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✜32 マッチョ降臨!


 創造ポイントの消費が10倍の100ポイントになった。


 知性と幸運の上限は変わっていなかったので、筋力、敏捷性、器用さ、スタミナをMAXになるまでエンターキーを連打した。それでもエンシェントドラゴンと比べると話にならない。だけど少なくとも人族の限界を突破した自分の動きは、倍以上に速くなったので、エンシェントドラゴンの攻撃のバリエーションの中で最速の尻尾攻撃以外は、まったくもらわないほど高速で移動できるようになった。


 エンシェントドラゴンの注意を逸らそうと、戦闘用ゴーレムとガーゴイルを5体ずつ生成した。あくまで多少の嫌がらせ程度で考えていたが、先ほどすぐにブレスに捕まり、消失したガーゴイルが5体とも意外な粘りを見せている。それと地上にいるゴーレムも簡単には壊れなくなっていた。


 それぞれステータスのところに「硬化」と「高速フリッカー」と追記されていた。ゴーレムの硬化は文字通り硬くなる効果があり、もはや岩というより、この異世界に存在する最硬金剛石(アダマンタイト)並みの硬さかもしれない。高速フリッカーというのは、視覚に入ってくる情報量のことで、フリッカー速度……正しくはフリッカー融合頻度が高ければ高いほど、目の前で動く人や物体がゆっくり見えてくるというもの。


 ドラゴンは今、まさにハエのように動き回るガーゴイルと、叩いても踏みつけても壊れないゴーレムに戸惑っていることだろう。


 身体能力が大幅に向上したので、攻撃にも余裕が生まれた。だけど、古龍の隙をつくことができない。どうしようかと悩んでいる時に頭のなかで、声が聞こえた。


「難儀しておるようじゃの?」


 この声はサクラ? なんだろ……今、忙しいんだけど?


「いいことを教えてやろうと思うてな」


 いいこと? うーんそう言われると気になる……。


「魔法のランプはどうしたのじゃ?」


 魔法のランプ……あー、例のマッチョを語尾につけている魔人みたいなのが入っているランプのこと? あのランプならシュリに渡してある。


「マッチョ鈴木は、エンシェントドラゴンとの相性が良いと思うぞ」


 ホント? じゃあ試してみるか……シュリへ大きな声でランプを求めた。


「貸しな、アタイが渡してやる」


 ヤコがシュリからランプを受け取り、思いきり振り上げてこちらへ投げた。凄い速度で直線軌道の高速ストレートのランプを何とかキャッチした。


 マッチョ鈴木……魔法は使えないが、たしか筋肉ですべて解決するとか、説明書に記されていたような気がする。本当に使えるのかな?


 まあ、結果はどうなるかわからないけど、とりあえずランプを擦ってみる。


「お呼びですか、ご主人さマッチョ。モグモグッ」


 食事中だったんだ。左手には鳥のささみ。右手にはプロテインドリンクを持っている。


「ふむ、わかりマッチョ。あのドラゴンの隙を作ればいいマッチョね?」


 まあ、そうだけど。その語尾、無理やり過ぎん? 食事を終えて、プロテインドリンクも一瞬で飲み干した後、マッチョ鈴木が自分の役目を確認した。


 おっと……そうこうしているうちにドラゴンの炎のブレスが目の前に迫ってきた。


 え、消えた? 一瞬でマッチョ鈴木の姿を見失った。


「ミーはここマッチョよ」


 いつの間にか、溶岩湖がある大空洞の天井に張り付いてるマッチョ鈴木がいた。


「右腕マッチョ~~、左腕マッチョ~~。ふたつ合わせて~~、マッチョパーンチ!?」


 いやいや、ただ右手で殴ってるだけじゃん? 左腕のマッチョ……じゃなくて左腕は関係なくない?


 っていうか、威力がエグい!? ドラゴンが初めてうつ伏せに地へ伏せた。


「……からのぉぉぉ、マッチョスープレックス!?」


 マジか……ドラゴンの背中を抱えて、まさかのスープレックスを決めてしまった。ってか、質量と力のバランスはどこに行った? いや、自分はそもそもいったい何を見せられている?


 おっと、ツッコミを入れている場合じゃなかった……。ドラゴンの弱点がある喉仏の部分に1点集中攻撃を仕掛ける。狙いは喉仏あたりの奥にある火炎袋。


 右手に持つ金剛杵(ヴァジュラ)に力を込めて思いっきり放り投げた。


 手から離れた瞬間……音の壁を割って、金剛杵の槍がドラゴンの喉元へ突き刺さった、かに見えた……。


 惜しい! 多分、鱗に多少の亀裂は入ったと思うけど、貫くことはできなかった、もう一度試せば貫けるんじゃないだろうか?


「ゴァァァァァァッ!」


 ドラゴンの長い咆哮……何かを呼んでいる?


「ふぅ、マッチョ切れになったマッチョ、次のご利用は1日後にお願いするマッチョ」


 そうか、マッチョ切れになったんだったら仕方ない……。って、マッチョ切れってなんやねんッ!? とノリツッコミしたところで、マッチョ鈴木はランプの中へと帰っていった。


 マッチョ鈴木がいなくなった大空洞では、左手の通路から大量のリザードマンが、この溶岩湖の広間に雪崩れ込んできた。


「雑魚はアタイに任せな!」


 リザードマンのところにヤコが飛ぶように移動していく。リザードマンの群れと衝突すると、見る見るうちにリザードマンがヤコの手により駆逐されていく様が見えた。向こうはヤコに任せておけば大丈夫だと思う。






【ファンタジー小噺31】

とある県の出身というだけでネタにされる、のお話


女神:はい、次の人~

男性:よろしくお願いします

女神:おっ、なにもかも普通だ

男性:私、転生できるんですか?

女神:もちろん、ちょっと調書だけ見てみるね?

男性:いやぁ楽しみだなー

女神:え? ちょっ、出身ってグンマー帝国?

男性:ええ、まあ……そうやってよくイジられます

女神:人、住んでたんだ……

男性:全国で人口20番目くらいですけどね

女神:迂闊に踏み込んだら帰ってこられないんでしょ?

男性:いや、誇張がすごいな!

女神:未開の地なのに帝国って、ぷぷっ

男性:群馬県が他県に何をしたぁぁぁぁぁぁッ!?



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