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キラキラ星変奏曲

作者: 安岡 憙弘

キラキラ星変奏曲

チャ チャ チャン  チャ チャ チャン

チャ チャ チャン  チャ チャ チャン

チャ チャ チャン  チャ チャ チャン

私はこの文章を書いていてあることに気が付いた。

メロディーがちがうのに、テンポが皆全く変わらないということだ。

私は不思議に思ってモーツァルトのナンネル帳を開いてみることにした。モーツァルト幼少の頃の作品集だ。するとそこには幼年のモーツァルト自身の曲が並んでいたが私が気になったのは譜面ふめんの中身よりもむしろ曲のテンポであった。

 私は1,2,3と心の中で数えてみると、なんと全ての曲がキラキラ星変奏曲のリズムになっているではないか。私は音楽のことには詳しくないのでここでは私の感じたことのみ書いてみようと思ったのだ。私は『アマデウス』という映画を思い出していた。あの映画の中でサリエリという宮廷作曲家がいてモーツァルトを暗殺したかなにかという結末であったと思った。私はモーツァルトの財布を大事にしていた。モーツァルトの肖像画が表に書かれている牛皮の財布だった。私はモーツァルトのことをさらに知るためにグールドのピアノソナタK331と332を聞いてみるとグールドの歌声に混じってきこえてくるモーツァルト自身の曲の中にはやはりあの、チャチャンが聞こえてくるのを感じた。私は確信を深めてモーツァルトについて応接室のソファーに深く身を沈めて考えてみることにした。私の考察ではモーツァルトは気が少し狂っていたとしか思えない。それを裏付けるのがあの123のリズムである.あのリズムにはモーツァルトだけしか知ることのできないある秘密が隠されているような気がするのだった。私はモーツァルトの作品は全く評価していないので少しこのようなことを言うのは気がとがめるけれども私のカンではモーツァルトは曲とは裏腹に全くの不幸だったと思えてならない。モーツァルトはたしかに神童であったが私にはモーツァルトは今までで一番不幸な作曲家だとしか考えられなかった。音符遊びに長けていたモーツァルトはその音符で例のチャチャチャンの狂人的リズムを表現し始めたのだ。もっともそのリズムこそは万人を楽しませる秘密のリズムであったので全世界で有名になったのだと私は思ったがモーツァルトのチャチャチャンのリズムはは私には音楽を軽く見ているような感じがして好きになれなかった。私はいつでもモーツァルトよりはバッハやベートーヴェンの方が好きであった。ベートーヴェンはしかし月光のソナタのある部分以外はあまり好きではない。私は軽いものがどうやら好きではないらしい。私は今までで一番嫌いな作曲家はドビュッシーとサティである。サティの知ってるのは胃腸薬か何かのCMの曲だけである。私はあの曲を聴くといつだってなにか神聖なものが破壊されていくような気がして腹が立ってならない。CMとのバランスもよくないとおもえるのだった。

 私はドビュッシーは人気があるので批判するのは正直恐ろしいと思うがえて言うならドビュッシーの曲は繊細過ぎてきいていると不安定感が否めないからだった。私は安定志向も持っているから。私は前からドビュッシとーサティはお洒落しゃれな感じはするけれど音楽としてはあまりうれしくないとしか思えず周りの風潮とちがうことにいつも少し寂しいおもいをしていた。私は誰かわかってくれる友達が欲しいといつも思っていたが私の思っているような重くて安定感があってかつ神聖な感じのする音楽は今は流行してはいないし何よりモーツァルトの曲の方がずっと人気があるので私は今ではもう半分あきらめかけている。私は今でも、モーツァルトの曲はあまり好きではなかったが私はモーツァルトのチャチャチャンにある美しいものを感じていたのもまた事実であった。それは天才の閃きとでもいうものであろうか。私はそれを分析しようとあることを考えた。例えばモーツァルトの曲をある作曲家に演奏してくれるように依頼したとする。するとその作曲家は恐らく普通の古典派風に演奏すると思うが例えばそれを少しだけテンポを早めてくれるようにお願いしてみる。それから神聖さつまり華やかさをもっとも際立たせるために一定の速度を保ちかつ音符を一音一音はっきりと演奏してもらう。つまりあまりスラーを多用しないようにして頂いた後ある面白いことをしてもらう。その面白いこととはつまり立って演奏してもらうのだ。立って演奏した方が鍵盤に重力が働いて技術的ではないけれども何か力強い演奏が完成する。

 私はピアノはドレミもろくによめないのでよくはわからないが私のカンが正しければおそらくこれでチャ チャ チャンがもっとも美しく完成するはずであった。

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