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✜41 千年以上の寿命


「では、妾たちはその島の改造を手伝うとするかの?」

「賛成だにゅ」

「うん、それでいいと思うラピ」


 まあ他に頼みたいこともないのでそれでいいかな。島単位の超大型リノベーションだし、人手は多いに越したことはない。


 ただ、この巨大プロジェクトへ着手する前にふたつほど問題がある。


 1つ目に島の精密な地図がないこと。以前、冒険者の街がまだ破壊されていなかった頃に買った島の地図は、いわゆるダンジョンマッピング法で描かれている。そのため縮尺がわからず、歩数やランドマークを利用して距離や方角を大雑把に記してあるだけなので、これを元に島を改造するのは、いささか心細い。


 2つ目は、まだダンジョンや拠点の位置すべてを把握できていないこと。例えば「ゴブリンの集落」という拠点シリーズにしても一番大きい番号で038を拠点化しているが、001から並べると飛んでいる番号がまだ半分くらいある。ガーゴイルの反響定位(エコロケーション)で飛躍的に捜索しやすくはなっているが、見つからないということは地上にはない場所にあるのかもしれない。そもそも拠点化が自分にしかできないのが、全数の把握と拠点化が進まない最大の要因となっている。


 以上の2点について、対策を立てるべく、シュリやヤコ、ヴァ―ルギュントの3人の他、冒険者ギルド長と副ギルド長のテリヤキとフィオレにも話し合いに参加してもらった。


「絵の上手い人が空から描けば、結構正確に描けるんじゃない?」

「方角と距離が分かるアイテムが大陸で売ってるって聞いたぜ」


 なるほど、その手があったか。さっそくフィオレとテリヤキの意見がとても参考になった。


 空から絵を描くという意見については、まだ一度も使ったことがないステータスウインドウのキャプチャ機能を使って上空から画像を撮って、その画像を見ながら、自分が白紙に島の形をなぞれば一発で島の輪郭と山などの目立つランドマークを地図の上へ落とし込めることに気が付いた。


 方角と距離が分かるアイテムは、貴重なマジックアイテムなので、かなり値が張るのではないかという話だった。相場はこの街にいる大陸から来た冒険者たちでもどれくらいするのか誰も知らないそうなので、テリヤキとフィオレに白金貨を存分に持たせて買ってきてもらうことにした。


 自分は地図作りをするとして、もうひとつの課題である拠点化の遅延については、元サーバー「016」のプレイヤーのメンバーに頼むことにした。考えてみたら彼らはプレイヤーなので、拠点化ができる。プレイヤーひとりにゴーレム2体とガーゴイル2体、他にも街の中にいる冒険者から希望者を募り、十分な戦力を確保して動けば、ざっと30パーティー以上の隊が編成できる。


 彼らには相談して頼もうと思っているが、もし嫌がるようなら、あまりやりたくないが、強制的にコマンド入力で命令することも視野に入れておく。




「いいでしょう。こちらのサーバーに取り込まれた以上、命令に従います」


 かつて、サーバーS016のリーダーだった眼鏡をかけた優男、エーイチがこちらの頼みをやけに素直に受け入れた。


 彼らの島へのアクセスする橋や島の改造は、ダンジョン島の改造がある程度片付いてから手をつける予定としている。彼らには今回の拠点化作業の他、1年に1回行われるサーバー戦でこちらの代表として戦ってもらおうと考えている。


 それと言うのもエーイチから聞いた話では、クローズドサーバーからオープンサーバーに移行した世界において、1年に1回、自動的にマッチングされるということなので、元々好戦的な彼らにうってつけの役割だと考えた。


 攻めるも守るも自由で、彼らS016はダンジョン島S462と当たるまでは負け知らずの18戦18勝17K.Oだったそうだ。ちなみに両陣営とも勝利条件を満たさない場合は、より勝利条件に近い方が判定勝ちになるんだそう。一度は判定まで行っているが、それでも負け知らずなので、任せて問題なさそう。


 それと年齢について意外な情報を教えてもらった。年齢の進み方が転生前と違い、すごく遅いそうで、誕生日の近かった数人から計算してみると、どうやらこの世界での25年が元居た世界での1年に相当するのではないか、という話だった。


 その説が正しければ、自分は15歳なので80歳まで生きるとしたら、この世界では1,600年くらい生き続けられることになる。


 そうなってくると、問題はどちらの世界の時間がおかしいのか、仮にこの異世界の過ごした時間が正だとすると、10年間、暮らして地球へ再転生した場合、250年後になっている。逆に地球の時間が正しければ10年間生活しても、地球では5か月弱くらいの時間しか経っていないことになる。


「俺様はまだ負けたなんて、思っちゃいねえからな?」


 エーイチとの話し合いが終わり、彼らの城から出たところで、絡まれた。


「俺様のシャドウ・レギオンは無敵だ!」


 ステータスウインドウを見るとダイハチロウと書いてある。ダイハチロウ……えーと、たしかサーバー戦で、シュリの火球魔法でふっ飛ばされたヤツ。無敵と言いつつ簡単に負けていたけど、ツッコむとなんだか可哀そうなので、そこには触れないでおこう。


 どうしても決闘したいと言うので、しょうがなく受けることにした。すると、エーイチを始め、サーバー016のメンバーが自分とダイハチロウの勝負を観戦しようと集まってきた。


 このメンバーの中にも自分を認めていないものが多いんだろうな……。オッケー、ここはしっかり上下関係を覚えてもらおう。






【ファンタジー小噺40】

クズ男を見分ける術に長けた令嬢、のお話


男A:君の瞳はなんて美しいんだ!

令嬢:言い慣れてる……クズ

男B:将来、国王になるのが夢なんだ!

令嬢:できん事をほざくな……クズ

男C:あの男よりボクの方が君にふさわしい

令嬢:自己中解釈で人を見下す……クズ

男D:昨年、国一番の武功を挙げたんだ、ガハハッ

令嬢:武勇伝……乙……じゃなくてクズ

男E:隣の領主の令嬢が君の悪口を言ってたよ?

令嬢:お前が一番のクズ


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