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プロローグ
いつのことかのお話です。
そこは、青く澄み渡った空と緑色に染まった木々と草原の広がる湖畔でした。
湖には近くに住処を構えているのであろう、鹿や鳥達が集まってきています。
そんなのどかな風景だからこそ、湖の上に立つひとりの女の子は特別でした。
「私には――まだやるべきことがあるの?」
その女の子は、和服とも洋服ともつかない衣を着ていました。
銀色の髪とは裏腹に、鮮烈なピンク色をしたその衣は、少女の存在を際立たせていました。
「―――、そう」
女の子は、青空に向けてそう呟くと、そのままどこかへ消え去ってしまいました。
「ゲイズダイバー…」
誰かは、女の子のことをそう呼びます。