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39/48

✜39 サーバー「S001」


 ───────────────

 サーバー「S016」の吸収(・・)状況 95%

 プレイヤー数:0/32

 達成条件:全プレイヤーの殲滅および全拠点の吸収

 制限時間:1日2時間11分16秒

 ───────────────


 まだ終わってない?


 プレイヤーの残数は0になっているので、ヤコやシュリもうまくやってくれたはずだが。


 ──あ、そうか、このダンジョンの一番奥に転移したから途中の階層の拠点化がまだなんだ。


 あとは入口に向かって拠点化していけばいい。それに今は新しい人たちがいる。自分と賢者、魔法画家を中心に3パーティーに編成してダンジョンを逆行する。


 非戦闘員の4人は空間転移で先にクリエの街へ送り届けつつ、シュリとヤコをこちらへ呼び寄せた。自分たちはいつもの3人で組み、賢者と魔法画家のパーティーにプレイヤーの城攻略でまだ残っていたゴーレムとガーゴイルを護衛につけたので、フロアボスが出たとしても物量で押し切れると思う。


 だいたい8時間くらいでダンジョンを完全に拠点化できた。


 それと同時にサーバー「S016」を完全に吸収できた。これによりヴァ―ルギュント最終試練がクリアとなり、達成報酬がいろいろとステータスウインドウへ表示された。


 クリア報酬は、ヴァ―ルギュントの解放。吸収したサーバの統合、再配置。サーバー「S001」──地球への(・・・・)リスポーン(・・・・・)が可能、の3点だった。


 ……え、地球?


 他の2つをすっ飛ばして、めっちゃ気になるワードに目が行った。地球へ再転生的なことができるんだ……。ただ、細かいことは書かれていない。今までの記憶を失くして、まったくの別人として赤ん坊から始めるのもまた転生と言えなくもない。


 仮に記憶、姿かたち、能力をすべてそのままで再転生できるなら最高だけど、リスクが高すぎて試す勇気が湧かない。正直、この世界で楽しくやれているのでわざわざ危ない橋を渡る必要はないと今は思っている。


 ステータスウインドウの上に書かれている文へ視線を戻す。ヴァ―ルギュントの役割を解放……これは巨大なタコや足の速いウサギ、変態サキュバスの役目をリセットして自由にしてあげられるという意味だと思う。──タコとウサギだけ解放しようかな……。


 次に吸収したサーバー「S016」の統合と再配置、これはちょっと実際やってみないとわからない。


 とりあえずヴァ―ルギュントの3人? を解放するボタンを選んで、それから「S016」の統合ボタンを押してみた。


 だが、「第2位指定管理者がリソース内に滞在しているため、実行できません」とエラーが表示された。自分がS016の島にいたら、統合ができないって意味だと思うので、空間干渉の能力を使い、ダンジョン島へ移動した。その上でもう一度、統合ボタンを押すと、沖合に浮かぶ境界の奥にあった島が消えた。


 次に「再配置」ボタンを押す。すると半透明なS016の島がダンジョン島の上空へ現れた。そのまま浮かんでいて動かない。色々、いじっていると自分のステータスウインドウ前に展開しているキーボードの矢印ボタンで、100メートルピッチで動かせることに気がついた。


 ちょっとこのままだとどこへ動かしていいのかわからない。今現在、元冒険者の街があったダンジョン島の南端にある船を係留する桟橋の上にいるが、地上からだと、どこへ配置していいのかがわからないため、ガーゴイルを数体、生成して、自分のカラダを持ち上げてもらい、上空500メートルくらいの高さからS016の島を操作する。


 どうしようかな。ここへ動かして、下へ降ろすのはこれかな?


 クリエの街から西へ行ったところにある海岸のそばでエンターキーを押すと、島が今まであったかのようにダンジョン島のすぐそばへ固定された。


 海岸同士がすこし離れているので、橋を架けるか埋め立てしてしまうか、どちらにせよ、なんらかの方法で島同士を繋いだ方が使いやすそう。


 ───────────────

 サーバー「S016」のプレイヤーを解放することができます

 プレイヤー数:32

 解放した場合、勝利サーバー側のリーダーに服従します

 ➡解放する……解放するメンバーを次のページから選択

  解放しない

 ───────────────


 ──なにそれ怖ッ! てっきりゲームが終わったらプレイヤーは全員、勝手に復活すると思っていたのに……。


 自分にひとを裁く権利なんてないので、もちろん全員を解放した。解放時に命令を与えるか、というコマンドが出たので「ダンジョン島とその住人に危害を加えないこと」と入力しておいた。ところで、プレイヤーの人たちを解放しなかったらどうなっていたんだろう? 想像するだけで恐ろしい。


「遅かったのう、待ちくたびれてお主の寝台を舐め終わったところじゃ」

「お久しぶりでにゅ」

「アラタ兄ぃ、また追いかけっこしようラビ!」


 久しぶりの我が家、クリエの街にある川沿いの小さな家の玄関を開けたら何かいた(・・・・)……。


 変態サキュバスはとりあえず放置するとして、他のふたりは誰?





【ファンタジー小噺38】

ラスボス感を醸し出す門番、のお話


門番:よくぞ参った勇者よ

勇者:あ、え? ここ魔王城の門じゃ!

門番:先ほど四天王を倒したであろう

勇者:ん? あ、スライムを4匹ほど

門番:そんな貴様に最後のチャンスをやろう

勇者:チャンス?

門番:ここからここまでの半分を貴様にやろう

勇者:え、門を半分って門番?

門番:違ぁぁう! 我にはここがすべて

勇者:そっか……でもいいや

門番:交渉決裂か……やむをえまい

勇者:おりゃ

門番:ぎゃ! 我……し、死んだ?

勇者:いやいや手加減したから!

門番:き、貴様、いったいどういつもりだ……

勇者:なんか嫌いになれなくて

門番:勇者は勇者、か……

勇者:その意味のわからんとこ好き!

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