表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/48

✜02 深夜の鬼ごっこ

 

 深々とナイフが肩に刺さったのでよろめき後退したのでようやく相手の顔を拝めた。


 ───────────────

 名前       なし

 年齢       6歳

 種族     ゴブリン

 生命力       4/10 

 筋力        1/2 

 敏捷性       1/4 

 知性        2

 精神力       3

 器用さ       2

 スタミナ      5

 幸運        1

 経験値       1

 ───────────────


 ゴブリン、ゲームで見たまんまの緑色の肌をした最下級のモンスター。先ほどは不意をつかれたとはいえ、たった1匹にいいように殴られてしまった。


 頭のうえにステータスバーがあるので、見てみると自分がゴブリンとあんまりステータスが変わらないことにショックを覚えた。これって生命力が∞じゃなかったら危なかったかも……。


 生命力のところが4/10になっているのは、あと4ポイント奪ったら倒せるってことだと思う。敏捷性も落ちているので、まず逃がさない。


 ゴブリンが木の棒を振り上げることすらできなくなったのを確認して、大型ナイフで止めを刺した。死体が残る系ではなく爆散して灰になるタイプだった。それもご丁寧に硬貨が落ちている。銅貨が1枚、ゴブリンだからこんなものなのか?


 モンスターを倒したことによって、ステータスになにか変化があるのか確認したら、創造ポイントが1増えていた。モンスターを1匹倒したら創造ポイントが増えるのかはこれだけではわからない。この点については今後チェックして様子を見ていくしかない。


 それからひたすら森のなかを彷徨った。森のなかにはゴブリンしかおらず、1匹だけの時もあれば、2、3匹まとめて襲いかかってくる場合もあった。いずれにせよ、無限の生命力持ちなので痛くもかゆくもないので時間をかけてゴブリンを倒していった。


 夜も更けてきたので、そろそろ寝ようかと思っていたら遠くで赤い光がみえた。そこへ向かうと開けた場所があり、たくさんゴブリンが中央にある篝火を囲んで、肉を食べている。まるで宴会でもしているような雰囲気を感じる。


 篝火のすぐそばにひと際、体格の大きなゴブリンが2体いる。頭の上にはステータスウインドウが浮かんでいるので、遠目だが確認すると全体的に10を超えている。種族を確認するとゴブリンより上位のホブゴブリン。1体でも自分よりステータス的に上だし他のゴブリンもたくさんいるので、ここは避けた方がいいか……。でも、原始的だが建物などもある。夜中に寝込みを襲えば結構なんとかなるんじゃないだろうか。


 茂みのなかで隠れたまま悩んでいたら、後ろからいきなり衝撃が走った。頭を強く打ったが、効いているわけではなく、すぐに起き上がり相手から距離を取った。


 叫び声──ここに敵がいるぞ、という合図なんだろうな、きっと。


 とりあえず叫んだヤツを大型ナイフで突き刺し、絶命させた。でもゴブリン達は武器を手に取り、こちらに向かってくるのがみえた。


 森のなかへ逃げ込み、持久戦に持ち込む。囲まれないように逃げながら少しずつゴブリンを倒しては移動を繰り返しているうちに朝になった。


 ゴブリンはほとんど息絶えていて、ホブゴブリン2匹との戦いになった。片方が大きな斧でもう1匹が槍を持っている。格上が2匹同時に相手なので、それはもうボッコボコにされ、ひたすら猛攻にさらされた。でも、どんなに斧で叩き切ろうとしても槍で突き刺そうとしても、切り裂けないし、貫通しない。このままホブゴブリンのスタミナ切れを待つ。


 ボクシングの試合でも世界タイトルで戦うボクサーでさえ、3分12ラウンドが終わる頃にはパンチはへなちょこになっている。ましていかにも重そう武器を振るっている連中ならその消費も半端ではない。現にステータスが見えているので、ホブゴブリン達のスタミナが減っていくのがリアルタイムで確認できる。


 逆にその間に夜中に走りまわって疲れて減っていたスタミナ回復に努める。自慢じゃないが家にずっと引きこもり気味だったので、スタミナには自信がない。


 ホブゴブリンが疲れ果てた頃、ようやくスタミナがすこし回復したので、今度はこちらから仕掛ける。ホブゴブリンも急に歯向かい始めたのでムキになって抗い始めるが、疲れ果てているので、たいした抵抗もできずにどんどん大型ナイフがホブゴブリンの体を切り刻んでいった。


 明け方まで続いた長い戦闘が終わり、とりあえずステータスを確認する。創造ポイントが60ポイントも増えていた。逃亡中、時折ステータスが画面を確認していたが、どうやら経験値と書かれた数字の分、創造ポイントに加算されることがわかった。


 ───────────────

 拠点「ゴブリンの集落017」を管理しますか?


➡はい

 いいえ

 ───────────────


 ──と、このような画面がでてきたので、迷わず「はい」を選択した。その後、いろいろ説明文が出た。内容は管理下においた拠点に所属するモンスターは管理者にけっして歯向かわず、集落に所属するすべてのモンスターに一括して命令を行えるそうだ。特に命令を与えない場合は自由行動でこれまでと同様の行動を取ると書かれている。


 また、拠点は1日に1ポイント、管理者が創造ポイントを得ることができ、戦闘などで数が減っても夜中の0時にリセットされる、とある。


 とりあえずお腹が空いた。クリエイティブ画面で文字を入力して食パン(1)とコーヒー(1)を手に入れ、ゴブリンのいなくなった集落で朝食をとることにした。






【ファンタジー小噺(1)】

江戸の火消しが転生したってよ、のお話


勘七郎「ドラゴン? てやんでい、火消しに消せない火なんてねぇやい!」

街の住人「勇者テヤンデイは水の魔法が使えるんですか?」

勘七郎「消火をしようか(・・・・・・・)? だ、バカヤロー!」

街の住人「?」

勘七郎「火消しは火を消すだけじゃねぇ、心も冷ますもんさ」

街の住人「ホントだ。なんだか背中が寒くなってきました……」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ