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初作品です。どうかお付き合いください。

ミス、疑問点や、ここはこうした方が良いなどありましたらご指摘お願いします。

 空は赤黒い雲で覆われ、天使や神の名を(かた)った怪物たちが跋扈(ばっこ)する世界。

 その世界に陽が差すことは既に無くなって久しく、ひたすらに気が沈むような光景が永遠と繰り返されていた。

 そんな終末へのカウントダウンが秒読みに入った世界のとある橋の上を、俺は周りの怪物たちを薙ぎ払いながら駆け抜けていた。


「ハッ!!」


 巨大な石造りの橋を走りながら大剣を片手で振り回し、天使という名の異形の怪物たちを吹き飛ばす。

 面白いように吹き飛ぶ天使たちを尻目に、陣形を切り崩したことによって生まれた僅かな道に大剣を叩き込み、強引に押し通る。

 とはいえ、こちらは生身で天使や神の持つ理不尽な闇の加護はないため、攻撃を喰らったら即御陀仏だ。神経をフルに集中させ、鍛え抜いた空間把握能力で自分に向かう全ての攻撃を察知し、時には(かわ)し、時には大剣で相手の攻撃が当たる前に斬り払う。

 しかし、相手は無限に湧く化け物で、敵の本拠地も近いため加護も強い。大剣を振りまわして強引に突き進んでいたが、先に大剣の方が耐え切れなくなったのか、天使を振り下ろしてきた剣ごと叩き斬った時に、ピシッという嫌な音が耳に届く。


「まずっ!」


 大剣の他にも一応腰のホルスターに二丁拳銃は収まっているが、威力は大剣に比べたら心許ない。

 相変わらず突っ込んでくる天使をいなしながらも慌てて周囲を確認すると、天使の壁の向こうに敵の部隊の隊長に値する、槍を持った下級神がいるのを発見する。ちょうどいい、いただいてしまおう。

 壊れかけの大剣で立ちはだかった天使たちを一撃で消滅させ、下級神と相対する。神とはいっても(まが)い物であるため、その姿は非常に禍々しいもので、2、3メートルはあるその身に纏う黒い甲冑からは不気味な瘴気のようなものが立ち上がっている。

 先手必勝とばかりに大剣を振り下ろすが、天使ほど簡単にはいかないようで、その手に持った槍で防がれる。

 その瞬間、ピシピシッという嫌な音とともに、大剣に明確な亀裂が走る。もう長くは持たないだろう。


「ちっ」


 舌打ちをひとつして、槍を持つ右手を蹴り飛ばすと同時に左腕の鎧と鎧の隙間を狙って大剣を放つ。剣先は狙い違わず下級神の左腕を斬り飛ばし、また、その身に刻まれた亀裂を広げた。

 片腕を斬られて苦悶の叫びを上げる下級神を無視して、既に限界を迎えている大剣をその鎧の上から叩きつけ、すぐさま大剣を放棄し、二丁拳銃を引き抜く。

 だが、紛い物でも流石は神と言うべきか、これくらいでは怯みもしない。そのまま槍を突き出してきた。

 天使の一撃ですら喰らうとヤバいのに、下級神の攻撃なんて喰らえる訳がない。銃床(フレーム)を槍頭に叩きつけて()らして懐に潜り込み、そのまま頭に至近距離かつ連続で銃弾を叩きこむ。

 ズガガガガッ!! という音とともに鎧の上からとはいえ何度も急所を銃撃されたことで下級神は硬直(スタン)し、その隙に槍を持つ右手に銃把(グリップ)を叩き落とし、鳩尾(みぞおち)を蹴り飛ばして槍を奪う。手に取った瞬間に視界の端にに浮かんだ情報を見ると、この『劣化グングニルの槍』は先程失った大剣の2倍以上もの性能を誇るようだ。


「グァァァアアア!!!」


 硬直から回復した下級神が赤いライトエフェクトを放つ右手を向けてくるが、圧倒的性能を誇る魔槍を一閃することで吹き飛ばす。そのまま止めを刺そうとするが、視界の隅で光るものを見て慌てて全ての行動を中断(キャンセル)し、両足に力を込めて空高くへと飛び上がる。

 すると、飛び上がった次の瞬間には今まで立っていた場所に光の弾丸が次々と突き刺さり、死にかけの下級神や周りにいた天使たちを巻き込んで大爆発を起こした。


「あー、こりゃまた……」


 煙が晴れると橋に大きなクレーターが出来ているのに辟易(へきえき)とする。あんなの喰らったら生きていられるわけがない。

 そして、上空で次弾のエネルギーを溜めていた空戦型の天使たちを()の偉人、源義経の八艘跳びよろしく蹴りつけながら移動し、時には槍も使い、擦れ違いざまに次々に()としていく


「……っと!!」


 後ろから迫った数発の光弾を槍で薙ぎ払い、打ち消す。今のは正直危なかった。最悪気付かないで突然の後方からの衝撃で即死していたかもしれない。


「仕方ないか」


 このままでは(きり)がないので、空中に魔法陣のような足場を出現させそのまま跳ぶ。燃費が悪いため何回も使いたくはないのだが、このままでは時間が掛かり過ぎてしまうので致し方ない。

 何回か跳び、橋の全長の3分の2に差し掛かったあたりで下へと降りる。そのまま降りると囲まれてしまって危険なので、着地すると同時に槍に光り輝くライトエフェクトを纏わせ周囲十数メートルを斬り払う。


「はぁぁぁあああ!!!」


 轟音とともに光が弾け、見える敵全てが吹き飛び消滅した。

 だが、そのまま少し進むと地面から闇のような(くら)い色の炎が噴き出し、その中から同じく昏い色の外套(ローブ)と帽子に身を包んだ男と(おぼ)しき者が現れる。

 手には角笛のようなものを持っているが、その手はいくつもの部品で出来た機械のようであり、アンドロイドか何かのような印象を受けた。


「よく来た、小さき者。だが……それもここらで仕舞いである」


 男が語り、同時にその目が影の中で赤く灯る。

 視界に表示されたのは『Heimdall(ヘイムダル)』という名。角笛ギャラルホルンの持ち主で、虹の橋ビフレストにてアースガルズの見張り番の役目を負う北欧神話の光の神である。

 ヘイムダルがこちらをジロリと見た。その瞬間、視界が歪んだように感じるほどの明確な嫌な予感を感じ、槍を構えてヘイルダムに向かって力強く飛び出す。

 そのままヘイムダルは自然な動作で足をトンと鳴らす。すると、次の瞬間俺のいた場所の周囲360度全てに赤い魔法陣が出現し、爆発した。


「……ちっ!」


 前へ飛び出していたことで爆発を回避し、そのまま槍を突き出す。それに対してヘイムダルは手に黒い光を集め、その光が巨大な剣の形を成し槍を弾いてくる。

 返す刀でこちらを斬り裂こうとしてきたので横に跳んで回避し、すぐさま魔法陣による空中ジャンプによって頭上から強襲する。

 振り下ろした槍は物理的な切断力を持つ右手で防がれたが、そのまま顔目掛けて蹴りを繰り出す。

 今度は角笛を持つ左手で防がれるが、槍に力を込めて一瞬だけだが身体がぶれないように固定しつつ、片方のホルスターから銃を引き抜き、零距離で拳銃を乱射する。

 しかし。


「ちっ、まだ割れないか」


 大きく距離を取った後、何度目になるかわからない舌打ちをして、ヘイルダムを包んでいる半透明のバリアのような物を憎々しげに眺める。あれがある限り、ヘイルダム本体にはダメージが入らない。あれを割るには、一定値以上のダメージを与えるか、左手に持つ角笛ギャランホルンを手放させるしかない。

 数瞬の小休止を置いて、再び動き出したのはヘイルダムの方が先だった。

 ヘイムダルの目が光ったと思った瞬間に俺の周囲全てに魔法陣が次々と展開する。

 慌てずに爆発する前にライトエフェクトを纏った魔槍で全ての魔方陣を斬り裂き前を見ると、ヘイルダムが突き出した右手に青い魔法陣が多数展開しているのが見えた。


「……排除する」


 どことなく機械的な話し方のヘイルダムは、そう呟くと同時に腕を振り下ろし、魔法陣から大量の氷柱(つらら)が飛来してきた。

 氷柱はひとつひとつが必殺の威力を纏った凶悪な代物で、風穴を開けたくなければ避けるしかない。


「死ぬのは勘弁!」


 最初の数発の氷柱を槍で弾き、氷柱が飛来する間隔のあるかないかの隙を見極めて、ヘイルダムの左手側に回り込むように走り出す。

 自分のすぐ後ろを通過する巨大な氷柱に内心肝を冷やしながらもヘイルダムに接近し、その身体を棒高跳びのように跳躍して飛び越え、反対側に着地した。その際、空中で槍を投擲(とうてき)し、ヘイルダムが気を取られている隙にその無防備な背に向かって2つの銃を連射する。

 ガガガガガガガッ!!! という掘削音のような音が響き渡り、ヘイルダムの纏ったオーラに亀裂が走る。

 そのチャンスを見逃さず、こちらを振り向こうとするヘイルダムに両手の銃を投げつけ、一瞬の隙をついて落ちてきた槍を掴み、そのまま突き出す。

 突き出した魔槍はオーラに阻まれるが、ついに限界を超えたのか、ガラスが割れるかのようなを音を放ち、槍はオーラを貫通してヘイルダムに突き刺さった。


「喰らえ、グングニルの槍ッ!!」


 実際は偽物なのだが、俺の声に呼応するかのように槍は強いライトエフェクトを放ち、ヘイルダムを壁のような大きさの橋の欄干まで吹き飛ばした。

 轟音とともに壁に激突したヘイルダムは恐らく硬直(スタン)しているが、無理に追撃はせず、さっき無茶な使い方をした二丁拳銃を拾ってホルスターに収め、砂埃の中からヘイルダムが現れるのを待つ。

 やがて、煙が晴れて姿を現したヘイルダムは手を虚空に掲げる。すると、ホログラムのように0と1で何かの形が形成されて行き、次の瞬間にはその手に光とともに角笛ギャランホルンが現れた。


「…………」


 ヘイルダムは何かをボソボソと呟き、左手に持った角笛を吹く。

 すると、ヘイルダムの周囲に真っ黒な、闇の焔とでも言うべきものが渦巻いていき、その身体を完全に包む。

 そして、焔は一気に膨張し、普通の人間サイズだったヘイルダムは何メートルもある黒い魔物へと姿を変えた。

 機械のようなその身体には脈動する闇の焔が(うごめ)いており、額に角のような形となって現れたギャランホルンが妖しく輝く。


「小サキ者ヨ、誉メテヤロウ。ダガ、貴様ハココデ死ネ!!」


 GURUAAAAAAAAAA!!! と、黒き魔物は咆哮する。

 さて、ここからが本番だ。

 よし、と気合を込めて、俺は槍を握りしめ駆け出した。



 ◆ ◆ ◆



 目を開き、首の下のハーネスを外して頭に装着したVRSを取り外す。VRSの電源を落とし、代わりに勉強机の上にあるパソコンを起動する。窓の外を見ると、さっきまで降っていた雨は止んでいるようだ。


「さて、と」


 ネットを繋いでチャット機能のあるソフトを起動する。暇つぶしにゲームでそこまで難しいわけじゃない程度のミッションをやっていたため、約束の時間まではもう少しだ。と言っても、一度完璧にクリアしたはずなのに何度か危うい場面があったのだが。それでも一発でクリアできたのだから、このゲームにしては簡単な方だろう。

 起動までの少しの間に視線を彷徨わせると、机の上に置きっぱなしだったゲーム雑誌が目に入った。制作中の新作ゲームの特集が組まれており、表紙にもそのことについてでかでかと書かれている。


 ———おもしろき こともなき世を おもしろく


 今からわくわくしている自分に気が早いなと少々呆れながらも、俺はパソコンの画面の向こうにいる友達に向けて何を話そうか考え始めた。


完結まで頑張っていきたいと思いますので、どうかお付き合いお願いします。

1/2 全体的に読みやすいように改訂……するはずが、もはや別文章へと変貌を遂げた気が……ごめんなさい。


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