読点を付けよう!
私は数多くの「小説家になろう(以下、なろう)」に投稿された小説を読んできたわけではないですが、時々、Twitterで募集して読みに行くことがあります。中には、「これがタダで読めるってスゴッ!」と、思えるような小説に出会えることがあって楽しいです。
ただ、私自身も小説を書いている(た)ということもあって、読む時はどうしても作者の目線が入ってしまいます。指摘をしたいわけではないのに、自分の小説の推敲や校正をしている時のような頭に、自動的に切り替わってしまいます……
作者兼読者の方にはあるあるなんでしょうかね? 誤字脱字や誤用、視点のブレ等が、私の中の許容範囲を超えてしまうと、そっと読むのをやめます。とても残念です。
小説の内容に集中したいのに、その内容とは全く関係のないことを理由に読むのをやめる。別に、読めと強制されたわけではないのですが、なんとなく作者さんに申し訳ない気持ちになります。
なので、作者さんには出来れば、私のような読者もいるということを知っていただきたいです。毎日更新しているからそこまで手が回らないとか、超長編で今さら前半部分を直していられない、等々の事情はあるでしょう。
それでも、このエッセイを偶然にも目にした作者さんの意識が、少しでも変わってもらえたら、私はこれを書いた甲斐があります。今まで書いたものは変わらないですが、これから書くものが変わる可能性はありますからね。
――というのは前置きみたいなもんで、一番言いたいことはタイトルの、「読点を付けよう」。これに言及してるエッセイは、少なくともなろうでは見たことがない。
そんなことは思ったことすらないのか、バカバカしすぎて言うのも面倒臭いのかは分からんけど。自分もこんなエッセイ書いてて悲しくなってくる……それでも俺は言う。読点を付けろ!
「とう‐てん【読点】」の意味
文の意味の切れ目を示したり、文を読みやすくしたりするために、文中に施す記号。普通は「、」を使う。
提供元:「デジタル大辞泉」
俺は小説の禁即が守られてなかったり、誤字脱字や誤用があるのも読む上でストレスになる。だけど、それよりも気になるのが読点が少なすぎる小説。まず、次の例を見てほしい。
<例文1>
昨日夜更かししたせいで寝坊してしまって学校に遅刻しそうだ。
<例文2>
昨日、夜更かししたせいで寝坊してしまって、学校に遅刻しそうだ。
どちらが読みやすい? 多くの人が2を選ぶと思うし、俺も2の方が読みやすい。でも1のような文章も、残念ながらよく遭遇する……
言ってしまえば、読点の付け方に規則はない。文章としてはどちらの例文も間違ってはいない。しかし、付けるか付けないかでここまで変わってしまうのだから、意識して損はないはず。というか、してくれ。
ここまで読んでくれた読者さんは、おそらく、読点を付けることの大切さに気付いた人か、ただの暇人だろう。ということで、ここからはその前者に向けたことを書こうと思う。
「もしかしたら自分の小説、読点が少ないせいで読者を逃してるかも……でも今さら、どこに付けたらいいのかよく分からない」という作者さんに向けて、大体この辺に付けとけ、という例を挙げる。
・声に出して文章を読んだ際に、息継ぎをするところに入れる
一般的によく言われる。俺が小学校低学年の頃、国語の授業中に言われた記憶が、おぼろ気ながら確かにある。
――「(読)点と丸(句点)で一休み」
作者さんの中で、わざわざ自分が書いた文章を音読してる人は少数派だと思う。俺もしない。読者さんの中で小説を音読してる人も少数派だと思う。これも俺はしない。
ただ、読みやすい文章というのは、音読もしやすい。音読しにくい文章は目が滑る。推敲の際に音読しろとは言わないけど、せめて頭の中で文章を音にするだけでも、読みやすい文章を書くことに繋がると思う。
次に、具体的にどういう時に読点を入れるのかを、一部挙げていく。規則はないと言った手前、ここに入れろと言ったところで意味がない気はするけど、一般的にここには入れる、という暗黙の了解のようなものはある。
1.接続詞の後
「せつぞく‐し【接続詞】」の意味
品詞の一。自立語で活用がなく、先行する語や文節・文を受けて後続する語や文節・文に言いつづけ、それらのものの関係を示すはたらきをもつ語。順接(だから、したがって)・逆接(しかし、けれども)・累加(また、および)・選択(あるいは、もしくは)などの種類がある。
提供元:「デジタル大辞泉」
2.ふたつ以上の単語(特に漢字で)が連続する
例
「大体今何時だと思ってるんだよ!」
↓
「大体、今、何時だと思ってるんだよ!」
3.区切る場所によって、意味が変わってしまうことを防ぐため
<例文1>
ここではきものを脱いでください。
これは俺も見たことあるけど(どこで見たのかは忘れた)、有名だと思う。
ここで、はきもの(履き物)を脱いでください。
ここでは、きもの(着物)を脱いでください。
読点を付ける位置によって、脱ぐ物が変わってしまう。まあ、わざわざここだけひらがなにすることもないだろうけど。
<例文2>
可愛いパンを作っている女の子。
一見、動物とかアニメのキャラクターをモチーフにしたパンでも作ってるんだろうな、と考えるのが普通だと思う。
可愛い、パンを作っている女の子。
でも「可愛い」の後に読点を入れると、可愛いが指す対象が女の子に変わる。言い換えるなら、
パンを作っている女の子が可愛い。
と、同じ意味の文章に、読点を付けるだけで変えれるということ。
他にもまだまだある気がするけど、息継ぎをするところに入れることと、多くの場合に入れるケースを覚えておけば、大体は網羅出来ると思う。後は推敲を重ねていくうちに、作者それぞれの文章の美しさを追求してほしい。これは完全な主観だけど、付けるかどうか迷った時は付ける方が無難。
最後に……俺が気持ち良く読めるネット小説、もっと増えて!