2/8
アラスゼン 黒水晶
本編スタートです。
深く、虚無のごとく深い闇だけの空間。
中央には、黒銀の輝きを秘めた巨大な黒水晶があった。
黒水晶の中には、容量限界までの大きさの持った生物――魔王アラスゼン――が眠るように入っていた。
それは、生まれる前の子供のように。
または、死んだような安らかさで。
魔王アラスゼンは眠っている。
早く生まれ過ぎたために起きた罪のゆえに。
創造者である想造主を、己の本質にも等しい狂気で蝕み続けたゆえに。
己の本来の役割が与えられる時まで。
魔王アラスゼンは仮死と同様の状態で、封印されたように眠っている。
己の本来の役割が来るその時まで――。