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第9話 現れた最悪の敵

「やっぱり勝てない」


いつも黒刃先生に訓練してるけど、一度も勝ったことがなかった。それに4人相手でもかすりもしなかった。


「お前らこれで終わりか?」


「くそっ」


「まだ、諦めちゃダメだよ」


初めて雪乃が大きな声を出した。いつもは恥ずかしがり屋でそんなに声を出さないのに。

雪乃の一声で、みんなは諦めかけていたが、その一声で我に返った。


「そうだよな。これで諦めてたら終わりだよな、朔」


「うん。まだいける。小夜と雪乃はまだいける?」


「いける」


「うん」


「ほぉー。お前ら手加減はしないぞ」


久遠達は構えた。だけど、黒刃先生には勝てなかった。


「そこまで、なかなかいい動きはしてた。もっと訓練をすればお前らも強くなるだろ」


4人は疲れ果てていた。芝生で横になっていた。


「黒刃先生強いね」


「うん。どんな攻撃しても 歯が立たなかった」


「うん。もっと強くなりたいって思った」


「そうよね」


4人はショックを受けていた。


「だけど、朔は黒刃先生の訓練してるよな」


「うん。今日みたいに容赦ないけど」


「でも何であんなに強いのかな?」


「わからない」


もうあたりはすっかり暗くなってきていた。4人は急いで合宿に戻った。


「急がないと夜ご飯なくなる」


綾人は先に走った。後から3人はあとをおった。


「──久遠朔。楽しい時間はここまでだ」


学生のみんなはもう食堂にいた。


「しっかり食べるんだよ」


食堂のおばちゃん達が優しく声をかけた。

みんなは美味しそうに食べていた。おかわりしてる子もいた。

久遠達もご飯を食べた。


「人が作ってくれるご飯は特に美味しい」


お腹いっぱいに食べた4人だった。

久遠と綾人は自分の部屋に戻った。


「綾人。俺、夜風にあたってくる」


「気をつけろよ」


「うん」


久遠は夜風にあたった。山奥の合宿は少し肌寒かった。


「さぶ。だけど、俺はコイツを使いこなせるのか……!」


久遠は、弱音を漏らした。これが使いこなせなかったら、自分がラストメモリアに喰われるんじゃないかと思ってしまう恐れがあった。


「見つけた」


「誰だ?」


ザッ……ザッ……


森の奥から人影が現れた。

それは、オーナーだった。


「オーナーさんか」


「ここで何してる?」


「夜風にあたっています」


「そうか、気をつけろよ。この崖から落ちたら命は助からんぞ」


「はい。ありがとうございます」


「オーナーさんは何でこんな所にいるんですか?」


「お前のラストメモリアを奪いにきたんだ」


「えっ?!」


久遠は後ろに下がって距離をとった。


「ラストメモリアを渡してくれないか?」


「オーナーさん、なに言ってるんですか?」


「聞こえなかったか?」


「これは渡せません」


「それなら仕方ない。殺してでも奪うしかないか」


「お前はオーナーさんではないな。正体をあらわせ」


「フハハハハ」


「なに笑っている」


「俺はオーナーでもない」


そいつはオーナーの仮面をはいだ。


「ベリリリリ」


オーナーの仮面をはいだ。そこには知らない顔の男だった。


「おい。本物のオーナーはどこにいる?」


「俺が殺したよ。ここにいる従業員もな」


「お前1人でか?」


「いいや。俺の部下にもやってもらった。ここにいる従業員は俺の部下が変装していて。多分、今は俺の手下がお前の仲間を殺してるはずだ」


「何だと」


一方、合宿の方では。男の手下がみんなを襲っていた。

各クラスの先生達が生徒の安全を確保しながら男の手下と戦っていた。


「これじゃ、キリがない」


「黒刃先生。全員安全な場所に連れていきました」


「そうか。これで、大丈夫か」


「黒刃先生」


「お前ら、避難したんじゃないのか?」


「久遠がまだ戻ってきてないです」


「何だと。アイツはどこにいる?」


「外に行くって言ってました」


(もしかしたら)


「お前らは避難してろ。私が久遠を探す」


「俺らが探します」


「馬鹿やめろ。今は訓練じゃない。本当の殺し合いだ」


綾人、小夜、雪乃は久遠を探した。


「アイツら勝手なことしやがって」


久遠は男にラストメモリアを渡すよう言われた。


「渡してくれれば俺はそれでいい。さぁ、どうする」


(──ラストメモリアを渡せば終わる。だけど、渡したら終わりだ)



「このままじゃお前の仲間達が危なくなるぞ」


「一つ聞きたい。お前の名前は?」


「俺の名前聞いてどうする。お前はここで死ぬんだからな」


男は久遠に斬りかかった。

久遠は剣を出して男の剣を受け止めた。


「キィン!」


「なかなかやるな」


久遠は受け止めるだけで精一杯だった。


「くそ。このままじゃ、やられる」


「これで終わりだ」


久遠がやられそうになった瞬間、桜の花びらが男に向かって斬りつけた。

男はその攻撃を避けた。


「クソ!いい所だったのに、誰だ?」


(この時期に桜……?ありえない)


「何が起こったんだ……!?」


「久遠〜大丈夫か?」


「綾人、小夜、雪乃。今のは誰?」


「私だよ。私の能力は桜が出て相手に向けて飛んで斬るんだ」


「そうなんだ。……って、何で来てんだよ!」


「大丈夫よ。みんなでコイツを倒したらいいんだでしょ?」


「雪乃!」


「みんなで一気に倒そうぜ」


「綾人!」


「みんなで戦うよ」


「小夜!みんなありがとう」


「どうやって来た?合宿には俺の手下がいるはず」


「倒してきた」


「なに?」


「3人なら余裕だったよ」


「そうかよ。今から4人まとめて殺してやるから。一気に殺したら楽しくないから。ジワジワ殺してやる」


「そうはさせない。俺の友達を傷つけるやつは許さない。みんな行くぞ」


4人は武器を構えた。そして男に斬りかかる。


「カーン」


「朔、右から来るぞ」


「わかった」


「キィィン」


「夜桜・散華(よざくら・ざんげ)」


桜の花びらが舞い、相手の視界と思考をかき乱した。


「くそっ。視界が見えねー」


「これで終わりだ」


綾人、朔、雪乃の3人が男に斬りかかる。

しかし、綾人は蹴られ、雪乃の攻撃は避けられ、久遠の剣を受け流した。


男は久遠に向けて、また斬りかかった。久遠は剣で受け止めたが剣が真っ二つ折れた。

久遠にトドメを刺しにいった。


「これで終わりだ」


「カーン」


久遠は咄嗟にラストメモリアを抜いた。


「これ以上やめろ」


「やっとラストメモリアを出したな。ここからは俺も本気でやらせてもらう」


(なに……今までのは本気じゃなかったのか……!)


男は斬りかかる。


「暗黒月牙。(あんこくげつが)」


黒い斬撃が空間を裂いた。


久遠はそれを受け止めた――が、その衝撃に歯を食いしばった。


「なかなかやるな。これがラストメモリアの力か……だが、まだ足りない」


「よそ見されては困るよ」


「そうだ。まだ、俺達もいる」


「うん」


3人一斉に男に斬りかかった。


男は小さく呟いた。


「これを使うことになるとは」


突然、体が動かなくなった。



「なんだ」


「なんなの」


「なにこれ」


「これは俺の技だ。逃げはない──黒宮流・影縫(くろみやりゅう・かげぬい)」


足元の影が、まるで生き物のように絡みつき、身体を縫い止めていた。


「俺の名前も教えておくとするか。俺の名前は黒宮冥人だ。(こくみやめいと)」

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