でこういうことを言うからつい乗りたくなる。
「ん?」
コンコンと部室のドアを叩く音。
急いで開けるとー。
「げっ、女子帰宅部」
「夏の大会の男女混成部門の練習に付き合って」
クラスで七番目の美少女、猫乃のんたんはそうほざいた。
のんたん…。のんたん…。
「ププッ」
和尚が吹いた!!
「あなた…手荒い帰宅がお望みみたいね」
のんたん…手にエネルギーが集まっている。
「ちょ、不味いって。素人にも分かるレベルだから不味いって」
ちょ、ちょ、と語彙が大変な事になっている。
「の〜ん〜た〜ん〜波ァァァ!!!」
「アァァァァァァッ!!!」
和尚が錐揉みしながら壁をブチ抜き青空へ吸い込まれた。
いい飛びっぷりだ。
そして恐ろしい威力だのんたん波。
さて、些か不服ではあるがのんたんと帰宅するか。
のんたんの手を取りグルグル回転する。
のんたんはのんたん波の残滓を飛ばしながらどんどん加速させる。
部室が大変な事になってるが何のことやら。
まぁ、ポリスメンが床ブッパして和尚が壁をブチ抜いたからもとから酷い惨状だったし是非も無いよネ!
「飛べェェッ!!!」
「あ、やばい。のんたん波また出ちゃう」
は?
そのあと二人で天災になった。
帰宅部が集えば天災になれると知った今日この頃。




