第一話 始まりの夜
人は皆、守られ続けている
そう言われても信じるだろうか?
しかし、それは現実だ。
そして今、この瞬間も守られ続けている。
君達の良く知る者たちに・・・
私は鎌田 泉美
黒雲中の三年だ。
芸術一家の三姉妹の一番下。
絵だけは上手い自信がある。
何せ芸術だけは内申が10なのだから。
姉の影響でオタクになり姉の影響で世間で言う「腐女子」になった。
まあそこは恥じてもないしむしろ姉に感謝している。
来週で中学生が終わる。
卒業式があり、そして二日後には高校受験だ。
平凡で普通で何も起きなかった中学時代。
高校では何か変わるだろうか。
そんな事を考えていると後ろから私を呼ぶ声がした。
振り返ってみるとそこにはいつも喋る三人がいた。
右から中俣、阪井、菱田。
みんな男子だが、話が合う。
オタクだが・・・
「ぼーとしてどうしたん?」
そう言ってきたのは阪井だった。
阪井 亮
三人の中でも一番喋るやつだ。
ゲーオタで四人の中で一番ゲームのプレイ時間が多いのは当たり前。
しかしゲーム以外も色々知っており、本人は
「広く浅く、たまに深く」と言って色々やっている。
私がBL漫画を貸していた時もあった。
そのため腐女子会話も出来る仲だ。
「考え事」
「へ~何何、恋の悩み?いつでも聞くよ」
そう探ろうとしているのが 中俣だ。
中俣 鷯
パソコンが好きでパソテクなら世界でも通用するのでは?と思うくらいすごい。
私達のなかで一番頭が良い
いやこの黒雲中で一番
「もうそろそろHR始まるで」
「あっ、そうか。ありがとう」
いつもどうり終わりすぐ帰宅した。
しかし家に帰ってもする事はない。
勉強もやる気ナシ。
ぼーとしていると下から「ご飯やでー」と母の声がした。
今日はコロッケだ。
何も話さず食べていると母が話しかけてきた。
「勉強は進んでるの」
「ほどほどにわ」
「母さんのためにしてるんじゃないからね。自分のためにしてるんだから」
「分かってるって」
わかってない。
これ以上何か言われたら面倒くさいので私は風呂に入りすぐ布団に入った。
目を閉じるとすぐ寝れた。
昨日までと同じ日々。
今日も、そして明日も同じだと思っていた。
しかしそれはちがった。
何故か目が覚めた。
時計は3時ぴったりだ。
しかし妙だ。
秒針が止まっている。
電池が無くなったのか。
すると家の近くから「シャー」と叫ぶ声が聞こえた。
しかも今までに聞いた事もないような動物の声だ。
そしてさらに妙な事が起きた。
誰もいない。
母も父も。
しかもケータイは圏外。
外には何かヤバい叫び声も聞こえたが出てみた。
空は晴れていた。
しかし電気がどこも付いていない。
「シャー」
後ろから急に蛇のような怪物が襲ってきた。
ヤバッ、と目を閉じてしまった。
すると「鎌田」と聞き覚えのある声がした。
次に目を開けると私は阪井にお姫様抱っこをされながら空を飛んでいた。
阪井の背中には黄色の半透明の翼があった。
何が起こっているのか分からない内に私は学校の屋上に下ろされた。
そこには中俣と菱田もいた。
「何がどうなってんの?」
「知るか」
菱田は知らないらしい
「話は中俣から聞け。中俣、援護頼むぞ。」
そう言って阪井はまた飛んで行った。
「どうなってるの、中俣」
すると少しまてといいながら中俣は何かブツブツと言い出した。
すると中俣の目の前に漫画で良くあるような仮想の画面とキーボード現れた。
「こっちの世界は俺達がいた世界とは違う。そしてこっちの世界には誰でも入れるわけではない。」
そう言いながらタイピングしていた。
「これを見ろ」といって目の前に仮想画面が現れた。
そこには阪井があの怪物と戦っていた。手には刀のような物をもっている。
「阪井のスキル名はライトニングマジック。光の造形スキルだ。」
そうこうしながら阪井は怪物を倒して戻ってきた。
そしてこう言った。
「今からお前達はえらばれた。そのためお前達は人類のために戦ねばならない。」
続く