三話 図工
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
「3時間目の図工を始めましょう。」
「「「「「始めましょう。」」」」
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図工、それは私が一番嫌っている教科だ。
私は、図工のセンスが無い。
本当にない。
キリンを書けば、「宇宙人」と言われ。
猫を書けば、「くま」と言われる。
体育はもちろんのこと嫌いだが、がむしゃらにやればおわってしまう。
けれど図工はそうはいかない。
適当にやれば、やり直しを食らってしまう。
ただでさえも苦手なのに。二度手間なんて・・・。
だからやるしか無いのだ、嫌でも。
「何やってんだよっ。」
聞き慣れた声が聞こえる。
「ヘタクソだなっオレのほうが上手い。まっオレのほうが図工の才能あるしなっ」
ただ腹が立つ。
「それが何?」
「別に。」
こいつの名前は伏木蓮。[ふしきれん]
貴紀くん同様、頭良し、運動神経良し。お家柄良し。[お坊ちゃま]女子ならば「キャァーーーー」と100%叫ぶであろう男子。
眼鏡をつけているのに、真面目さナシ。生意気だ。の、癖にイケメンらしく人気がある。
そしてなぜか、毎回毎回席が近い。
女子からのハートの矢になれている蓮君は気にしないかもしれないが、私は結構気にしている。
ここまでだと、気にしないわけにもいかない。
席は必ず先生が決める。マジで恨まれてるのかなぁ、と思ってしまう。
今回は席が隣だ。と・な・り。
ふざけんなーーーーーーーー!
つい、心の中で言ってしまったのは内緒だ。
楽しい時間は早く過ぎるというではないか。
楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい
それならばひたすらに思うのみだ!
これで本当に早く過ぎるのだからいい方法を見つけたなっと自分を褒めた。