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僕はハーレム高校生。  作者: 首領・アリマジュタローネ
【春編ーオリエン合宿(上)】
28/280

ハーレム高校生と愉快な仲間たち。


 今日は待ちに待ったオリエン合宿当日。高校生活始まって以来の一泊二日の小旅行である。


 さて、本日も元気に挨拶タイムだ。



「お早う御座います世界。いつも有り難う御座います神様。そして、今日は……月から来たかぐや姫の如く美しき、安穏天女姫と仲良くなれるように頑張りますので、応援宜しくお願い致します」



 毎朝、こうして感謝の言葉と本日の目標を口に出す。これを日々のルーティーンとしていた。



「……ダルッ。いつにもなく気持ち悪いし」



 あらら、また瑠美がベストなタイミングで入ってきてしまった。毎度毎度の事だが、ノックくらいして欲しい。もしお兄ちゃんが半裸だったらどうするつもりなのか。



「おはよう、瑠美。僕と姉貴は今日からオリエン合宿だから家には帰らないぞ」


「知ってる」


「僕らがいないからって泣くなよ?」


「は? キッモ」



 鼻で笑われるとメンタルにヒビが入る。僕だってそこまで強いワケじゃない。



「いいから、さっさと下降りてってば。奈美ねぇー出たし」


「わかってる。お土産だよ、要らないのか?」



 姉貴はいつも出発するのが早い。朝に遭遇したことないのは早朝にランニングをしているからだ。あの人流のルーティーンらしい。


 虫けらのような目で見ていた瑠美は『お土産』という言葉に眉をピクリと反応させる。



「……じゃ、よろしく。食べ物以外で」


「おう」



 妹と口約束をして、ベットから立ち上がる。


 あぁ、今日もいい天気。


 なにか良いことあるのかな。


 ※ ※ ※ ※ ※



「……ハァ……ハァっ……し、しぬぅ……ぐわあぁ……!」



 ダメだ、序盤から躓いた。全然良いことない。おうち帰りたいよぉ……。


 強烈に頭が痛い。とてつもなく気分も悪くて死にそうだ。頭痛が痛い。頭痛が痛いってなんだ。変な日本語を使っちゃったぞ……。


 揺れるバスの中で僕はひとりうなだれていた。いきなりの前途多難である。まさかバス酔いするとは……。


 頭がぐるぐる回ってるけど、もうテーマパークには着いたのかな……?



「……なにやってんのよ、こいつは」


「おい、大丈夫か……?」


 

 斜め前の菜月はいいとして、隣の席の宗は背中をさすって介抱してくれた。神である。ゴッド玉櫛。コイツになら抱かれてもいい。


 

 「うっぷ……」



「ちょっと! ここでは吐かないでよ!? 吐いたらぶん殴るからっ!」


「海島さん、それはやめたげて……」



 胃が逆流しそうになるのを手のひらでなんとか食い止める。安穏だって前に乗車しているのだ。こんな情けない姿など見せられない……!


 これからバスで一時間半ほど揺られて、国内最大級の遊園地『USJユニバース・スタジアム・ジャポン』へと向かう。今はその道中だ。



 「乗り物酔いというのは【三半規管】が刺激されることで起きる【自律神経の失調状態】のことを言います。恐らく【睡眠不足】などが原因かと。【飴】を舐めたり、外の【景色を見る】ことで症状が少し改善するかも知れませんね」


 後ろの席から肩を叩いてきたドヤ顔のヨッシー。スマホの画面を見ながら、知識をひけらかしてきた。気持ちだけは受け取っておく。ありがとう。



「景色か。じゃあ、席変わろうか? 窓際の方が良いだろ」


「おぉ、すまん。恩に着る……」


「いいってことよ、大親友」



 宗が立って席を譲ってくれる。


 すると、今度は前の席の女の子がひょっこりと顔を出した。手には飴とお薬、そしてピンクの水筒まで持っている。



「善一くん、これどうぞっ……!」


「い、いいのか?」


「もちろんっ……!」



 なんだこの子女神かよ!?


 幼馴染たちの優しさに感謝しながら、飲み口に触れないようにお薬とお水を流し込む。やったね、善ちゃん! お薬飲めたね!



「ぷはっ……ごちそうさま。ありがとう、渚。だいぶ良くなったよ」


「ホント……? よかった!」



「そんなすぐ良くなるわけないでしょ」



 菜月が口を挟んでいたが、今は気にしないでおこう。


 窓から見える景色を眺めながら、手に持っていた飴を開封する。黄色い飴玉からはレモンの味がした。


 景色と言っても高速道路ばっかりだな。


 トンネルへと入っていくバス。車内が暗くなってきたので、僕も目を閉じる。井口くんが言ったように睡眠不足だったのかも知れない。


 薄れゆく意識の僕を乗せて、バスは目的地へ向けて走り続ける。


  ××



「『第一回B組対抗チキチキハゲダニクイズ大会ーー!!』」



「……ん?」



 唐突な大声が聞こえてきて僕は目を覚ます。右隣を見てみると、宗がマイクを片手になんか喋ってた。え、なにやってんの……?



「『さー、クイズ大会のお時間がやって参りました。司会進行を務めますのはこの私、玉櫛 宗と!』」


「お初にお目にかかります。解説の井口と申します」


「『コン研の次期エース、井口義雄の二人でやっていきたいと思いまーす! 井口さん本日は宜しくお願いします』」


「はい、宜しくお願い致します」



 ……なんか始まってた。二人で企画とか考えていたのかな。ヨッシーも堂々と話しているし、ノリノリである。


 早速オリエン合宿らしいレクリエーションが始まったようだった。ともあれ僕はまだ気分がすぐれなかったので、目だけ閉じて事の顛末を耳だけで追ってみることにした。クラス全員参加型のクイズ大会ね。意外に盛り上がりそうだ。



「『それでは早速第一問! デデン! 現在のハゲダニ高校、校長先生の名前をフルネームでお答えください。はい、わかった人は挙手で!』」



 最初は小手調べなのか、極めて真面目な問題だった。校長先生の名前か……そういえば知らないな。入学式でも涙の出る貴重な話をしてたって言ってたけど。


 本来ならばきちんと覚えるべき、会社の社長的存在。頭をひねって思い出してみるが全く出てこない。名乗ってたかな……。



「えー誰だっけ?」

「うーん、覚えてない」

「鈴木っぽくね? ガオーー!!」



 クラスの皆も周りに相談している。僕は山田か山本か麻生とみた。下の名前は太郎?

 


「『おや、手が一向に挙がりませんね。解説の井口さん、これはどう見ますか?』」



 これには司会進行の宗も苦言を呈する。いきなりレベルが高すぎたらしい。



「恐らく誰も校長先生と認知していなかったのでは? あの方は頭皮だけでなく、存在感も薄いので『あ、知らないおっさんがなんか喋ってる』という捉え方をされたのでしょう」



 ……解説員、辛口過ぎない?



「『はい、時間切れー! 正解を井口さんに発表していただきましょうー! どうぞ』」



「正解は”禿 谷夫(はげ だにお)”です」



 そんなド直球なの!?



 思わず心の中で突っ込んでしまう。あまりにもシンプル過ぎて逆に驚いたぞ。一族経営なのかな。


 と、僕は予想外の展開にある意味面白かったのだが、クラスメイトの反応は悪かった。「へー、そーなんだー」「すごーい」とどこかのフレンズみたいな適当な相槌を交わしている。



 ……最初からこの空気はかなりマズイ気もする。てか、一年B組酷いな。誰一人として校長先生の名前言えないって。



 ともあれ、仕切り直しなのか宗も声を張って続いてのクイズへと突入した。



「『んー、難易度が高かったのかも知れませんね。続いて第二問、デデン!』」



 さっきから思ってたが、効果音を口で言ってるのちょっと面白いな。



「『校庭に桜の樹木が植えられていますよね。実はあれは学校建設の時に、県知事が祝いとして初代の校長先生に向けて贈呈したモノだと皆さんは知っていましたか? それでは、このエピソードにまつわる問題です』」



 ……へぇ、そうだったのか。あの桜がね。



 安穏と僕がはじめて出逢ったのも、美しく咲き誇る桜を見ていたのが理由だった。スタンド使いがスタンド使いに惹かれ合うように、まるで運命的な邂逅とも言えた。


 もしや、何か深い意味があって植えられたのか? 県知事がどういった願いを込めてプレゼントしたとか、そういう類の問題か?


 そこにどんな理由があったとしても、後で安穏と話すネタになるのは確実だ。



 なんだよ、宗! そこまで僕を思ってくれていたのか? 最高だ。お前にしては見直したぞ!



 僕は目を開けて、ウキウキ顔で隣を見る。宗はメモを片手に少し間を空けて、次の問題を出題した。




「『初代校長のフルネームは?』」





 付き合ってられん。僕はもう寝る。




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