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神様相談室  作者: ぐちやんまん
1/1

一歩の勇気

誰かに悩みを聞いてもらうことは、けっして恥ずかしいことではない。


1,帰り道

ミーンミンミンミン…………………。

蝉の大合唱が街のあちらこちらで聞こえて、立ってるだけで汗をかく。そんな7月の、なんでもない、なんにもない、普通の日の中学校の帰り道………。

帰り道には山がある。頂上には神社があり、そこに行くまでには数えたくもないような段数の石段を登る必要がある。俺はある用事があって石段を登っていた。小3の頃からよくここに来ていたのでもう慣れた。いつも通り桜の木(もちろん今は葉しかないので緑)にはさまれた石段を一段飛ばしで登っていく……。

少し息がきれはじめるころ、頂上に着く。鳥居をくぐって本殿に近づく。

[謎]「遅〜い〜。階段で転んで泣いてたのかい?」

本殿の階段に能面をつけた男?女?が座っている。服装は浴衣のようなかんじかな。髪を後ろで縛っているが彼?彼女?いわく、人間だった頃は男も女も普通にこの髪型が流行りだったらしい。

何故男か女かわからないかというと声が……どちらとも言えない中間。顔は能面。

[謎]「どした?突っ立てないでこっち来いよ。」

彼?彼女?と呼ぶのはめんどくさいので本人同意の呼び名で呼ばせてもらおう。

[俺]「ああ。すまん。ボーッとしてた。ちゃんと、お供え物持ってきたからよ。みたらし様。」

能面の裏で嬉しそうに笑う顔が見えた気がした。


2,みたらし様

バックに手をいれお供え物を取り出し、手渡す。そろそろお察しだと思うが供え物とはみたらし団子だ。

[み]「よっ。待ってました!」

喜んでいる。能面で隠れててもわかることはわかる。小3のあの夏からの付き合いだし………。

[み]「ほいっ。」

団子を1本手渡される俺。

[木]「あんがと。」

〜 神様の相談室は団子を食べることから始まる〜

[み]「キーバー、今日はどした?」

そういや、自己紹介してなかったな。俺の名前は [木馬(きば) 快斗](かいと)縁中学の3年で部活は無所属。ちょいと昔にいろいろあって今は入ってない。

[木]「たいしたことではないがね。」

[み]「なんだい?帰宅部へのまわりか

らの目が痛いのかい?」

[木]「そんなんじゃねぇさ。なんか、クラスメイトから恐がられてるっぽくてさ…。」

[み]「ほうほう。」

[木]「ちょっと聞きたいことがあったから聞こうとしたらよ、かなりビビられてさ。ちょっと傷ついたね。」

[み]「仕方ないっしょ。お前、目つき怖いし背高いし。まぁ、でも1年間一緒だったのに辛いもんもあるよな。」

〜団子を一口〜

みたらしの甘い味が口に広がる。

[み]「怖がられることは仕方ないと思う。キーバーってあんまし話すタイプじゃないっしょ?」

[木]「まぁ。」

[み]「もっと積極的にならんとさ、自分をさらけ出さんとな。てか、こんな話じゃないだろうキーバーがしたい話は。」

… やっぱ隠し事はできないな。

[木]「…学校でさ、いろいろあってさ……」


3,本題

今日の昼休みのこと。俺の、数少ない親友と呼べる [中村(なかむら) 練](れん)と教室に戻る途中の廊下で………

[中]「キーバーは、進路とか考えてる?」

[木]「いや、まったく。お前は?」

[中]「俺もさ。なんかさ、今は先のことを考えて行動しなさいとか言われてもねぇ。」

階段を登ってる途中だった。おどりばに足をかけてすぐ…………

[女子A]「あんたさ、最近調子のってんじゃないの!」

[女子B]「いい子ぶってんじゃねぇよ!」

[女子C]「そんな……私……」

集中砲火を受けていた子は俺と同じクラスの[高木 すみれ](たかぎ すみれ)だった。

[女子A]「ほらまた、すぐ泣いて!うざったいよ。あんた!」

ジリジリと距離をつめる女子AとB……

ガクンッ……。

[女子A、B]「あっ」

[中]「ヤベッ」

………ドサッ……………ゴッ………

[木]「あ〜。クラクラする……。大丈夫かい?」

ギリギリ間に合った。すみれは無事だった。俺は頭を強打したが……。

なんだなんだ!どしたどした!

ヤジウマがハイエナのように集まる。

[高]「ぅう…。……!すっ!すいません!大丈夫ですか!?」

[木]「大丈夫。それより、とっととここ離れよう。色々とマズイから。」

そう言って立ち上がりヤジウマのむれを突っ切って教室にもどる。

放課後、教室で練と残っていた。

[中]「いやぁ、焦ったね…あん時は。

[木]「………」

[中]「にしてもよ。まさかあそこまでなってたとはな……。」

[木]「………あぁ。」

[中]「今日はたまたまなんとかなったけど、次もこうなってくると…」

[木]「………」

もともと、気弱なすみれは、言い返すことが苦手で、なんでも自分のせいにしてしまう。そういう性格につけこんで、日頃のストレスやらなんやらをぶつける奴らもいる。

[中]「先生だってわかってんだろーにさ。」

[木]「………大丈夫かな…」

[中]「は?何が?」

[木]「今日のことで、またなんか言われたりしないかなと思って…。」

[中]「さあな………。」

キーンコーンカーンコーン

静かになった教室に、チャイムが鳴り響く。


4,知らないさ

[み]「………もぐもぐ」

[木]「………」

[み]「難しい話だねぇ。自分のせいでもっといじめられっかもしんないと。」

〜団子二口目〜

[み]「けどよ、お前さんが今日したことはなんも間違ってない。そうだろう?」

[木]「…そう……信じたいね…。」

[み]「明日、明後日がどうなるかなんてあっしにもわからんよ。もし、今日みたいなことになったら、また助けてやんなよ。そんなに気にするくらいなら。」

[木]「それができれば苦労ないさ。」

[み]「にしてもよ。随分とそのすみれって娘のこと気になってるみたいだけど、もしかして………。」

[木]「そんなんじゃないさ。ただ、いじめられてる原因に俺も関係してるからさ。」

[み]「ふーん。」

〜最後の団子を頬張る〜

[木]「聞いてくれてあんがとな。」

[み]「おう。なんかあったらまた来なよ。寂しいと消えちゃうからよ。」

[木]「兎かよ。まぁ、頑張ってみるよ。」

そういって、鳥居に向かって歩き出す。気付けば、みたらし様の姿はなかった……。


5,次の日

[中]「うぃっす。」

[木]「うっす。」

朝の教室の空気はいつもと違い、唯一、一緒なのはこの何気ないやりとり。今日も全員出席。すみれもいた。

1時間目は数学、何してるかわからん。2時間目は国語、となりの練が気持ちよさそうに寝ていた。3時間目は………………………。

4時間目が終わり、昼休みに。飯を食ってから、いつも通り、練とプラプラしていた。

[木]「お前、国語の時間、寝言言ってたぞ。」

[中]「えっ!まじで?」

[木]「謎の言葉を発してた。」

[中]「うわぁあ。めっさはずいじゃん。」

そう言って廊下の、角を曲がる。

[女子A]「あんたさぁ、マジでなんなの。」

あぁ、またか。昨日と同じ光景。今日は廊下だから、転倒はしなさそうだな。

[高]「……。」

今にも泣きそうな顔で……。

[女子B]「あ、また泣くの?ほんと泣き虫だな。」

周りの奴らは見て見ぬふり。これもいつも通りか……。

[女子A]「なんか言ったらどうなんだ?」

[高]「……やめてよ。もう、こんなこと。」

[女子A]「はあ?何?あたしたちがいじめてるみたいじゃないの。その言い方。」

[女子B]「まじ、きもい。自分は被害者ですってか?」

[女子A]「こういう子に教育が必要だね〜。」

そう言って振り被る女子A。すみれは目をギュッと閉じた。

…ガッ…

[謎]「痛っ。」

女子Aは振り返った。

[女子A]「じゃますんじゃな…!」

俺は目つきが悪いらしい……。

[木]「悪いな。ちゃんと見てなかったよ。そういえば、高木さんに用事があるんだけど借りてもいいかな?」

まわりはみんなキョトンとしている。あの練でさえ……。

「女子A]「ちっ。あーぁなんか萎えた。今日はこんくらいで、勘弁してやるわ。」

そう言うと早足で歩いて行った。

[高]「あの….ありがとう…ございます。」

[木]「気にしなさんな。……そういえば、昨日のことだけど、大丈夫だった?ケガとかしてない?」

[高]「は…はい。大丈夫です。」

[木]「良かった。あ、あとそんなに縮こまらなくていいよ。同じクラスメートなんだし。」

[中]「いや、無理っしょ。お前の目つき恐いもん。」

[木]「グサリと刺さる言葉……。」

[高]「あの、昨日も助けていただいてなんとお礼をしたらよいか……」

[木]「気にせんで気にせんで。それに、謝らないといけないのはこっちだし。」

[高]「?」

[木]「今日は、部活休み?」

[高]「はい。そうですけど…」

[木]「今日、一緒に帰らない?」

[高]「ごめんなさい。今日は用事があって…」

[木]「そうか。なら仕方ないな。じゃ、また今度一緒に帰ろ。」

[高]「はい。」

〜キーンコーンカーンコーン〜

昼休みが終わった。その後は、普通に授業を受けて帰った、今日は少し早めに。いつまでもいると練に質問ぜめされそうだったから……。









初めて小説を書いてみました。話がわかりずらかったりしたらすいません。連載物なので、定期的に更新する予定です。

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