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AIの手を借りて、自作小説のゲーム化を試みます。【戦国統一オフライン編】

作者: 友野 ハチ
掲載日:2026/10/25


 このろころ、AIを利用すれば簡単なゲームを作れる、という話がちらほら耳に入ってきました。


 ゲームというものは、なんと申しますか、プログラムとシナリオとグラフィックと音楽と全体管理との総合芸術なようなものだとの認識でした。


 それが、手軽にできるのだとしたら……。そして、自作小説を題材にしたゲームが実現できたらいいのにな、とは以前から考えていました。


 そこで、普段から小説の校正などを手伝ってもらっているChatGPT、通称チャッピーに相談してみることにしました。


 まずゲーム化を試みたのは、『戦国統一オフライン』です。


 戦国シミュレーションゲーム好きの少年が戦国時代に転移したところ、そこにはゲーム世界を思わせる要素が含まれていて、ひょんなことから勢力を率いて……という物語になります。


 ウェブ投稿版を経て、現在は設定などにも手を加えた電子書籍版を展開している作品です。


 実際のゲーム化の過程をご紹介していきます。



■戦国時代の上野国を舞台に


 今回ゲーム化するのは、第一巻に相当する部分です。


 舞台となるのは、戦国時代の上野国、現在の群馬県に相当する地域になります。


 時代は、後に上杉謙信となる長尾景虎が、関東へ出兵してくる直前。


 この頃の上野国には、後の織田信長や武田信玄のような、一般にもよく知られた大名がいるわけではありません。


 箕輪城の長野業正をはじめ、各地の国人領主たちが勢力を保ち、関東に影響力を広げていた北条氏に従いながらも、互いに争っているような状況です。


 そこへ、現代から転移した少年、新田護邦が唐突に登場します。まあ、熊に殺されそうになるわけですが……。


 物語では、この護邦が周囲の勢力を巻き込んでいくわけですが、この動きをゲームで再現できるか、というのが基本になります。



■想定はカードゲーム


 さて、何も決めずにAI(チャッピー)に相談しても、方向性が散漫になってしまいそうだと予想されます。


 そこで、最初に「カード型のゲームにできないか」と相談してみました。


 チャッピーの反応は、おおむね「やりようはある」といったところでした。


 勢力の行動をカードで表現し、季節ごとに状況が変化する。武将の要素も組み込めそうだ、という話になりました。


 ただ、話を進めているうちに、どうもチャッピーは、インディーゲームのような、販売することまで想定しているように感じられました。


 こちらとしては、そこまで本格的なものを作るつもりはありません。ゲーム制作の専門家でもないので、動けば充分という想定でした。


 無料で遊べる、短めのブラウザゲームができれば十分。原作を知っている人が楽しめたり、ゲームから原作に興味を持ってもらえたりすれば、なおよし。


 そう伝えると、納得してくれたのか、比較的シンプルな構成で実現できそうだとの話になりました。


 JavaScriptで動かし、特別なサーバー側の仕組みは用意せず、セーブもブラウザ内で対応する。


 この提案の意味合いをどこまで理解できたのかは、やや微妙なところですが、まあ、任せてようさそうです。


 ゲームの原型が見えてきたところで、いったん企画をまとめてもらうことにしました。


■ChatGPTからClaudeへ


 実際の制作作業は、Claudeに担当してもらうことにしました。


 と言いますのも、ChatGPTのWeb版では、PCのファイルを細かく操作した構築までは、現状ではできません。


 引き継ぎとしては、ChatGPTがまとめた企画資料を、Claudeのチャット版に渡して検討を続けます。


 そこで指摘されたのが、新田護邦及びその勢力を、プレイヤーが操作しない場合の扱いでした。


 つまり、護邦がNPCとして勝手に動くのが、このゲームの見どころになるのではないか、という見解です。


 物語は新田護邦の一人称視点で進むため、他者からどう映っているかは想像でしか出てきません。外伝的な話も、少なくともこれまでは味方勢力視点に限定されていました。


 他者から見た主人公勢力を描くというのは、確かに興味を持ってもらいやすいかもしれません。


 そこからさらに、行動カードをどう配るか、運の要素をどこまで持たせるか、各勢力の勝利条件をどうするか、といった話を進めました。


 そして、ある程度まとまったところで、ひとまず試作が開始されます。


 かっちりした要件定義や仕様策定をせずに作り始めてしまえるこの気軽さが、AIによる開発の大きな利点なのだろうと思います。


■あっさり動いて驚いた


 最初の試作は、箕輪城の長野業正を操作する、小規模なものでした。


 季節ごとにカードを使って行動し、周囲の情勢を変化させていくという仕組みです。


 もちろん、色々とこなれていない部分も多く、おもしろいわけでもありませんでした。


 それでも、実際に操作できるゲームが、あっさり動く状態になってしまったには、正直、驚きました。


 とはいえ、動かしてみると、次々に気になることが出てきました。


 例えば、不利益が発生する季節カードを設定したのですが、これを処理すると、なぜか資金面で利益が得られる仕組みになっていました。


 不利益を被るはずのカードが、早めに処理した方が儲かるというのは、カードゲームについても門外漢である自分でも、無しだよなあ、と思われました。


 そこで修正を依頼したところ、今度は行動ポイントを消費して不利益を受けるのは理屈に合わない、という指摘がありました。……まあ、仰るとおりです。


 ほかにも、追加で引いたカードが無駄になったり、一度しか使えないはずのカードが戻ってきたりと、細かな問題も出てきました。


 そう考えると、もう少し固めてから作り始めた方が、手数は少なかったのかもしれませんが……。


 ただ、AIの使用可能量の範疇でやれば、必ずしも最善手を追求する必要はありません。行き当たりばったりもまた、よいものだと割り切るしかなさそうです。



■AIは勝手に二万回も遊んでくれる


 さて、Claudeもチャットでは、パソコンのファイルをごりごりいじることはできません。


 そのため、Claudeのデスクトップ版に再び引き継ぎ、Coworkという機能を使って制作を進めました。


 その初手、こちらが特に指示していないにもかかわらず、条件を変えながら二万回ずつ試行し、試作途上のゲームの動きを確認してくれていました。


 これもまた、正直びっくりしました。これだと、ゲーム調整もある程度自動化出来そうです。


 ただ、こうした自動テストですべての問題が解決するわけではないのはもちろんです。そのあたりは、人の目で見ていくことになります。


 内容面では、城と城の位置関係や、人物名の表記ぶれ(長野業正か業政か)あたりも指摘があり、修正を加えていきました。



■上野国全域へ、そして画像も追加


 最初は箕輪城周辺だけだったゲームも、開発が進むにつれて、上野国全域を舞台としたものになりました。


 各地の勢力を追加し、長野業正以外の領主でも遊べるようにしていきます。


 史実勢力の他に、原作での役割が大きい横瀬のほか、鬼幡といった勢力(ランダムのモブ豪族設定)も追加されました。


 ここで判断に迷ったのは、人物画像の扱いです。


 原作中に登場するゲーム『戦国統一』は、かつて『信長の野望』と並んで歴史シミュレーションゲーム界を盛り上げた『天下統一』をモチーフにしています。


 この『天下統一』、初期の作品には武将の顔グラフィックなど存在しない、なかなか硬派なゲームでした。


 それはそれで魅力なのですが、今回の場合は、小説の舞台・筋の再現が主目的です。


 電子書籍は、まだAIの画像生成が微妙だった頃から、挿絵を作ってもらっていたので、それらをゲーム内でも使いたいとの判断に落ちたのは自然なことだったのでしょう。


 Claudeはどうも画像の必要性をあまり感じていない様子で、それもまた一理ある状態です。ただ、ここはもう、追加前提で指示文を流した状態でありました。


 武将のカードやイベントに当てはめていくわけですが、既存の挿絵ですべてが賄えるわけではもちろんありません。そのため、追加生成を行っていくことになりました。


 画像生成をいじったのは、「月降る世界の救いかた」の新装版6巻対応依頼なのですが、ここ最近でgeminiもChatGPTもだいぶ優秀になってきたような印象です。とはいえ、歴史ものの絵はやはり苦労するわけなのですが。


 カードやイベントに画像が組み込まれると、ゲームとしての面白さに直結するかはともかく、画面がだいぶ華やかになりました。


 加えて、最初は素朴だったカードの装飾も、CSSで調整してもらいました。ここのデザインはgeminiにお願いしようかとも考えていたのですが、Claudeがかなりきれいに整えてくれたので、そのまま採用しています。


■公開まで


 こうしてゲームの形ができてきたところで、今度は公開作業です。


 プログラムの管理には途中からGitHub(プライベート)を利用し、公開先にはCloudflare Pagesを使うことにしました。


 このあたりも、AIにおすすめのところ、登録手順などを教えてもらいながら進めています。


 ただ、ここまでで抜け落ちていたのが、スマートフォンへの対応でした。


 それまでパソコンの画面ばかり見て作っていて、使っていた地図は横長の、スマートフォンでは見づらいものでした。


 そこで、画面の幅に合わせて地図をトリミングしたところ、だいぶいい感じで、それならばとパソコン側もそちらを使うことで落ち着きました。


 また、ゲーム内の説明文やイベントの台詞も確認していきます。


 登場人物の言葉遣いが原作と合っているか。設定に矛盾がないか。ここばかりは、人の目で見ないことにはなかなか難しそうです。


 ここまでの経過時間ですが、最初にChatGPTへ相談したのが金曜日の夜で、日曜日の夜にはおおむね形になっていました。この土日は、ずっと作業していたわけではありません。


 その後、月曜日に調整を進め、さらに追加修正も行って公開となったのですが、少なくとも初期のゲームが動くところまでは、思いのほか短期間で進んだことになります。


 月曜日以降は、ほぼテストプレイの状況だったのですが、やるたびに修正したいところが見つかるのは、終わらない推敲に似た感覚がありました。


 これ、通常のシステム開発案件なら、最初の要件定義や仕様策定が甘すぎる、と叱られるところでしょう。ただ、今回お願いしたAIの皆様は、文句も言わずに付き合ってくれました。ありがたいことです。


■ゲームが作れることと、面白いゲームを作れること


 こうして、どうにか自作小説を題材にしたブラウザゲームが完成しました。


 もっとも、実際に遊んで面白いゲームになったかというと、そこはまた別問題となります。


 原作に登場する人物や勢力を動かせること自体、作者としては意義深いものです。


 小説では脇役だった勢力を操作して、原作とは異なる展開を試したりできるのも、ゲームならではの楽しみ方でしょう。


 ただ、原作を知らない人が遊んで、面白いと感じてくれるか。さらには、何度も繰り返し遊びたくなるか。


 その域には、正直なところ遠く及ばないように思います。


 それでも、ゲーム制作の実務などまったく触れたことがなくても、自作小説にある程度準拠した内容で、実際に動くものを作れたというのは、大きな収穫でした。


 なお、今回は音楽をまったく用意していません。制作を進めている間、完全に失念していました。


 ……まあ、スマートフォンで遊ぶ方が多いのであれば、音楽はなくても問題ないのでしょうかねえ。


 このあたりも、今後の検討事項となりそうです。


 ともあれ、今回は自作小説のゲーム化という試みを、ひとまず形にすることができました。ずいぶんと面白い時代になったものだと思います。



今回制作したブラウザゲームは、こちらでご覧になれます。


『戦国統一オフライン』ゲーム版

https://sengokuoffline1.pages.dev/


【途中経過】

https://sengokuoffline1.pages.dev/history/v00_%E5%88%9D%E5%9B%9E%E8%A9%A6%E4%BD%9C_%E5%86%8D%E6%A7%8B%E6%88%90 初回試作版


https://sengokuoffline1.pages.dev/history/v15_%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%AE%B5_%E5%A0%82%E5%B1%B1%E9%AC%BC%E5%B9%A1%E6%A8%AA%E7%80%AC 全勢力追加版


なお、戦国統一オフラインの内容(電子書籍では巻の一相当)の内容をある程度踏まえているため、若干のネタバレがあります。


AIとの制作過程を詳しく記録した記事はカクヨムに掲載しています。試作段階の仕様変更やAIとのやり取りなどに興味のある方は、そちらもご覧いただければと思います。


https://kakuyomu.jp/works/11054822663648996137



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