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05

 その後勢いに任せて突入したらゴブリンに気を取られているうちにリーダーのほうに殺された。

 とりあえず頭を冷やす意味も込めて、無料提供されている冷水を取ってきてベンチに座る。ただの水道水であるため料理にあるステータスアップ等の効果はないのだが。

 イウでは味覚も再現されているのだ。なんでも大手食品メーカーやファーストフードのチェーン店、レストラン経営店も協賛企業として味覚データ等を提供したんだとか。

 また、イウでは料理を食べると不思議なことに一時的に満腹感が現れる。脳のどっかを刺激しているのだろうか。ただし、持続時間も短めだしリアルに戻るとリセットされるため問題はない。

 ゲームやってて餓死、なんて冗談でも笑えない。実際にVRゲームの黎明期にはそのような事件も年に何件もあったらしいし。その頃は味覚も今ほど再現されてるわけじゃないし、腹が膨れたかも定かじゃないが……。

 それはさておきゴブリンの攻略法を考えないと。

 さっきは片手剣と銃で行ったけど、武器を変えてみようかな。

 ちなみに、レベル14で支給されるのは片手剣、銃、大剣、槍、魔杖、防具一式となっている。最初に選べるものと一緒だ。あと、スキルと回復アイテムは銃弾以外無し。鬼畜だと思う。

 ただ、あの狭い道だと大剣と槍は使いにくいんだよなぁ。魔杖だと内装されているスキルに頼るしかないからそのうち対処しきれなくなるし。

 魔杖系の武器には他の武器と違ってスキル(つまり魔法)が1つ内蔵されており、この魔法に関しては詠唱なしで発動が可能だ。また、魔法系のスキルを取ることで詠唱は必要だが使用することができるようになる。ただし、魔杖では敵の攻撃を防御することはできない(正確には防御してもダメージが丸ごと通る)ため、ボコボコにされるのが目に見えているため使わない。

 まぁ取りあえず大剣を使ってあの広場まで行けるか試してみるか。


「トレーニング、レベル14」


 トレーニングルームに入り戦闘訓練を選択、音声入力でレベルを設定する。

 すると、一瞬視界が歪んだかと思うと周囲の景色が一変した。すぐ後ろにあった扉や壁が消え、俺は日差しが差し込む森の小道に立っていた。

 最初は驚いていたが、トレーニング回数もすでに二桁を超えてかなり経っているため新鮮味が無くなってきた。レベルが上がったらまた違う景色が見れるため、早くクリアしたいところだ。

 そんなことを考えていると、俺の前に数枚の光り輝くカードが出現する。取りやすいようにか目線の高さで浮いている。

 このゲームではすべてのアイテムがカードとなっていて、基本的にカードを手にとって『解放(オープン)』と唱えることによって実体化する。

 カードの種類はいくつかあり、武器・防具などの装備品が当てはまる『weapon(ウェポン)』、消費アイテムやモンスターが落とす素材が当てはまる『item(アイテム)』、魔法や技などのスキルを使うのに必要な『skill(スキル)』、そして、その他が『unique(ユニーク)』となっている。

 手に取ったアイテムは『バトルソードⅡ』等のバトルシリーズⅡ。βの終盤で出てきた物らしいので今の時点ではかなりの強さだろう。持ち出せないけどな。

 カードを後ろ腰にあるバックパックに収納し、パチンッ、と右手でスナップしてシステムウィンドウを出現させる。ちなみに音は鳴らなくても大丈夫らしい。「右手でスナップした」と認識することがキーになっているのだ。

 ウィンドウを操作して防具一式を装備する。すると、俺の身体が、正確には身に纏っていた装備が光り輝き、一瞬でバトルシリーズ㈼に変化する。ラグナロクとは別に昔やってたゲームであった一瞬下着姿になる等の仕様はないらしい。装備はウィンドウを開かないと変更できないため、戦闘中に変えることは難しいんだが。

 で、次は武器なんだが……何にしようかな。うーん、大剣で行くつもりだったけど、ラグナでも大剣なんてあんまり使わなかったし自信無いなぁ。まだ槍の方がいいかな?

 そんなことを考えていると、ふとステータスの『カードホルダー』という欄が目に入った。カードホルダーとはその名の通りカードを入れて置ける場所で、ここに入れたカードは戦闘中でも瞬時に呼び出せる。入れられる枚数は最大6枚で、スキルはここに入れないと使えないためスキル選択ではみんな悩むらしい。まだ1枚もスキル持ってないから使ったことないけど。


「…………」


 思ったんだけどさ。ここに武器入れられるんじゃね?

 剣と銃を装備して、残りをホルダーの上に指で引っ張って行き、離す。

 すると、3つの武器はポンッ、と音を立ててホルダーの欄に収まった。


「きたっ!」


 早速ウィンドウを閉じて、まずは大剣を取り出そうとするが……出ない。

 あれ? こういう類のものって念じれば出るんじゃないの?


「バトルスラッシャーⅡ!」


 ……爽やかな風が肌を撫でた。

 大剣の名前を叫んでも出ない。何でだ? もう他に出す方法思いつかねぇぞ?

 うーん、と悩みながら取りあえずトレーニングのスタートラインから出ない程度に歩き回っていると、腰に収められていた剣と銃がガシャガシャと鳴った。


「……あ」


 こいつらがあるからダメなのか?

 取りあえず剣と銃を外し、もう一度試すことに。


「バトルスラッシャーⅡ!」


 すると、前に突き出した手のひらに収まるように光が出現し、それが段々と縦に伸びて大きな剣の形を成した。形が出来上がると光りが収まっていき、鈍く輝く大剣が現れた。

 柄を掴んだ瞬間に重さが手に掛かり思わず落としそうになってしまうが、何とか受け止める。

 この間、大体10秒ちょっと。


「うーん……」


 成功したのは嬉しいんだが、もうちょっと早くなんないかな? 戦闘中だと完全に隙だらけだ。

 それとも、使っていくうちに早くなんのかな。


「まぁ取りあえず、ここを突破するか」


 スキル枠が減るのは痛いが、たくさんの武器を使うのは俺の趣味にあってるし、使いこなせるように頑張るか。


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