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アラスゼン 黒水晶

本編スタートです。

 深く、虚無のごとく深い闇だけの空間。

 中央には、黒銀の輝きを秘めた巨大な黒水晶があった。

 黒水晶の中には、容量限界までの大きさの持った生物――魔王アラスゼン――が眠るように入っていた。

 それは、生まれる前の子供のように。

 または、死んだような安らかさで。

 魔王アラスゼンは眠っている。


 早く生まれ過ぎたために起きた罪のゆえに。

 創造者である想造主を、己の本質にも等しい狂気で蝕み続けたゆえに。

己の本来の役割が与えられる時まで。

魔王アラスゼンは仮死と同様の状態で、封印されたように眠っている。

 己の本来の役割が来るその時まで――。

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