異世界へようこそ(2)
————現れたのは鎧を纏った三人だった。
「「「 ?! 」」」
匠、涼、徹は呆気に取られたのか、突如現れた三人にただ呆然と立ち尽くしていた。そんな彼等に気がついたらしい鎧の三人組は、彼等に向かって口を開いた。
「あなた方は異世界から来た方々でしょうか?」
その言葉を聞いた時に、匠が感じた違和感の謎が解けた。
あの事故の瞬間、どういう訳か僕達は異世界に飛ばされてしまった————と。それならば全ての説明が行く。
「……確かに僕等はあなた達の言う異世界から来たのかもしれません」
匠の一言に涼、徹が驚き、匠に顔を向けた。そこで匠がまた一言。
「ただ、僕等にとってもこちらは異世界と言う事になります。こちらはまだ状況があまり把握出来ていません。失礼ですが、僕等に『ここは異世界だ』という証拠を見せていただければありがたいのですが」
鎧の三人組は少し考え、質問してきた。
「あなた方の世界に『魔法』は存在しますか?」
「いえ、マンガやテレビ……いや、童話や紙芝居など、架空の物語の産物だとなっています。勿論、実際に使える人は存在しません」
「じゃあご覧に差し上げましょう」
鎧の一人が一歩踏み出し、手を差し出した。
するとそこから手のひらから溢れ出さんばかりの炎が瞬時に立ち上がった。
「これが魔法です。ちなみに、この魔法は『フレイム』と呼ばれています」
魔法を生まれて初めてみた三人には衝撃だった。それもそのはず、ゲームなどでしか見たことないのだ。驚かない方がおかしい。しかしこれで、ここが異世界なのだと三人は確信した。
「……ありがとうございます。今のでここが異世界だと判りました。ではこちら側も証拠を見せたいのですが、残念ながらお見せ出来る物がないのですが……」
「いえ、心配には及びません。私達は今ので判断出来ましたので」
匠の言葉を鎧の一人が遮った。
「何でそれだけで判るんだよ?」
匠も同じ様な質問をしたかったが、涼に先を越された。
「この魔法は幼い子供でも使える初歩的なものです。ですので、この世界で驚く人はまずいませんから」
そう、鎧の一人が答えた。
「へぇ〜、スゲー!?」
「あんたすげーな!!」
徹と涼がえらく感心し始めた。
「私達共も納得していただいて大変ありがたいです」
三人共々、少し笑みを浮かべながら返した。
「そういえば、よく僕等の場所が分かりましたね?」
「えぇ、私達の国『アーリア国』には占星術士がおりまして、その御方が預言してくれた内容によると、この場所『天藍の丘』に三人で現れると申されましたので、アーリア王の命によりお迎えに上がりました」
———魔法やら、占星術士やらと、ファンタジーチックな異世界にきてしまったものだ、と匠は思いふけってしまた。
「———それでは、今から王城に向かいますがよろしいですか?」
「俺は別にいいぜ」
「こっちも大丈夫だぜ」
「僕も特に問題はありません」
涼、徹、匠の順に言葉を返す。
「では参りましょうか」
鎧の三人が手を取り合う。
「あなた方も私達の手を繋いで下さい」
「「「 ? 」」」
匠達三人とも意味が解らないまま、鎧の三人の手を掴んだ。
「しっかり掴まっていて下さい」
その言葉が終わるや否や、瞬時に六人はその場から姿を消した————
今回は短めになってしまいましたf^_^;)