仲間
日本語が下手なのはお見逃しを・・・笑
1人目の生徒を皮切りに次々と魔力判定を行なっていく。半分くらいが終わった頃にセラが判定を行うことになった。
セラは教師の指導のもと、魔力判定機の中心にある球体に手を置き、集中して唱えた。
「≪魔力放出≫」
すると他の生徒同様魔導具全体に魔力が広がっていた。その結果は素晴らしいものだった。
「セラ君、すごいぞ!君には水、雷魔法に加えて二群の念魔法にも適正がある!魔力量も申し分ない。素晴らしい」
教師にそう褒められると嬉しそうにセラは笑った。そして嬉しそうな顔でナディとガイルの元へ来た。
「どうよ、2人とも。私ってすごくない?剣術も出来て魔法の才能まであるなんて。羨ましいでしょ〜。ねーナ〜ディ!」
「は?何言ってんの?俺の方がセラよりも絶対すごい素質あるからな?見とけよ、すぐに証明するから。」
と言いつつもナディは内心すごく焦りを感じていた。
本当にセラはなんと万能な幼なじみなのだろうか。
このままセラに全て負けてはたまらない。
良い結果が出るのを待つばかりである。
ナディとガイルはセラに触発され魔力判定の順番待ちの列に並んだ。まずはガイルからの判定だ。
「≪魔力放出≫」
ガイルの結果もセラに劣らずなんとも立派なものであった。ガイルも一群魔法だけでなく二群魔法の強化魔法に適正があったのだ。ちなみに一群魔法では土魔法に適正があった。
「よぉぉぉしっゃーーー!!!強化魔法来たーーー!!!」
判定が出るとガイルは大きな声だ叫んだ。非常にうるさく、耳が割れそうだ。
「ガイル、お前うるさいよ。でもよかったな。念願の強化魔法に適正があってさ。」
「おう!もう、嬉しすぎて涙が出そうだよ〜」
いや、もう既に号泣してるじゃんかとは思いつつも何も言わないでおく。
セラに続きガイルまでがこのようないい結果だとさすがにナディも緊張せずにはいられない。次はいよいよナディの番だ。
「よし、ナディ君。まずは中心の球体に手を置くんだ。そう、そしてその手に集中。」
この時ナディは目を瞑って集中していたため気づかなかったが他の生徒とは明らかに桁の違う魔力がナディの右手に集まっていて皆ナディの方に気を向け始めた。
「よし、そのまま集中を保ったまま唱えるんだ。」
「≪魔力放出≫」
呪文を唱えると一際強い光を放ち魔力が魔導具全体に広がった。
「こ、これは!すごい!こんなの初めて見たぞ!」
教師は驚きの声をあげ結果を伝えた。
「まず一群魔法は全てに適正がある。そして二群魔法の中でも3つも適正があると判定されている。光、影、空の3つだ。魔力量も非常に高い。こんな結果を初めて見たぞ。」
ナディの結果は誰がどう見ても素晴らしすぎる結果であった。
なんと8つもの魔法に適正があるとは衝撃的である。
「ナディどうしちゃったの?なんか凄すぎない?あーあ、いつもの微妙にダメなナディ君はどこに行ってしまったんでしょう」
「は、は?と、当然だし、こんな結果。どうだ見直したか?」
セラには粋がって言ってるが自分でも自分のこの結果にひどく驚いていて心の中がいろいろ荒ぶっていた。
ナディの結果にクラス中が騒いでいると隣の魔法準備室から例の妙なフードの新任教師が現れた。
生徒たちは不気味な気配を察知し一気に静まりかえって現れた男の方を見た。
「どうしたんですか?大変盛り上がっている様子ですが・・・ほう。これはこれは・・・」
リグ先生はナディの結果を見て口元をニヤニヤさせながらふんふんと頷いていた。
「この結果を出した生徒は?」
そう聞かれてナディは手を挙げた。
「そうか、君がこの結果を出した生徒なんだな。名前は何という?」
「ナディ・ローリンス、です。」
「そうか、ナディ君、君はこれからの魔法の授業は北塔4階にある魔法研究室に来てくれ。君には類い稀な才能ががあるようだ。君を特別クラスに招待する。」
特別クラスに招待されたのはナディにとって非常に嬉しいことであった。自分に類い稀な才能があるとまで言われた。これは頑張るしかないと思いナディは気合を入れた。
そんなナディの横でセラは何か言いたげな様子でナディのことを突いてきた。
「セラ、どうかしたの?もしかして、俺に魔法の才能で負けてるからって悔しがってるのか?」
ナディがケラケラ笑ってそう言うとセラは少しだけ怒った様子になった。
「ち、違うよ!そう言うことじゃないの!もう!えっと、あの、リグ先生!」
ナディへの話が終わり魔法準備室へ戻ろうとしていたリグ先生をセラは呼び止めた。
「あの!私も先生の授業に参加させてもらえませんか!?」
「ふむ、君も特別クラスに入りたいのか?特別クラスに入るにはそれなりの素質がある必要があるが大丈夫なのか?」
「わかんないですけど大丈夫だと思います!えっと、適正魔法は水、雷、念の3つで魔力量は中の上くらいだと言われました!」
セラがそう言うとリグ先生はしばらく悩んだあと答えた。
「分かった。君の参加も認めよう。二群魔法も使えるようだしそれなりの素質は持っているように見受けられる。君ならば私の授業についてこられるかもしれない。では名前を教えてくれないか?」
「はい!セラ・ホーネットです!」
「了解した。では、セラ君。君もナディ君と一緒に魔法研究室に来るように。」
「ありがとうごさいます!」
どうやらセラもナディと一緒にリグ先生の特別授業を受けることが決まったらしい。
特別クラスに選ばれたものの、知り合いがおそらく1人もいないであろうクラスに1人で行くのには少々不安があったのでナディは安心した。
リグ先生が退散すると残りの生徒の魔力判定が再開された。残りの生徒には突出した結果が出ることもなく、サクっと全員分の魔力判定が終わった。
****
翌日、二度目の魔法の授業があり、ナディとセラはみんなが授業を受ける魔法塔の教室ではなく昨日リグ先生に言われた通り北塔にある魔法研究室へ向かった。
教室に着くとすでに4人の生徒がいて、適当な席に座っていたため二人もそれにならって適当な席に着いた。
二人が席に着いたのとほぼ同時に再び教室の扉が開かれ、リグ先生が現れた。
「おはよう諸君。もう全員そろっているか?おや、まだ一人来ていないようだな・・・」
すると教室の外から階段を駆け上る音がしてきて、勢いよく教室の扉が開かれた。
「すみません!少し遅れました!」
「イーリス君だね?これからはもう少し余裕をもって来るように。」
遅れてやってきたイーリスという名の少女が返事をして席に着くと、早速授業が開始された。
「よし、では全員がそろったところで早速授業を始めよう。一昨日紹介されているので知ってはいると思うが改めて自己紹介をさせてもらおう。私の名はリグ=ヴェーダだ。これから君たちの魔法の授業を担当させてもらう。君たち7人が何故集められているかは分かってはいると思うが人並み以上の魔法の才能があると判断されたためだ。よって一般生徒が学ばないようなより高度な魔法が使えるようになることを目的に授業を行っていく。続いて君たち7人の自己紹介をしてもらおう。一人ずつその場に立って自己紹介してくれ。ではまずは先ほど遅れてきたイーリス君から始めてくれ。」
そう言われると先ほど遅れてきた、美しい銀色のロングヘアーが特徴的な小柄でかわいらしい顔をした少女が立ち上がり自己紹介を始めた。
「私の名前はイーリス・アストラルです。イーリスと呼んでください。適正魔法は水、風、光の4つです。剣術はあまり得意ではありません。趣味は書物を読むことです。しばしば読書に集中しすぎてしまい時間を忘れてしまいます。実はさっきも非常に面白そうな本を見つけてそれを読んでいたらいつの間にか時間がたってしまっていて遅れてしまいました。これからよろしくお願います。」
「よし。では次、レイナ君。」
呼ばれて立ち上がったのは黒髪のセミロングの髪を後ろで一つに束ねた髪型の如何にも活発そうな少女だった。
「はい。私の名前はレイナ・サリバンです。レイナと呼んでください。適正魔法は火・土・付与の3つです。体を動かすのがすごく好きで剣術はすごく好きです。でもそこにいるセラさんには今まで勝てたことがないです。いつか魔法も交えた勝負で必ず倒したいと思っています。これからよろしくお願いします。」
随分とセラに対抗意識を燃やした奴がいたもんだ。
セラの顔を見てみるとレイナの宣戦布告には乗り気なようでわくわくした顔をしていた。
「次はアルバート君。」
呼ばれて立ち上がったのは校内でも有名な容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群のイケメン君であった。ナディは正直言ってこういう人種が苦手であった。
「僕の名前は、アルバート・ハプスブルク。気軽に僕のことはアルと呼んでくれ。適正魔法は火・水・風・雷・土の5つだ。二群魔法は使えないのだが適正魔法が多いのと魔力量が多いのでこのクラスに選ばれることができた。みんなに負けないように精一杯頑張ろうと思う。これからよろしく頼む。」
別にこれと言って挨拶が気取っているというわけではないのだがなんとなくナディは嫌な気分で嫌そうな顔をしているとアルバートがこちらを見てにっこりと微笑んできた。
全くこれだからイケメンてやつは・・・そういうのは女子にだけやっていればいいのにと心の底から思う。
「では続いてダンフォース君。」
呼ばれたのはメガネをかけた少し地味めで小柄な男子であった。天パのかかった黒髪は整えられることなくいろんな方向にはねてしまっていた。
「僕の名前はダンフォース・レイモンド。ダンと呼んで欲しいです。適正魔法は火・風・光の3つです。好きなことは勉強で正直魔法も剣術も出来なくていいと思ってました。でも折角このクラスに選ばれたので頑張ってみようかなと思ってます。これからよろしくお願いします。」
もう少しおどおどした感じかと思ったが思ったよりもハキハキとしていて話しやすそうな感じで、なんとなく気が合いそうな感じがしたのでナディは仲良くなろうと思った。
アルバートのようなイケイケな奴よりよっぽど自分に合うと思う。
「よし、次はニコル君だ。」
呼ばれて立ったのは軽くウェーブのかかった栗色の髪の毛に淡い青色の目をした少女だった。
「はい。私の名前はニコル・カタリーナです。ニコルと呼んでください。適正魔法は水・影・移動の3つです。あまり自信はありませんが精一杯頑張ります。」
ニコルの声は小さめで聞こえにくかったが澄んだ鈴の音のような声ですごく可愛らしかった。
「よし残りはあと2人だな。ではまず、セラ君から。」
「はい。私の名前はセラ・ホーネットです。セラと呼んでください。適正魔法は水・雷・念の3つです。剣術はとても好きです。レイナさん、あなたの挑戦受けて立ちます。何度でも私と勝負しましょう。絶対に勝ち続けて見せます。よろしくお願いします。」
そう言うとレイナは対抗心むき出しの目でセラの方を見てきたのでセラも見返すと2人の間には火花が散っているかのように激しい視線が交わされた。
「次で最後だ。ナディ君。」
呼ばれてナディは立ち上がり自己紹介を始めた。
「僕の名前はナディ・ローリンスです。ナディと呼んでください。適正魔法は火・水・風・土・雷・光・影・空の計8つです。これだけの多くの適正魔法があるので全てを使いこなすのは大変だと思いますが頑張って全て使いこなせるようにしてみせます。ちなみに剣術は全くと言っていいほどできません。これからよろしくお願いします。」
ナディの自己紹介にはすでにナディの適正魔法を知っているリグ先生とセラ以外のみんなが驚いていた。アルバートのクールな顔も驚きで一瞬だがイケメンとは呼べないようやと顔になってしまっており、ナディは非常に愉快な気分であった。
「よし。これで全員の自己紹介が終わったな。では今から基本的な魔法の使い方から教えよう。」
そういうとリグ先生は黒板に一群、二群魔法の全13種を黒板に書き連ねた。そして各魔法の横にある言葉を書いていった。
「今書いたのは各属性の魔法を使う際に唱える呪文の決まり文句だ。例えば火魔法を使うときは『インセンディウ』と風魔法を使うときは『エオリアーナ』という詞を必ず入れなければならない。これは人の心の深層でその人の魔力を支配しているといわれている『ザーナ』と呼ばれる存在に各属性の魔法を使うためにその人の体内の魔力をその属性に変質させるよう命令するためだ。なにも命令していない状態で魔法を使用すると人間のもともとの属性である無属性の魔法が使用される。属性魔法を自由に使いたいのであればまずは意地でも全ての詞を覚えることだ。」
ちょうどそのとき授業の終了のベルが鳴り響いた。
「本当は今日から早速基本の一群魔法の一節魔法を使わせてやるつもりだったが時間も時間だし今日のところはやめておこう。そうだ、明日の魔法授業までにこの13種類の詞を覚えてきたら使わせてやろう。覚えてこなかった奴には使わせることはできない。あと勝手に家で魔法を使ってみようとか思うなよ?お前らが初等学校に通っているうちは校外で使っていい魔法は学校で担当教員に使ってもいいと許可をもらった魔法だけだ。使ったらどうなるか・・・」
そう言って薄気味悪い笑みを浮かべてこちらを見てきた。この先生は本当に何をしてくるかわかったもんじゃない。それよりも明日までに13個の詞を覚えなければならないと魔法を使わせてもらえないとは・・・絶対に明日までに覚えて明日こそ魔法を使うぞ!
今回こそナディ君に魔法使わせてあげれると思ったんですけどね!無理でした!笑
次こそ使わせてあげられます。