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プロローグ:正解を綴るための前夜(イヴ)

まずは開いていただきありがとうございます。

思いつき設定で書いた物ではありますが書いていくうちに熱中してしまった

そんな作品になっております。





「――おい、生きてるか? 画面の向こうの観測者さんよ」


モニター越しに、慎二がニヤついた顔を突き出してくる。

ビデオ通話のウィンドウは、こちらの暗い部屋とは対照的にやたら明るい。


「いよいよ明日だな。公式掲示板見たか?

目玉の《真核》から作れるレア装備の予想スレ、もう数万レス超えだぞ。全員、祈る準備は万端ってわけだ」


「……見てない」


机の上では、飲み干しかけの栄養ドリンクが何本も横倒しになっている。

生活リズムなんてものは、とっくに破壊されていた。


「運営のノイズを読むほど、脳の容量は余ってない」


三枚のディスプレイに映し出されているのは、

365日、24時間分のライブ配信ログ。


特定座標の風速、湿度、照度、NPCの行動周期。

無機質な数値群が、まるで生物の鼓動みたいに脈打っている。


「相変わらずだな。で?

お前も《真核》狙いなんだろ?」


「もちろん」


即答する。


「でも、みんなが欲しがってるのは

“落ちた瞬間、どんなレア装備に変わるか”っていう博打だ」


キーボードを叩き、一つのシミュレーション結果を共有した。


「僕が欲しいのは、そんな結果論じゃない。

《真核》の中身でもない」


慎二が首を傾げる。


「じゃあ、何狙ってんだよ」


「――《何を刻むか》だ」


沈黙。


「忘れたわけじゃないだろ?

このゲームの《真核》は、取得した瞬間に性能が決まるんじゃない」


画面に表示されるのは、仕様書の一節。


真核は、取得時より直近一時間のプレイヤー行動ログを参照し、

周辺環境情報と照合した上で、装備性能を決定する。


「つまりだ。

特定の座標、特定の天候、完璧に同期した動きで狩り続け――

その絶頂でユニークを引きずり出したら?」


「……ログが、綺麗に揃う?」


「そう。波形が“理想形”になる」


僕はマウスを滑らせ、ある一点を強調表示する。


「しかも真核が吸い上げるのは、僕の行動だけじゃない。

場所、天候、視界、オブジェクト配置……全部が素材になる」


慎二が息を呑む。


「つまり……他人の回復とか、応援とか」


「全部ノイズだ」


切り捨てる。


「ログを濁らせる不純物でしかない」


画面に映るのは、

ライブ配信で何百回も確認した、なんの変哲もないフィールド。


「この座標。

特定の植生を背負い、月光が反射する角度。

風が滞留する、ほんの数分間の瞬間」


「そんな条件――」


「揃う」


断言する。


「その状態でログを完遂すれば、

真核はそれを“神話級の属性因子”として誤認する可能性がある」


「……それ、運営想定外だろ」


慎二の声は、半ば呆然としていた。


「バグじゃない。仕様の隙間だ」


背もたれに深く寄りかかり、暗転した画面を見つめる。


「みんなは草原で剣を振り回して、

ログ調整もしてない《中身が空っぽの至宝》に一喜一憂する」


「でも僕は――」


言葉を区切る。


「理想の条件で、理想のログを刻む。

真核を、僕が望む形に**強制変異デザイン**する」


静寂。


「1%のドロップなんて、誰にでも引ける確率だ。

そんな不安定なものに、最強を委ねる気はない」


画面の向こうで、慎二が乾いた笑いを漏らした。


「……相変わらずだな。

そのレベルでやるやつ、他に見たことねぇ」


「キモいだろ」


「褒め言葉だよ」


通話を切り、全ログを保存する。


明日から始まるのは、

運に身を委ねる冒険じゃない。


365日の監視と執念が導き出した、

一発勝負の――答え合わせだ。


最後まで読んでいただきありがとうございました!!

1話も投稿しますのでよろしければ「次へ」押していただけるとありがたいです……‼︎



僕、「ゑルマ」は同時に「『Legacy online 』君が愛したのは、死んだ僕だった」と言う作品も書いております。 よろしければそちらも読んでいただけると喜びます ブクマもしてやってもいいと思っていただけるだけでもありがたいです。

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