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魔法少女ルキア ~魔法使いは時空を越えて世界を救う~  作者: Kira
第3章 夜明け(アトランティス編)
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(22) 蜃気楼の森


 湿った大地を踏みしめながら歩く。すると隣を歩いていたルーナがぽつりと呟く。


「なんかこの花多くない?」


 そう言ってルーナが指差したのは紫色の花だ。前に怪しげな儀式を行っていた会場に大量に咲いていた花と同じものに見える。今はあのときほどの量は無いため、狂わしいほどの香りは放っていない。

 それを聞いたラインが少し考えながら話し出した。


「けっこう昔から咲いてる花なんだ。あのおかしな教会の連中が崇拝してる花だし、目障りなんだけどここ最近より生えてきてるんだよな」


 ラインはそう言っておどけながら吐くようなジェスチャーをした。

 この世界の人で聖メーテル教会を表だって批判する人は初めて見た。思わずじっと見つめてしまう。


「なーにそんなに見つめて? もしかして俺に惚れちゃった?」

「違うよ。そんな大っぴらに批判する人初めて見たから」

「そうなの? まぁ確かに批判するやつはことごとく消えてくしなー」


 なんだか物騒な話になってきた……

 それにしても…………話しているラインはどこか遠くを見つめている。ソールはこちらを向いていないためわからないが、どこか悲しいオーラを纏っている気がする。誰か2人にとって身近な人が消えたのかもしれない。


 ドガァーン!

「「「「「!?」」」」」


 話しながら歩いているとどこからか大きな物音が聞こえてきた。それぞれが動きを止め、音を聞く。

 大きな音は1回のみであとは何かを引きずるような物音が聞こえてくる。なんとなくどこから鳴っているのかわかる気がして走り出そうとした。


 けれど阻止された。


「ノックス、ルーナ……? なんで腕をつかんでるの?」

「「いや走り出そうとしてたから」」

「……正解」

「この森だとはぐれるんでしょ? 単独行動はだめよ」

「焦ってたはずのルーナに言われるなんて」

「私単細胞じゃないから」

「え? それ暗に私が単細胞だって言ってる?」

「……」


 ルーナは黙り込んだ。……言ってるってことですか!?


「あーと、盛り上がっているところ悪いんだけど」


 ラインがなぜか半笑いでこちらを見ている。私達のやり取りが面白かったのだろうか。みんなで不思議そうに見ていると、ラインはどこかを指差した。そちらを見るが……とくになんの変哲もない森が広がっている。


「どうしたんだ?」

「ソールはもう行っちゃった!」


 ラインが舌を出して笑った。…………ん? 行っちゃった?


「「「えー!」」」

「迷うんじゃなかったの!?」

「いや意外と慣れてるから……大丈夫なのかも?」

「いやソールは突っ走るタイプだから迷ってるはず!」

「「「追いかけなきゃじゃん!」」」


 みんなが焦りの表情を浮かべる。けれどラインはそこまで焦っているように見える。


「ソールは強いからね。心配してないけど……レイラちゃんが心配だから行こっか」


 そう言ってラインはラインは音から遠ざかるように歩き出した。どうしてかとノックスが質問すると、この森は特殊だからとしか言ってくれなかった。まぁ特に理屈はわからないが、慣れているからだと言うことらしい。

 なるほど? なんとなく納得して音から遠ざかりながら歩き出した。



 どんどん音から遠ざかっている気がするが……まぁラインが迷いなく歩いていることから慣れているんだろう。

 しばらく歩いているうちに足元が石畳になっていた。どこかの建物に入ったようだ。そして不思議なのは窓から見えることから察するに少し高い建物に私達はいるようだ。


「いつの間に上に?」

「まぁ蜃気楼の森だからね」

「え、階段上るの!?」

「こっちから気配がある」


 ラインが気配を感じているのは……何も道具を使っていないことから勘? それとも魔法だろうか。

 階段を上り始めようとしたラインに聞こうと思ったとき、誰かが私達に声をかけてきた。


「あら……こんなところでどうされたのですか?」


 現れたのはあの聖女と呼ばれていた女性だった。


「これはこれは聖女様。ちょっと迷子を探しにきただけですよ」

「あらそうなのですね。ここは聖域なので教会関係者以外は立ち入り禁止ですよ?」

「迷子を探すのもダメなのか?」

「こちらで探しますので大丈夫ですよ」

「そう言われて戻ってこなかったやつを知ってるんでね」


 ラインは笑顔を浮かべてをいるが、敵意を聖女に向けているように見える。対して聖女もこちらに敵意がない無垢な笑顔を浮かべているが、突き放すような冷たさを持っている気がする。

 2人は互いに笑顔を向けあっていたが、やがて聖女は深くため息をついた。


「しょうがないですね。……ですが私は着いていきますよ」

「げっ……ついてくるんですか?」

「当たり前でしょう」


 迷子探しに聖女が加わった! 地球でやったゲームの中で聞いたセリフが頭をよぎった。

 

 私達は階段を上り始めた。

 上り終わるとソールが立っていることに気がついた。……ほんとにいた。


「ソール! なんで行っちゃうの!?」

「いやー、姉ちゃんが心配で。ラインは結局追いついてくれるって思ってたしな!」

「俺に頼りすぎだろ」

「頼りに……?」

「いやなんでそこで不思議そうな顔すんだよ!」

「ていうか……なんで聖女様が?」

「あぁそれは……」


 グギャアァァー!

 聖女がソールに説明をしようとしたときに大きな叫び声が聞こえてきた。これは……たぶんシャドーか?

 ちらりとソレイユを見たが変身してキーホルダー? みたいになっているため反応はなさそうだ。


 とりあえず今度はそのまま真っ直ぐ叫び声へ向かって良いようで、ラインとソールが駆け出した後を追いかけて走り出した。


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