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令和2年全国高校総体剣道女子団体決勝戦  作者: 目黒市
次鋒編

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15  元悪逆令嬢は日々の稽古で汗を流す

「ほらぁ、秋山顎上がってるよ」

「ひゅ、……はぃ」


 防具をつけての稽古を開始して一週間。

 私は転生してからの十三年間を後悔していた。

 本当に体力がない。


「リリちゃんって構えは様になっているのにね」

「本当、構えている感じはもうベテランなのに」

「やっぱり可愛い子は正義なのよ」

「ほらっ、お前らもサボってないで打ち込み続けなさいっ!」


 体力ばかりは一朝一夕でどうにかなるものではない。

 

「ほらほら、秋山腕が下がってる!」

「リリちゃんファイト」

「ぷるぷるして可愛い」

「可愛いは正義だわ」

「お前らはいい加減練習に戻れっ!」


 ひたすら練習して体力と筋力を上げることが何よりも大事。

 

 振りかぶって面を打ち込む。それをひたすら繰り返す。

 振りかぶる。

 踏み込む。

 振り下ろす。

 体当たり。

 単純な繰り返し。

 それを身体に覚えさせる。

 この作業が私は昔から大好きだった。

 前世でも練習相手はいなかったので庭園の木を相手に打ち込みを繰り返していた。

 最初はどうしても剣の重さに身体が振り回されてしまう。

 剣の重さに慣れてくると今度は腕や足の筋肉が悲鳴を上げ始める。

 どこに力を入れて、どこで力を抜くのか。それを覚えていくと今度は手や足の皮が剥け始める。


 ふふっ。


 私のずる剥けになった手のひらを見てお母様は卒倒したことがあった。それ以来、メイドたちに毎朝、毎夕クリームを塗られていたものね。


 そうしていつの間にか皮もむけなくなる。


 日々、その繰り返しにより自分の身体がつくりかえられていく。

 剣を振ることに特化していくのを感じていく。

 はじめは考え、意識していた動作が反射的に行えるようになる。


 それに喜びを感じていた。


 だから再びその喜びを味わえる。


「秋山、休むなっ!」

「……」


 ……頑張ろう。


 そんなこんなで今日の練習も終盤。


「そしたら地稽古始めるよっ! 三分交代、余った人は打ち込み人形相手に基本打ち練習」


 私の一番好きな練習が始まった。

 模擬試合形式の練習。勝敗はつけず、ひたすら時間まで打ち合いを行う。

 基礎練習の反復も好きだけれどやっぱり一番はこうやって戦うのが一番よ。


「秋山このまま私と地稽古はじめるよ」

「……はい」


 吉川部長が竹刀を構える。


「えー部長ばっかりリリちゃん独り占めずるーい」

「そうだそうだ」

「あんたたちは指導と称してすぐにサボるでしょっ! 大会も近いんだから少しは真面目に練習しろ」

「うぅ、次は私たちとやろうねリリちゃん。しょうがないからユナでいいや」

「あたしもしょうがないからコシちゃん先輩でいいですよ」


 竹刀を正眼に構え合う。

 剣道では竹刀の長さがルールで決まっているから刀身を隠したりする意味もないのよね。そして斬る、という攻撃に特化した剣技を元にしているから前世のように叩きつける、薙ぎ払う、という動作への移行を気にする必要もない。

 だから正眼に構え合うのが理にかなっているというわけ。

 剣先が触れ合う。

 先輩たち全員とこの試合形式の練習をしたけれど、吉川部長が一番構えが綺麗ね。


「いやぁあっ!」


 吉川部長がひとつ気魄を出す。

 さぁ、今日はどんな技がみれるのかしら。



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