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クリスマスはいつもお仕事

作者: 夕山晴

伊織ライ様の「頭結縛り企画」参加作品です。

「あなたにこれを贈ります」から始まって「神に祈ろう」で終わる話。


メリークリスマス!(大遅刻)

「あなたにこれを贈ります、っと」


 そう言いながら、メッセージカードに書き記していく。

 毎年恒例のことながら、改善されることはない。いい加減、手書きなんてやめればいいのに。

 そんな不満を察知されてしまったか、遠くから声がした。


「おぉい、もっと心を込めて。そんな投げやりじゃあ、もらった方も嬉しくないでしょ~」

「ちっ、聞こえてたか。地獄耳のサンタクロースめ」

「全部聞こえてるよぉ。この力でそんな言葉聞きたくないんだけどねぇ」


 プレゼントの山に囲まれながら、せっせとソリに詰め込んでいる。身体の大きなおっさんだ。上下黒色のジャージ姿だが、れっきとしたサンタクロースの一人である。


「他のところはいつも前日までには準備万端って聞きますケド」

「まあ、よそはよそ。うちはうちだから……」


 姿は見えないが、目は泳いでいるに違いない。


 サンタクロースには担当区域があって、その区域内の子供たちにプレゼントを渡すことになっている。子供たちの欲しいものを知れるように、いろいろ能力があるらしいが詳しいことはよくわからない。

 目の前のおっさんとしか仕事をしたことはなく、別のサンタクロースとは話をしたことがないからだ。

 同僚とは何度か飲みに行ったことがあるが、主人であるサンタクロースのことには守秘義務がある。


「欲しいものは声に出してくれないとなかなか準備できないんだよねぇ。どうせならあそこのサンタみたいに夢の中を覗けたり、心の声が聞こえたりすればいいのにさぁ」

「ちょっ、守秘義務、守秘義務!」

「あ。……ん〜、まあ、それは努力目標みたいなもんだから、気にしない気にしない」


 するわ!


 そんな言葉もうっかり声に出してしまったようで、


「……てへ、うっかりしちゃったよ。言わないでねぇ」


 とおっさんの照れ笑いがプレゼントの隙間から見えてしまった。

 可愛くないな。っと、無駄口を叩いて、作業が遅れたらたまったもんじゃない。慌てて口を塞ぐことにする。

 すでにもうギリギリなのだ。




 なんとかソリに詰め終えて、書いたメッセージも全てのプレゼントに挟んだ。あとは配るだけ。


「ちょっと、赤い服は」

「あれぇ大事な制服忘れちゃダメだったねぇ。ジャージは動きやすくてつい」

「……ひげ」

「おっと、大事なチャームポイント」


 言いながら、赤いコートが現れ、髭が生えた。どうなっているのかはわからないが、俺もツノを生やせるし、そういうもんなんだろう。


 美しい毛並みのトナカイに変化して、正装になったおっさんもソリに乗り込む。体重でソリが軋んだ。


 現在、夜の九時。


「これ、間に合うんスかね」


 正直、おっさんの手書きメッセージカードより、プレゼントが早く届いた方が嬉しいと思うケド。

 すでに遅れに遅れて——十二月二十五日。


 毎年のことながら、身体の大きなサンタクロースの尻はとても重い。

 来年こそ、カードは全部プリントアウトだ。早く終わらせて、おっさんの尻を叩かなくては。


 赤い服のおっさんは、無表情で手を合わせた。


「……クリスマスの今日中にはどうにか配り終えたいが…………むむ、そうだ……神に祈ろう」


のんびりサンタと苦労性トナカイの話でした。

このおっさん、1日ズレてるんだよなぁ(トナカイ)

この地区の子どもたちは毎年のことなので、プレゼントは25日の夜と認識してます。


では今年もお疲れ様でした!

クリスマスいつ終わったの。

良いお年をお迎えください〜ー!

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― 新着の感想 ―
サンタクロースとトナカイのやり取りがほのぼのして良かったです。 配り終わるといいね。
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