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今日から学校と仕事、始まります。①莞

歩くも進むも難しい

作者: 孤独

人は成長するために歩く。


「むーっ……」


成長していくことは人が生きる目的の中で、必要とされる事項だと推測する。

変化を好むとはまた違う。少しずつ、ほんとに小さな足取りで、今できることをもっとできるようにするため。さしずめテストか。60点を取ったのなら、70点を目指そうとする小さな好奇心から始まるものか。



「上手くいかない」


沖ミムラは料理に挑戦中である。

家事関係はあんまり優れているわけではない。レシピ本を片手に、新たな道を切り開こうと様々な料理に挑戦中。買ってきた物は美味しいが、できれば手作りができるようになれば自分の幅が広がると、そんな小さな妄想がスタートだ。

そんなスタートからも躓いていく。



ジュウウウウウッ



「!あっ、焦がしちゃった!」


火加減に、包丁の扱いに、調味料の使い方なども、ミムラは多くを知らなすぎる。失敗する事を恐れちゃいないんだが、成功するにはどうすれば良いのか。答えが乗っているはずのレシピ本を片手に見ても、どうしても上手く行かない。

プロの感覚と、素人の感覚。(ミムラが下手な部類というのもあるが)

そのアジャストは大きく、中々の物ができない。


「失敗しちゃったなー。……なんの!もう一回!挑戦!……と、言いつつ、簡単そうなのは……」


悪い癖だが、侮って選ぼうとする奴は大抵上手く行かない。

それを知っておけと言いたいが、それを言い始めたらミムラは一切の料理を作る事はできないだろう。彼女はホントに料理を作るのはテキトーで、経験数が圧倒的に足りていない。物事に対して、軽すぎるのは彼女だけの話でもないはずだ。


「ふっくら仕上がる卵焼きかー」


指示された数量をアバウトに入れていく。

ミムラにとっての感覚であるが、”手段”を知りたいのであって、”作り方”を知るつもりがない。

卵を溶き卵に、熱したフライパンに油を注いで、卵を流し込んで、塩を振って、ハイ、完成と思っている。その途中にある大事な工程というのをよく見逃す。なんで見ないのかと言われたら、卵焼きを作りたいという気持ちが多い。

よーするに上手く作ろうより、手短に作ってしまおうという理念が、身体に染みついている。遺伝なのか、それだけ雑に生きていた影響なのか。



「はい!できたー!思ったよりふっくらできてないけど」


そりゃレシピ通りの作り方をかなり端折っているからだ。


「でも、塩加減が良いね!卵焼きはやっぱり塩だよ!」


とはいえ、美味しい仕上がればもう何でもいい。結果優先。なぜ、今のが上手くいったのかを考察する頭がない。そもそも回ったら、下手から脱却できるだろう。


「卵焼きができるなら、豚の角煮もやれるかな」


そして、その成功について深く考える事なく、自分には腕があると誤認というか、過信というか、自負というか、高慢というか、井の中の蛙というか。理解できずに成功できた事は、成功ではないのだ。失敗に理由があるように、成功にも理由がある。その中身を見返さない、注意点を読まないということではいつまでも成功にたどり着けない。

それでいいよ、結果を出せば。それを思えるミムラは一般の範囲か、あるいは最低限という範囲の事で良いんだろう。



グツグツグツ



「豚の角煮って凄く難しいんだね。豚肉だけ買ってきてもダメなんだー」


こいつ、大丈夫か?


レシピ本で材料を見てから買いに行くのではなく、材料を買ってきてからレシピ本を見ている。

想像のみでやれば上手くいったとしても、上手く行く理由に到達はできないだろう。ミムラの料理の進歩はここに気付かぬ限り、平行線。行ったり来たりの右往左往。


「じゃー、残りの材料を買ってこよう」


そうして、すでに豚肉を煮込んでいる鍋の火を切る。火の元はちゃんとしたのは良いが、料理中に買い出しに行って上手く行くとでも思っていたのか、このアホは……。


材料を買ってきて、再び料理を再開するも、結果は分かっての通り、悲惨な出来栄えであった。



◇      ◇


早朝。


「ほっ……ほっ……」


料理の修行に熱を入れると、身体の部分が気になる。

ちょっと出ちゃったお腹を凹ませるため、ランニングをしている。運動神経は良く、体力と気力も充実しているミムラは、家事を学ぶよりも真剣である。なにより、


「運動すれば体重減るしね」


まずやれば、結果が出るという事を知っているからだ。

ダイエットを太る度にやらず、毎日に必要な適度の運動は続けていることで、心身の健康を作り上げられる。料理が上達するよりも簡単だって、ミムラは思っている。

行動力がある奴はこーいうのに向いているんだよな。バカだから。


「美味しい料理が作れるよーに、運動は頑張るぞー!」


お腹を空かせて食べれば、美味しい事も知っている。

料理の腕を上げるよりも食べる人、食べさせたい人が丁度いい感じでお腹を空かせてくれたら、ミムラの料理は美味しいと思ってくれるだろう。


マズイ料理だけは出さない。そう決めて、日々、成功と失敗だけの料理修行をするミムラであった。



昔から絵の勉強をしていたのですが、中々上手く行かずで、続きもしません。

というか、今のミムラ状態でどうやって描けるのかすら分からず仕舞いです。


才能がないのは知っているんですが、おそらくそれ以前に自分は何事に対しても、極めて理解力や感性が乏しいとこの年になって自覚できました。


ミムラの料理の腕(主に見た目)が上手くなったという時、自分が満足に絵を描けているという事にしたいです。

とはいえ、ミムラは味付けだけは優秀とかいう設定を入れているから、自分はそれ以上の屑です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして とてもリズム良く楽しく拝読しました 上手く説明できないですが ミムラちゃんは ここはこうして・・・あーだこーだ・・・と 料理を手ほどきするよりも ただひたすら、ファイトー! 頑…
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