第二話 クソ不味かった
デザートアントを倒したシン達は報酬を受け取り、二人で夕飯を食べていた。 出会った時はほとんど話さなかったが、 「何で、仲間がいなかったんだ?強力な魔法も使えるのに」 「やっぱり、同じモンスターじゃなきゃうまく話せないよ~シンもそうでしょ」 「お前といっしょにするな!俺は人間とも話せる」 そうシンが言うと、ミールはとても残念そうな顔をした。 「だからお前ぼっちだったのか。かわいそうに」 そう言うとミールはムカッっとして 「じゃ、じゃあ勝負しなさい。」 「へ?」 「明日どっちが優秀な人材を仲間にできるか。」 「いや、それは二人でやったほうが・・」 「へ~、逃げるんだ~」 そうミールが言うと、 「上等だコミュ障、俺のコミュ力なめんな」 「だ、誰がコミュ障ですか!」 ==================================== そんな感じで次の日になった。 ミールのコミュ力はすごかった。 「あ、ああ、あのの、その、パパパパーティーにsjkそ@・・」 「え?なんて?」 「ああ、いや、えっと・・」 「え?何?聞こえないんだけど」 「も、もも、申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ」 もはや人間の言葉を話しているかどうかも分からなかった。 それを見ていたシンは、 「プッ、何だあれププッ」 「わっ笑わないでよ~うぅ」 ミールは半泣きしながら言った。 「そ、それより、そっちは見つかったの?」 「ん?ああ見つかったよ。」 「ええ!?」 「紹介しよう彼の名前はヴァンだ。」 すると後ろから人が出てきて 「こんにちはお嬢さん。ヴァントルームです。ただの紳士です。」 (こんな紳士見たことないよ) ミールがそう思うのも無理はない 襟は立っているし、マントのようなものもしている。 「こいつはミールだ。コミュ障だから気を使ってくれ。」 「なるほど、障害者ですか。」 「違うわよ、慣れればちゃんと話せるよ」 「ミール、今日はヴァンがクエスト選ぶからな.」 「え!?今日は私が選ぶんじゃ・・」 「勝負に負けただろう」 「私は0ポイント、でもシンはマイナスポイント子も知れないでしょ」 そういうと、 「ほぅ、要するに私はお荷物ということでしょう」 「す、すみません・・」 周りの空気が重くなったところで、 「よし、今日はヴァンが選ぶということでいいか」 「・・はい」 そういうと三人はクエストボードに向かった。 「うーん、これなんかどうでしょう?」 ゴブリン50体の討伐だった。 それを見たシンとミールは、 「ご、50体・・」 「じょ、冗談じゃないわ野宿になるじゃん」 「お荷物にならない証明には丁度いいかと思いまして。」 その瞬間ミールは、 「いいわね~それ。野宿もいいかも~」 シンはミールをにらみつけた。 結局そのクエストになり、ミールのためにテントも買うことになった。 ===================================== 森までの道中で三人は話していた。 「なあ、ヴァンの職業ってなんなんだ?」 「シーフです。」 (紳士っぽくねぇ)そう二人は思った。 「それって盗賊じゃ・・」 「シーフです。」 (いや、同じだろ・・)二人はそう思った。 そんなことを話しているうちに三人は最初なゴブリンの群れに遭遇した。 さすがにゴブリン相手にヒールを使うことなかったが、 「シン、戦い方雑すぎ、ヴァンみたいに動いたら。」 「こっちの方が早いだろ」 するとヴァンは 「シーフにはシーフの、剣士には剣士の戦い方がありますよ」 と説得力ある説明をした。 「けど、シンが死んだら・・」 「ダジャレか?」 ミールはムカッとして、 「ほんと空気読めない、アホのシン」 「だ、誰がアホだ!!」 そんな子供みたいなやり取りをしていると 「面白い人たちだ」とヴァンが小さな声で言った。 夜になり、三人はテントをはり終わり、焚き木を取り囲み夕飯を食べていた。 「ヴァンの飯うまいな!」 「本当だ~」 「それはありがたい。」 そんなたわいもない話をしていると、 「ねぇこんな話知ってる?」 ミールがいきなり問いかけてきた。 「最近、変死体が多くみられているって。」 「変死体?」 「血がなっくなって干からびてるんだって。」 「変な話だな~」 そんな会話を二人でしていて、ヴァンは黙っていた。 そしてミールとシンが寝たとき、ヴァンが 「ブラッドドレイン」 そういうとヴァンはシンの肩にかみつき、血を吸おうとしたが、 「「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」」 叫んだのはシンではなく、ヴァンだった、 「な、なんだこれ、不味い、ゴキブリの体液のようだぁぁぁ」 それを聞き、ミールがかけつけ、 「ど、どうしたの・・・」 それは紳士もどきのヴァンが叫びながら転がっている変な状況だった。 ===================================== しばらくシンとヴァンがにらみ合い、ヴァンは木に縛られていた。 「なあシン」 「なんだ?」 「もう少しラフに話していいか?」 そういうと今までの丁寧な話し方ではなくなった。 「はぁ~だりぃ」 「縄を外してくれ。」 普通なら断る所だが、 「わかった、だが逃げたら殺すぞ」 「それはありがたい。」 「俺に何をした?」 「血を吸おうとした。だがクソ不味かった。」 「一言余計だ。」 そんな会話をしていた。 「今度は俺の番だ。お前人間じゃないだろ。」 「人間の血はもっとうまいか?」 「そうだなお前よりましだ。」 「話を戻すぞ、お前ゾンビだろ。」 シンとミールは少し驚いた。 「人間の血を吸ったことあるのか」 「最近の変死体やったの俺だ」 それを聞いて殺したくなったが、我慢した。 「なぜそんなことをする?」 そう聞くとシリアスな空気になった。 「もう察していると思うが、俺は吸血鬼だ。俺は人間の友人がいる。」 そういうと一枚の写真を出した。 「名前はリール、俺は彼女にあこがれていた。」 「だが俺の親父にそのことがばれた。」 「親父は人間嫌いだからリールを殺そうとした。」 「リールを助けてくれと言ったら、500人の人間の血を集めろと言われた。」 「だから今ここにいる」 シンとミールは黙って聞いていた。そして、 「お前を見逃すことはできない」 ヴァンも分かっていた自分が殺され・・ 「だが、お前を殺すこともできない。」 「だから、お前の親父をぶっ殺しに行く。」 シンがそういうと 「何でだよ・・」 「安心しろ俺たちがリールちゃんを助けるから。」 「何でそんなに優しんだよ。俺が役人にチクるかも・・」 「チクらねえよ。俺の仲間だろ。」 ヴァンは腑抜けた顔をしていた。 「それにリールちゃんかわいいから俺に惚れさせたいから」 「シンなんかがリールちゃんを落とせるわけないと思うけど」 「お、嫉妬かミール」 「常識的なことを言っただけよ。」 「な、なんだと!」 それを見たオールバックで赤い目をした吸血鬼は、 ===================================== 「だるいメンバーだけど、嫌いじゃない」 そんなことを言った。