01 大嫌いなリンナとの出会い
クルミは目の前のこいつが大嫌いなの!
防具をつけていると男か女かもわからない長身。いまだってコートの向かいで、クルミを見下ろすようにしている女。
松笛、リンナ。
こいつと初めて出会ったのは忘れもしないママに連れていかれた公園。
公園は嫌い。
まず汚れちゃうもん。
お家でパパが買ってくれたピアノのおもちゃで遊ぶ方が楽しかったの。
それに男の子が砂を投げつけてきたりするの! 大っ嫌い!
だけど、ママは度々公園にクルミを連れ出すの。
3歳のクルミは今と何も変らない完璧でキュートな女の子。
あいつは1人でボール遊びをしていた。
今と変わらず無駄にでかいし不愛想だし。クルミは優しいから一緒に遊んであげようと歩み寄ってあげたの。
ピンクのゴムボールがぽいんぽいんと跳ねるのを見て、クルミもボールをぽいんぽいんしたかった。
「クルミもボールあそびしたい」
愛らしいクルミのお願い。パパ、ママ、お兄ちゃんたちもクルミのお願いを断るなんてしないもん。
だというのに不愛想女のリンナは小さいころも変わらず、クルミのお願いに嫌そうに眉をしかめたの。だけどきっとクルミの可愛さに負けたのね、ボールを貸してくれたのよ。
「しつこいな、おまえ。かしてやるからたたくな」
余計なことを言ったような覚えがあるけれど、きっと記憶違い。
クルミは貸してもらったピンクのボールを、何度か跳ねさせてぽいんぽいんさせて遊んでいたの。
「わたしはもっとたかくはねさせられる」
得意げにリンナは言うと、クルミの手からボールを奪い取って力強く地面に打ち付けてとても高いところまで跳ねさせたの。
「クルミもそれやる!」
「おまえにはむりだよ。わたしよりもちっさいし」
「ちっさくないもん」
余計なことを言うリンナから再びボールを受け取って、クルミは両手でゴムボールをもって思いっきり振りかぶったの。
負けまいと思いっきり振りかぶったのがいけなかったの。
ぐるん。
目の前のリンナが青空に変わって、次いで緑色の芝生が目の前に迫って。
「うわーーーーん」
1回転して顔を地面に強打してしまったの。
とても痛くて痛くて、大泣きしてしまった。
ママも、リンナの小母様も心配して駆け寄ってきたのよ。
それはそうよ。
愛らしい天使のようなクルミが痛い思いをして泣いているのよ。心配しない方がおかしいのよ。
そうでしょう?
だから今でも忘れない。
「あはははははははっ。いっかいてんした!」
馬鹿リンナは大笑いしたの。
こいつはおかしいの。
それから手を差し出してきた。
「おまえ、おもしろいね。まつぶえリンナだよ。ともだちになろう」
クルミはクルミのことを心配もせずに大笑いするこの馬鹿は嫌いだけれど、1人でボール遊びしているのは可哀そうって思ったの。クルミはとてもとても優しいから友達になってあげることにしたのよ。
しかたなくだもん。
しかたなく、このデカ女が可哀そうだから友達になってあげることにしたんだもん。
「クルミよ。とがわクルミ。しょうがないからともだちになってあげる」
差し出された手を握ると、リンナに引き上げられた。
「クルミちゃん、よかったね。はじめてのお友達ね」
ママが嬉しそうによくわからないことを言っていたけど、クルミは別に友達がいないわけじゃなくてひとりで遊ぶのが好きなだけなの。
リンナが哀れで、可哀そうで情けないから仕方なく友達になってあげただけなんだから。
それが可愛いクルミと、アホで間抜けで大馬鹿なリンナとの出会いってわけ。
読んでいただきありがとうございます。
引き続きがんばります!
どうにも書くモチベーション高い時に限って仕事が忙しくなって、なかなか時間が確保できません。不定的ですが更新はしていきますので、どうぞまた次話も読んでいただけると嬉しいです!




