表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
企画掌編集  作者: 市太郎
【企画没ネタ】
11/18

電子牡丹灯篭

夏のホラー2011の企画を見てつらつらと

 

 

 

 カラリ、コロリと聞こえる音に目が覚めた。

 いつから聞こえていたのか、不思議と思い横へと寝返りながら耳を澄ます。

 電源の落ちたモニタに小さな明かりが映りこんでいるのが見えた。

 右の上角に映り込む小さな明かりは、再びカラリ、コロリ、と聞こえた音に合わせて右へ、左へ、と微かに揺れる。

 寝る際には明かりを全て消し、光が差し込まないよう厚いカーテンを閉めてあるというのに、モニタに映り込む光はどこの明かりだろうか。

 一度疑問に思うと背筋が薄ら寒く感じ、モニタから目が離せなくなった。

 カラリ、と明かりが右に揺れ、コロリ、と明かりが左に揺れる。

 暗いモニタの中にある一点の明かりが音に連れて心做しから大きくなっているように見える。

 大体この音は一体どこから聞こえてくるのだ。

 窓の外からではない。

 下駄を履いた足がゆっくりと歩を進めるように間延びした音だ。

 カラリ、と音が聞こえる。

 モニタからだ。

 ゆっくりと布団を引き寄せ見開いた目だけはモニタを見つめて息を凝らす。

 最初は小さな光だったのに、画面の中央までやってきた明かりはここから見ると五百円玉の大きさになっている。

 明らかに近づいているのだ。

 この明かりはこのままどこへ行くのだろうか――恐ろしさに身を強張らせながら様子を見ていると、明かりは向きを変えて画面の左へと移動していく。

 間際、赤い地に真っ白な牡丹の描かれた振袖の裾が見えた。

 カラリ、コロリ、右へ揺れ、左へ揺れ、明かりは徐々に小さくなりモニタの左側へと消えてしまった。


 あれは一体なんだったのか。

 再び現れたらと思うと、結局まんじりともできずに朝まで過ごしてしまった。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ