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令和2年全国高校総体剣道女子団体決勝戦【転生悪逆令嬢VS侍少女編を連載中】  作者: 目黒市
先鋒編

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18 春風ヨウコについてYouTubeでの証言

 林道について調べている中で、林道が取材嫌いであることは有名であったがまさか彼女への取材記事が1つもないことに驚きを隠せなかった。

 しかしそれとは対照的に春風は取材を積極的に受けており資料にはことかかなかった。

 春風の容姿も人目を惹くものであり美少女剣士などと騒ぎ立てるマスコミなどが未来有望なアスリートとテレビで紹介しているようなものまであった。

 その中でも中学1年時、全国で個人優勝を果たした際の取材記録で印象に残るものがあった。

 剣の道々チャンネルというYouTubeの動画に春風へのインタビュー動画があったので紹介する。


  

(どこかの武道場、画面には道着姿の春風。インタビュアーは画面外にいる)

 

――春風選手優勝おめでとうございます!


春風 ありがとうございます。


――1年生ながら圧巻の試合展開で危なげない試合運びは流石でした。率直な感想は?


春風 普段通りのことをやれば大丈夫だと思っていましたし、先生やコーチからもそのように言われていたので。言われたことがしっかりできたのかな、ということにホッとしました。


――印象に残っている試合などはありますか?


春風 印象、ですか……。(数秒顎に手を当てて考え込む)そこまで印象深い試合はないんですが、全国の決勝戦はようやく終わるんだって印象に残ってます。(苦笑を浮かべる)


――なんと。すごいですね。確かに春風さんの支部予選から全国決勝までの成績は圧巻の一言ですものね。

 

(画面には春風の戦績が表示される)


――初戦から全て2本勝ち。相手に1度も有効打を与えていませんよね。確かにそれだとその言葉も頷けますね(笑い)

 私も全国大会は毎年観戦に行くんですが、今年の春風さんの活躍は本当に凄かった。動画を視聴してくださっている皆さんにもその様子をご覧にいれましょう。


(アイキャッチが流れて試合映像が流れ始める)


――っとこのようにまるで魔法のように春風さんの打撃が決まっていくのです。ですよね春風選手。


春風 魔法みたいですか? ふふっ、そうかもしれませんね。部内でもみんなにそう言われることがあります。


――何か秘訣とかあるのですか?


春風 うーん。たぶん言っても伝わらないと思うんですけれど……。


――と言うと?


春風 見えるんです。難しいな。攻撃的な人からは白い糸みたいのが体から無数に出てくるんです。それ私の小手や面に向かって収束して、1本の太い白い糸に変わったら打とうとするサインですね。それが私には見えるんです。


――は、はぁ。なかなかに独特な感覚ですね。そういうイメージを持って試合に臨んでいるんですね。


春風 イメージじゃありません。実際に見えているんです。試合の時だけじゃなく、今だっていつも人から色々なものがでていてそれが私には見えるんです。


――私にもその何かが見えているんですか?


春風 はい。


――それはどういったものですか?


春風 ……(少し逡巡して)水色の羽蟲です。


――水色の……羽蟲ですか?


春風 はい。それが出ている人は侮蔑、嘲りです。


――いやいや、そんなことありませんからね。冗談がキツイですよ(笑い)


春風 ふふっ、キツかったですかね。


――みなさん春風選手の冗談ですからね。真に受けないでくださいね。


春風 ふふっ、ごめんなさい。


――それでは話題を変えて、防具とかのこだわりがあれば……。


(その後もインタビューは続いた)



 以上がその動画の内容である。

 ここでは冗談ということで流されているが、筆者はこの会話こそが春風の強さの秘密ではないかと考えている。


 共感覚という言葉をご存知だろうか。


 1つの事柄に対し、複数の感覚器官で認識する人を指す。

 例えば音に色を感じることや、文字に匂いを感じるなどなど。

 これは筆者の憶測にすぎないが春風はその感覚がさらに鋭敏なのではないだろうか。

 視線、少しの表情変化や表情筋の動き、それらを視覚化して捉えているのではないか。それが結果として彼女の語る白い糸や羽蟲といった特徴として具現化されるのではないか。

 春風はその『超共感覚』とも呼ぶべき能力で試合において先の先を奪っているのだろう。


 人の心を読むかのような視力を持つ春風はあの日、平成28年の夏に林道と対峙して一体何をその目にうつしたのだろうか?


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