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革命の幻想詩(ファントム・スペル)  作者: ノアキ
第一章 少年編
5/6

初使用

翌日、魔研室にて授業開始後すぐに昨日覚えるように言われたことばのテストが行われた。

昨日の夜必死こいて覚えたナディは無事に全問正解することができた。

ナディ以外のみんなも全問正解できたようで、一安心していた。


「よし、よく覚えてきたな。全員合格だ。では今日は初級魔法である一節魔法を教えよう。魔法は、難易度に応じて詠唱する呪文の長さが変わってくる。より難易度の高い魔法には呪文の前に詩をつける必要がある。一節魔法というのは魔法の中では最も簡単な魔法の種類で呪文は一つの詞のみで構成される。早速やって見せよう。」


「≪風よエオリアーナ≫」


呪文を唱えると構えた手から強風が発せられた。といっても髪が後ろにもっていかれて目が少し開けづらくなる程度大した威力はなかった。


「風の一節魔法だとこんな感じだ。魔力をどれくらい込めるかによって威力は変わってくるが、一節魔法では大した攻撃力は出ない。ある程度の攻撃力を出せるようになるのは二節魔法からだ。二節魔法ならば一節目に属性を二節目にどのような形で魔法を発するか命令することができる。初級魔法と呼ばれるのはこの一節魔法と二節魔法の二種類だ。今日からしばらくはこの一節魔法の習得を目指していこう。」


ナディたち7人はリグ先生に連れられて屋外の剣術の鍛錬場のとなりにある魔法演習場にやってきた。演習場ではほかのクラスの生徒らが魔法の練習をしていた。見た感じではまともに魔法が成功している生徒はほとんどいないように思われた。


「よし、では早速試しにやってみよう。セラ、ニコル、イーリス、ナディの4人は水の一節魔法を。残りの3人は火の一節魔法をやるんだ。やってみればわかると思うがこれは中々に難しいぞ。」


早速ナディはほかの6人と間をとって試してみることにした。


「≪水よアパール≫」


・・・おや?どうしたことかナディが呪文を唱えたにもかかわらず魔法が全く発動する様子を見せなかった。不思議に思っているとリグ先生はナディに声をかけた。


「おい、ナディ。魔力を込めないでどうやって魔法を使うつもりだよ。そんな調子で大丈夫か?」


あ・・・まさかの魔法を使うというのに魔力を込めないという痛恨のミスをしてしまった。

それは確かに魔法が使えるはずもない。魔力を込めるには魔力判定機を使うときにやればいいはずだ。

右手に意識を集中させる。しっかりと魔力が集まってきていることを感じたら唱える。


「≪水よアパール≫」


ドガガーーーーーーンっ!!!!


盛大な爆発音とともにナディの周りには雨のように水が降りしきった。

ナディの割と近くにいたセラとニコルはナディの魔法の暴発による被害を受けていた。

そして当然の如くセラはナディに文句を言ってきた。


「ナディ!あんた何やってんの!びしょ濡れになっちゃったじゃない!」


「ご、ごめん、まさかこんなになるなんて・・・簡単だと思ったのに案外難しいもんだな」


「なあにが、『難しいもんだな』よ!ほら、ちゃんとニコルにも謝って!」


セラに言われてニコルのほうを見ると呆然として突っ立っていた。これはなかなかやらかしてしまったか?そう思っていたがニコルは思わぬ反応をしていた。


「わぁ、水、気持ちいいなぁ」


・・・怒っているかと思ったらまさか反応。これは怒ってはいないんだろうけど、えー、どう反応すればいいんだ?なんなの?天然なのか?天然なのか?そんな風にナディが困っていると再びニコルは小さく呟いた。


「私もあんな風に水バァーッてやれないかな〜。うーん。」


そう言うとニコルは左手に魔力を集め始めた。


「≪水よ(アパール)≫」


するとそこまでの勢いはないもののきちんと制御の出来た魔法を使うことができていた。どうやら魔法を使うのは今のが1回目だったようだった。初めてでそれは大成功といっていいものなのにニコルはパッとしない反応をしていた。


「あ〜全然ダメじゃん・・・もっとバァッてなんないかなあ」


どうやらニコルは少し感性がずれてるようだ。ナディから見ればどう見てもうまく魔法が使えているのに不満気で失敗したナディの魔法のようにしたがっている。そこへリグ先生がやってきた。


「ニコル、今魔法できてなかったか?」


「うーん、でもナディ君みたいにバァーンってなんなかった・・・」


「いやいや、ナディのあれはただの大失敗ってやつだよ。ニコルがやったようなのが成功なんだ。」


・・・あの先生。わざと聞こえるように大失敗だとか言いやがった。嫌な感じだ。

でもニコルに先を越されるとは非常に悔しい。もう一度試してやる。


そう思って再びナディは魔力を右手に集め始めた。そして十分集まったと感じたところで唱えた。


「≪水よ(アパール)≫」


ドガァーーーーーーン!


再びナディの魔法は暴発し再び雨のように水が周囲に降りしきった。


「ナディ!あんた2回目じゃない!もう少し改善しなさいよ!」


ナディは再びセラに怒られてしまった。でもセラの言うことはもっともである。

何も考えずにさっきと同じようにやって、同じように失敗してしまった。

どうにか上手くやるコツはないものかと考えていると、隣ではリグ先生の指示のもとニコルが再び魔法を使おうとしていた。


「≪水よ(アパール)≫」


魔法によって現れた水は先程よりも威力もあり2回目とは思えないような出来であった。リグ先生も満足気な様子でうなづいていた。


その様子を見て1つナディは気づいたことがあった。

それはナディは魔力を溜めすぎていたということだ。

ニコルはナディと比べたら明らかに少ない量の魔力しか溜めていないことが見てわかった。ということは魔力を少しだけ溜めてやればいいんじゃないかと思い、もう一度試してみることにした。


「≪水よ(アパール)≫」


「よっしゃ!成功だーーー!」


セラはナディの近くで練習をしていたところ再びナディが魔法を使おうとしたため、爆発に備えて身構えたが爆発することはなかった。それどころか魔法が発動した気配もなかった。それなのに何故か喜んでいるナディにセラは声をかけた。


「ねえ、ナディ。魔法発動してないじゃん、なんで成功だなんて言ってんの?もしかして爆発しなかったから成功だとか言ってんの?」


「いやいや違うよちゃんと成功したよ。ほら手のひら見てごらんよ、水が一滴できてるでしょ?」


・・・セラはあまりのしょぼさに呆然とした。果たしてそれを成功と呼んでいいのか悪いのか・・・いや、呼んだらダメだろう。セラが呆れて溜息をついているとナディが不満気な様子で言った。


「なんだよ。そんなの成功じゃないって思ってんのかよ。いいじゃんかさっきみたいに爆発してないんだからまだマシだろ?そんなこと言ってるセラはできんのかよ。」


そう言われて自信はそれほどなかったがセラは右手に魔力を集めて唱えた。


「≪水よ(アパール)≫」


するとニコルほどではないがナディよりは上手く魔力を制御しそこそこの魔法を使うことができていた。


「な、なんだよ。ぜんぜんじゃないか。ニコルと比べたらしょぼすぎるだろ。」


「わかってるわよそんなこと。できないから今練習してるんでしょ?てか、ナディよりは普通にできてる自信あるんだけど・・・まあいいや。」


確かにナディのほうがセラと比べたら明らかに魔法をうまく使うことができていない。

このままセラに負けてはいられない。

そう思い、ナディは気合を入れてもう一度魔法を使おうとした。が、その前にリグ先生に止められてしまった。


「待て待てナディ。焦るんじゃない、そのままやったらまた失敗するぞ?それじゃあ、さっきとやってたのと全然変わらないぞ。もう少しどうやれば魔法をうまく使えるのかとかしっかり考えてからやらないか?」


いや、確かにさっきと全然変わっていないのはわかっている。

でもどうすれば改善されるのか全然わからないのだ。

ナディはもう一度、自分で考えていたがやはり全然アイデアが浮かんでこなかった。

そこで他の6人がどんな風にしてるかとりあえず見てみて参考になるところがないか探してみることにした。


まずは同じ水魔法を練習している人を見てみようと思った。

本当は現状態で一番魔法をうまく使えているニコルにコツを聞きたいところだが、どこかズレているところがあるのであまり頼りにならないと思いやめる。

セラは・・・なんか聞きたくない、アドバイスをくれなんて言ったらまたバカにされる。

やはりはここはイーリスだろう、頭良さそうだし、可愛いし。セラと違ってねー・・・なんだろなんか寒気が?

ともかくイーリスの様子を見てみることにした。

しかし、イーリスもまだうまくできないようで、四苦八苦していた。

これではコツも何も聞けないだろう。


次はレイナを見に行くことにした。

レイナはどこで練習しているだろうかとあたりを見回していると近くで爆発音が聞こえた。

その音源の方を見てみると服と髪の毛が焦げてしまい呆然としているレイナの姿がそこにはあった。

どうやらナディと同じく魔力をこめ過ぎて魔法が暴発してしまったようだ。レイナも苦労しているようである。

その近くではアルバートがそこそこいい感じに魔法を使えていたがアルバートにこつを聞きに行くのは嫌だったのでスルーすることにした。


最後はダンだ。ダンはレイナとアルバートと同じ火の一節魔法を練習していた。


「≪火よ(インセンディウ)≫」


ダンが呪文を唱えるとアルバートと同じくある程度の魔法の制御はできているようで、そこそこ魔法が使えていた。そこで、ナディはダンにアドバイスを求めることにした。


「なあダン、ちょっといい?ダンは魔法使うときに意識していることってあるか?」


「ん〜そうだねー。前読んだ本に書いてあったことなんだけど魔法を使うときはイメージがある程度大事なんだって。それと後は魔力コントロールだね。使いたい魔法に見合うだけの魔力をうまく練るのが大事なんだ。でも理由はよくわからないけど魔力がしっかり魔法に変わらなかったりしてなかなかうまく出来ないんだよねー」


なるほど、イメージと魔力コントロールか。ナディはこの二つを意識してもう一度魔法を試してみることにした。

ナディはアドバイスをもらうためにダンに一度見てもらえるか頼むと快くいいよと言ってくれた。

一応失敗してしまうことも考えてナディはダンに少し離れめにいてもらうことにした。イメージするのはニコルの魔法。

イメージ通りにするために必要な魔力はだいたいこれくらいで・・・


(アパ)・・」


「す、ストップ!ナディ君ストップ!」


ナディが魔法を使おうと呪文を唱えかけたところでダンに止められてしまい、中途半端な感じになってしまった。その結果・・・


ドガァーーーーーン!!!


今回の爆発では水魔法が暴発したのではなく魔力が水の性質に変わろうとしている中途半端なところで止められたため、水が散るのではなく、集められた魔力が周囲に四散し、その魔力の塊がナディとダン、ついでに近くに寄ってきていたリグ先生に命中した。命中した勢いでナディとダンは2メートルほど吹き飛ばされた。


「おい!ダン!何してくれてんだよ」


「いや、ごめんねナディ君。でもあのまま魔法使ってたら絶対に暴発してたんだもん。魔力溜めすぎだよ。」


自分の中ではきちんと調節したつもりだったのでそんなことはないだろうと思っていると命中した魔力弾を軽く弾いたリグ先生が声をかけてきた。


「ダンの言う通りだ。確かにさっきの状態で魔法を使えば絶対に魔法が暴発していただろう。如何してそう魔力をこめすぎたりこめなさすぎたり極端になってしまうんだ。その間はできないのか。」


そんなこと言われてもナディ的には今回は割と調節できていたつもりなので困ってしまう。


「はぁーやっぱ魔力コントロールがもっとできるようにならないとダメだなあ。因みに言うとさっき溜めていたくらいの魔力量で魔法をうつことはいずれは可能になる。現在の状態、というか現在のお前のザーナの能力ではそれだけの魔力量を処理することはできない。ダン、さっきお前も練った魔力が上手く魔法に変わらないって言っていただろう?それもザーナの魔力処理能力が影響している。」


ザーナ?ザーナって確か人間の魔力を支配してる深層心理に潜む存在って昨日説明したような・・・


「ザーナってのは生物と同じで特訓するとドンドン成長して能力が上がっていくんだ。まあ、もう少し後に教えるつもりだったんだがこの機会にザーナについてもう少し詳しく教えよう。」


そう言うと他の場所で特訓していた5人を集めた。


「よし、今から魔研室に戻って『ザーナ』について詳しく説明しようと思う。みんな一度戻るぞ。」


そして7人は先生に連れられて魔研室へ戻って行った。


本当はもう少しいっても良かったんだけどこの続きがなかなか長い感じなんでここで区切りました。次回、ザーナとは何か?

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