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✜04 メタルなアイツ……

 

「ここって島なの?」

「はい」


 知らなかった。たしかに最初に砂浜にいたが、まさか島だったとは。


 彼女……シュリは国同士の戦争に巻き込まれて、村が壊滅したそう。大人は殺され、子ども達はこうやって奴隷として売られたそうだ。


 この島は通称「ダンジョン島」と呼ばれていて、無数の未踏破ダンジョンがあり、ダンジョンの奥には人智を超える宝物が眠っているとシュリから教えてもらった。腕に覚えのある冒険者から駆け出しの冒険者までこぞってこの島へ一攫千金を夢見てやってくるという。


 ちなみに今、ウロウロしている辺りは「浅界」のなかでも特にモンスターが弱い、冒険者の街に近いところにいるはずだと教えてもらった。


 先ほど会った3人は錫等級のこの島にやってきて3日目の駆け出しの冒険者で、島に来た初日に獣人であるシュリを奴隷として買い取ったそうだが、買ったあとに非力で戦闘向きじゃないことに気が付き、売りたがっていたと話す。


 冒険者の等級は錫から始まり、鉄、銅、銀、金、白金等級とあり、経験や実績は関係なく純粋に能力が高ければ、等級があがる仕組みだそうだ。


 彼女を奴隷から解放してあげたいが、奴隷の首輪を外すのは奴隷を買うよりもさらに高額になると先ほど会った剣と盾を持った男が言っていた。そのため、とりあえず呪いを解くため、ゴブリン狩りを続けつつ、金銭を稼ぐことを当面の目標にしようと考えた。


 シュリに靴や革鎧をクリエイティブで作ってあげた。あと小ぶりのクロスボウを2つ与え、後方から援護してもらうようにした。2つ渡したのは彼女が非力なので1発撃つと再装填することができないための措置。


 またシュリは生命力が低いため、ゴブリンに囲まれたらすぐに死んでしまう。その関係でゴブリンの集落をは襲わず、はぐれや数匹単位で行動しているゴブリンを狙い、創造ポイントと硬貨を稼いでいった。


「こ、ここで寝るんですか?」

「うん、ここが今のところ一番安全だから」


 管理しているゴブリンの集落に戻り、休息を取る。少し気にはなっていたが、自分と一緒にいるシェリも仲間だとちゃんと認識しているのか、ゴブリンが彼女に危害を加える様子はない。


 木の枝だけで簡単に組み立てた粗末なベッドだが、まわりには管理されたゴブリン達が固めているので、他のゴブリンに襲われる心配もない。最近はよくゴブリンの集落で休息を取るようにしている。


 食事や飲み物は自前のものを準備している。ゴブリンの集落のひとつに川が集落内を流れているところがあったので、明日にでもそこへ行ってお風呂に入ろうと思う。


 だいたい創造ポイントでのクリエイティブできるモノの価値がわかってきた。食べ物、飲み物は1ポイント、生活に必要な道具なら3ポイント、戦闘で使用する武器や防具は10ポイント消費する。まだ試したことはないが、石鹸や洗髪料は3ポイントで入手できると思う。


 次の日、さっそく川があるゴブリンの集落へ向かっていたが、途中で初めてみるモンスターをみつけた。


 ───────────────

 名前         なし

 年齢        58歳

 種族  レアメタルゴブリン

 生命力       999

 筋力          3 

 敏捷性         3 

 知性          2

 精神力         3

 器用さ         2

 スタミナ        5

 幸運         99

 経験値       999

 ───────────────


 筋力や敏捷性は低いので、殴り合いでは負けないし、シュリのところへ行くのも防げるだろう。生命力が999とぶっ壊れているが、コチラはもっと壊れているから問題ない。経験値が999っておいしすぎるので逃がす手はない。


 なにやら苦しそうにお腹を押さえていて、コチラに気づいてないので遠慮なく奇襲をかけた。


 感触的には巨大なタイヤを殴っているような手応え。自前の大型ナイフが壊れるのがイヤなのでゴブリンの集落から拝借してきた棍棒でこれでもかというくらいタコ殴りにした。だけどスタミナが尽きてしまい、反撃に遭う。お腹が痛いせいか、普通のゴブリンよりも動きも遅く威力もさほど出ていない。メタルゴブリンから棍棒で殴打されながらもスタミナを回復しては棍棒で殴り返し、徐々に生命力を削っていった。


 日中、ずっと殴り合ってようやく決着がついた。


 レアメタルゴブリンが消えると、金貨が数十枚と七色に光るタマゴが落ちていた。


 このタマゴを丸飲みにしてたから、お腹が痛かったのだろうか? パキパキとタマゴの殻にヒビが入り、殻が割れると、中から青い小鳥が出てきて目が合った。


「ピッ!」


 青い小さな鳥の頭上のステータスを確認する。


 ───────────────

 名前        ピコン

 年齢     10,301歳

 種族 エンシェントドラゴン

 生命力        10

 魔力         99

 筋力          1 

 敏捷性        55 

 知性         99

 精神力        99

 器用さ         1

 スタミナ       10

 幸運         99

 経験値         -

 魔法          3 

 状態:鳥化(封印)

 ───────────────


 ──いろいろとツッコみがいのある鳥だった。


 今、生まれたばかりのはずなのに1万歳を超えてるし、種族がドラゴンだし、封印状態にあるし……。言葉はしゃべれないが、知性が高いため、すごく賢そう。自分の肩に乗って動かなくなった。親だと思っているのかも。


 ピコン、ね。懐かれたみたいだから、連れて行こうと思う。魔法が3種類も使える鳥なんてとても貴重だと思うが、どんな魔法が使えるのかまではステータスウインドウには表示されていない。


 自分のステータスを確認すると、創造ポイントが1,000を超えていた。ステ振りはあとでやるとして、先にシュリの方を片付けることにした。


 彼女のステータスは割り振りができるらしいので、彼女に相談しながら決めていこうと思う。





【ファンタジー小噺(3)】

悪役令嬢だって、ピュアラブしたい、のお話


令嬢「レオナルド様、どうして聖女なんかをかばうんです!」

レオ「君が聖女に何をしたかはすべてお見通しだ」

令嬢「そんな……ヤンデレ属性なだけで、私はいたって善人なのに」

レオ「や……やんでれ? と、とにかく君は普通じゃない!」

令嬢「うわーん、聖女なんか●ね●ね●ね●ね●ね●ね●ね●ねぇぇぇ!」

レオ「そういうとこッ!?」






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